功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアン・モンキーグレート』

2011-06-08 22:47:21 | 甄子丹(ドニー・イェン)
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアン・モンキーグレート」
原題:鐡猴子2 街頭殺手/街頭殺手/鐵血壯士
英題:Iron Monkey 2
製作:1996年

●時は動乱渦巻く清朝末期の中国。黒社会の顔役・張健利(羅鋭の後期作品に出演)は、諸外国と手を組んで武器の密売を行っていた。これを阻止すべく、鐵猿こと甄子丹(ドニー・イェン)は仲間と共に京劇一座に化け、張健利の暗殺へと動いた。しかし暗殺は失敗に終り、仲間の1人である午馬(ウー・マ)が失明してしまう。
同じ頃、一攫千金を夢見る劉耕宏ら貧乏カップルは、張健利を殺すための暗殺者募集に参加していた。もちろん暗殺を請け負うつもりは無く、報奨金をせしめてトンズラしようと企むが失敗。そこで2人は、田舎から来た功夫青年・原文慶を口八丁で言いくるめ、彼を偽の鐵猿に仕立て上げた。原文慶は父親の午馬を探したかったが、張健利一味の武器強奪を手伝わされ、本物の鐵猿と闘うはめになってしまう。
 劉耕宏たちに騙されていたと知った原文慶は落胆するが、襲撃を受けたことで張健利へ怒りを燃やしていく。一方、奪った武器を手土産に張健利へ取り入った貧乏カップルは、念願のクラブ支配人と花形歌手になるものの、その待遇は散々だった。最終的に劉耕宏とその彼女は喧嘩別れになるのだが…。
そのころドニーは、自分を逃がすために捕まった午馬を助けようと敵陣に潜り込むも、午馬は射殺されてしまった。復讐に立ち上がる原文慶だが、今度は協力してくれた劉耕宏の彼女が撃たれて死亡…ドニーは原文慶と劉耕宏に逃げろと言うが、このまま引き下がるわけには行かない。3人の男たちは、極悪非道の張健利(+兄弟分の周比利)に鉄拳を振り上げる!

 『葉門』2部作の劇場公開・『孫文の義士団』の全国上映・『導火線』の日本版ソフト化決定・『精武風雲・陳真』の日本上陸など、日本では最近になって一気にドニーの露出が増えていますが、私もこのドニー・フィーバーには嬉しい悲鳴を上げっぱなしです(笑
そんなドニーですが、ひと昔前まではB級映画ばかりに出演していたため、抜群の格闘センスとは裏腹に評価は得られていませんでした。本作はそのB級映画の中でも粗悪なもので、ワイヤーと早回しでアクションシーンが崩壊している困った作品です。
 この当時、いくつか古装片に出演していたドニーですが、彼の演じるアクションは決まって早回しが使われていました。大体は迫力のある映像になっていますが、ゴチャゴチャして意味不明になる場合も少なくありません。そのドニー式早回しアクションに、本作では羅鋭(アレクサンダー・ルー)作品から李海興が武術指導として加入したことで、早回しに荒唐無稽さがプラスされるという異常事態に発展しているのです(爆
ラストバトルはその兆候が顕著で、闘うたびに室内のありとあらゆる物体が簡単に壊れていく様は、早回しと相まって異様な光景となっていました。殺陣自体は悪くないけど、ここまで動きが早いと功夫映画というよりもコメディに見えてしまいます。個人的には「本当に武術指導を袁和平が担当したの?」という疑問さえ沸きました。
殺し屋を募集したレディが何者だったのか最後まで不明だったり、主役が誰なのか解らない物語など、色んな意味でハチャメチャな本作。もし『ワンチャイ』系列を制覇するのなら、とりあえず本作は無視しちゃってもいいと思います(苦笑

最新の画像もっと見る

コメントを投稿