功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『タイガー・コネクション』

2010-06-26 23:37:32 | 甄子丹(ドニー・イェン)
「タイガー・コネクション」
原題:洗黒錢
英題:Tiger Cage 2/Tiger Connection
製作:1990年

●例によって問題児な元刑事・甄子丹(ドニー・イェン)は、あるとき黒社会がらみのトラブルに遭遇し、敏腕弁護士の關之琳(ロザムンド・クァン)と一緒に事件に巻き込まれてしまう。この事件は黒社会の一員・仇雲波(ロビン・ショウ)呉大維(デビッド・ウー)の2人が、大金を巡って起こした抗争によるものだった。
仇雲波は關之琳が大金を隠したのではないかと勘違いし、さらに偶然から彼女と甄子丹は殺人犯の容疑を掛けられてしまう。2人は自らの疑いを晴らすべく奔走して、呉大維から真相を聞き出すことに成功する。捜査に当たっていた刑事・楊麗青(シンシア・カーン)も真実に近付く中、甄子丹たち3人は消えた大金をエレベーターの中から見つけ出した。
さっそく彼らは豪遊を始めるが(笑)、呉大維は仲間内の問題を片付けようと1人で仇雲波の元へ乗り込んでいく。が、既にボスの羅烈(ロー・リェ)は仇雲波によって亡き者にされ、呉大維も健闘むなしく惨殺されてしまう。怒りに震える甄子丹は、アメリカから来た刺客のジョン・サルベティ&マイケル・ウッズを倒し、仇雲波との最終決戦に挑む!

 『タイガー刑事』で甄子丹に肩慣らしさせた袁和平(ユエン・ウーピン)が、彼を主演に迎えて作った現代動作片です。功夫アクション的には『タイガー刑事』よりも工夫に富んでいました。例えば、手錠のままの戦闘・暗闇での駆け引き・バス上でのバトル(ここで背景に『ポリス・ストーリー』の永安百貨がチラッと映ります)など、ただの雑魚との闘いでも細部にわたって色分けができています
1VS1のバトルはクライマックス以降に集中していますが、ここでもそれぞれ違った闘いを構築しています。ジョン・サルベティとの闘いでは日本刀を駆使したソード・アクションを、マイケル・ウッズとの闘いでは鎖で自由が利かないハンディキャップ・マッチを、そして仇雲波との闘いではオーソドックスな打ちあいを展開!改めて甄子丹の身体能力と、袁家班のアクションレベルの高さを再確認できました。
 ただ、ストーリーが刑事アクションによくあるパターンの話なので、その点では不満が残ります。「犯罪組織を追い詰めようとする刑事が、陰謀によって犯罪者に仕立て上げられながらも、最後は巨悪を倒して終劇」…この手の話は『皇家師姐』シリーズや『タイガー刑事』『ドラゴン電光石火98』等々で繰り返し演じられてきたため、真新しさというものが全く感じられないのです。
違うのは個々の功夫アクションと役者だけであり、本作も『タイガー刑事』と『クライム・キーパー』にラブストーリーを足す事で完成してしまいます。いくら定番のストーリー展開とはいえ、さすがにこれでは工夫がなさ過ぎるのではないでしょうか…。
ただ、本作ならではの要素がない一方で、全体的な作りはしっかりしているし、功夫アクションに手抜かりはありません(単に粗暴なだけではない甄子丹のキャラなど、評価できる部分もいくつかあります)。これでストーリーにも工夫が行き届いていたなら、本作は甄子丹の代表作になったと思うんですが…つくづく惜しい作品でした。

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