功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『復活!死亡遊戯』

2007-12-24 23:59:37 | バッタもん李小龍
「復活!死亡遊戯」
戦龍/戰龍
Dragon The Master
2003

●『復活!ドラゴン怒りの鉄拳』で数多の李小龍ファンを絶望と憤怒のどん底に叩き込んだ、石天龍(ドラゴン・セキ)主演による『死亡遊戯』のリメイク作品である。今までバッタもん李小龍作品はいくつもヒドいものを見てきたが、この作品だけは"史上最悪のカンフー映画!"と、声高に叫びたい代物だったのだ…(今回は酷評ばっかりなのでご注意下さい(爆))。

 ・最悪その1…キャストが最悪
主演の石天龍とは、自身をブルース・リーの生まれ変わりと称し、20万人を超す弟子を持つイタい人である。だが実際は別のヒロインが中心となって話は進み、石天龍自身はあまり出てこないのだ。
更に本作にはジャッキーのバッタもんまで登場する。石天龍だけでも十分なのにこれ以上どうするんだという話だが、そのバッタもんの鄭志豪、ぜんぜん似ていない上に英名がなんとジャッキー・チュング!なるほど、流石はIFD制作というだけはありますねぇ(爆

 ・最悪その2…ストーリーが最悪
筋書きは新作ゲームソフトの海賊版に絡む陰謀との激闘という、どこが『死亡遊戯』なのかと思う陳腐なものだが、その横で展開している周比利(ビリー・チョウ)のドラマのほうがよっぽど印象的だった。
かつて妻と田舎で幸せに暮らしていた周比利はカンフーの大会で優勝こそしていたものの、その生活は裕福ではなく、妻は出ていってしまう。都会に出てきた周比利は妻を捜すための資金集めとして、その腕を生かしてカンフーの大会に出場しようとする。
まず最初にアタックしたのは鄭志豪のジムだったが、そこでは新米だからとしごかれる毎日。ジムを飛び出した周比利は、今度は石天龍のジムで指導をしてもらっていた。ところがある時、ジムの先輩たちが周比利をバカにしたのだ。周比利は実力の違いがわからんバカ先輩を叩きのめすが、「先輩に対して尊敬の念も無いのか?出て行け!」と、ロクに話を聞かない石天龍にジムを追い出されてしまった。
周比利は張耀揚(ロイ・チョン)の勧めである組織の用心棒として働くことになる。組織が見つけてくれた妻…その病気の治療費を得るために、周比利は誘拐でも暴行でも何でもしていく。いずれは大会にも…そう思っていた時、あのにっくき石天龍と鄭志豪が現れた!
…と、見方によっては本作は周比利の主演作とも見て取れる。そして、女性を暴漢から救う周比利、下っ端働きさせられる周比利、夢見る周比利、笑顔で畑仕事に勤しむ周比利、号泣する周比利、気さくな後輩ヅラを見せる周比利と、周比利ファンには涙モノの激レアシーンが目白押しなのだ。個人的にはそこだけ限定で評価は良い。
実際、キャラクターの背景が多く描かれていた周比利の方が(たとえ悪役でも)石天龍よりも感情移入しやすく、ラストバトルでは悪役のはずの周比利を応援してしまったほどである。

 ・最悪その3…吹き替えが最悪
ある意味本作で一番許せない所かも知れない。
本作の発売元はJVDで、『天地雷鳴』のレビューでも触れたがちょっとアレな仕様が多いとこである。『天地雷鳴』の場合も吹替えとBGMが悪かったが、それでもどうにか見ることはできた。だが…なんなんだコレ?本作の日本語吹き替えは酷すぎ…いや、非道すぎる!どこの素人使っているんだ!?
口パクが余るのは序の口、演技もダメだし(特に石天龍の人)、鄭志豪の吹き替えの人なんて全然面白くないアドリブもどきが爆裂!面白くないから腹が立つ!本作は絶対字幕で見るべきだ!

ロクな作品ではないと思っていましたが、まさかここまで腐った作品だったとは思いませんでした。賢明な功夫映画ファンはフィルマーク映画でも良いので別の作品を見ましょう…(萎

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
JVDにも怒りの鉄拳! (白扇仔)
2007-12-28 15:20:48
遂に出ましたねw。
ここまでお怒りだったとは。僕は以前こちらかどこかに書いたよーに、それほどヒドいものとは思っていなくて、龍争こ門様に異を唱えまくることになるのでコメントは控えておきます。

実は今回は、年末の挨拶をしなくっちゃ、と書き込みした次第なんです。でもその前に一つ苦言が・・・

> 周比利ファンには眉唾モノの激レアシーンが目白押しなのだ。

ここの“眉唾”の部分は間違いだと思いますよ。眉唾は、信用出来ない、みたいな意味で(正確な意味は辞書をひいて下さい)です。
たぶんそこは“よだれモノ”って書きたかったと推測しているのですが、それだったら“垂涎(すいぜん)”モノと書くのが正しいです。
以前にも事実誤認などを指摘して、ヤなやつと思われてないか心配なのですが、今回の間違いは、文意が逆になってしまうため、見て見ぬふりは出来ませんでした。

ちゅーことで、今年ラストの書き込みが、こんなんでスミマセン。
今年は、龍争こ門様の当ブログに1番お世話になったと思います。来年もどーかひとつ!宜しくお願いします。
白扇仔
馬殴王の微笑み (龍争こ門)
2007-12-28 17:57:54
白扇仔さんこんにちは!

>ここまでお怒りだったとは。
実はこれでもかなり訂正を加えています(苦笑
私のレビューは大きく分けると書き下ろし(書いて間もない物)と書き貯め(結構前に書いたものをUPする際に修正した物)があり、本作のレビューは後者になります。
私が昔勢いに任せて書いてた頃のレビューは…そりゃもうヒドいもので(爆)、このレビューにしてももっとヒドい罵倒がされていました。
とはいえ、時間が経ったので今ではそれ程怒ってはいません。もしかしたら、『死亡の塔』とかをリアルタイムで見た功夫映画ファンの心情ってちょうどこんな感じだったんでしょうかねぇ(爆

>ここの“眉唾”の部分は間違いだと思いますよ。
上記にもあるとおり、勢いで書いた文章の名残がそこかしこに残っています。これに関しても同様です(恥…こちらは訂正しておきます!)。
こういった間違いは結構多いので、流石にこれは変じゃない?と思うような事がありましたらご指摘をお願いします。

>今年は、龍争こ門様の当ブログに1番お世話になったと思います。来年もどーかひとつ!宜しくお願いします。
こちらこそ!来年以降もマーシャルアーツ映画などのレビューで当ブログを充実したものにしていきたいです!

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