功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『威震天南/南天震威/南洋唐人街』

2009-10-24 22:16:21 | バッタもん李小龍
威震天南/南天震威/南洋唐人街
英題:Bruce Li The Invincible/Bruce Lee The Invincible/Game of the Dragon/The Invincible
製作:1978年

▼『蛇女慾潮』という作品を覚えているだろうか。『蛇女慾潮』は何宗道(ホー・チョンドー)がニューギニアへ向かい、蛇の一族と死闘を繰り広げるというトチ狂った作品だったが、その姉妹編というべき映画が本作である。
キャストやスタッフは『蛇女慾潮』からそのまま似たメンツが投入され、新たに陳惠敏(チャーリー・チャン)まで参加。更に助監督として、あの曾志偉(エリック・ツァン)まで関わっているところも凄いといえば凄い。彼が関わったバッタもん映画といえば、サモハンの熱演が最高な『燃えよデブゴン』と闇鍋功夫片の『李三脚威震地獄門』があり、どちらもいろんな意味で楽しめる作品だった。なので本作も期待できないことは無いと思われたのだが…。

■陳星(チン・セイ)は陳惠敏の兄で、何宗道・張力らが通う功夫道場の道場主。今日も狼藉を働く陳惠敏を戒めたり、何宗道たちに達磨大師の逸話を語って聞かせたりしていた。ところが張力が故郷に帰った際、地元の有力者の腰巾着である山怪(取り巻きに岑潛波と曾志偉!)とトラブルを起こしたことで、彼は恨みを買われてしまう。
 で、その山怪のボスである有力者というのが…お察しの通り、陳惠敏です。陳惠敏は山怪の訴えを聞くと張力のいる商店を視察し、彼の幼馴染である陳維英に目を付けた。女好きの陳惠敏は女を引き渡せと迫り、手下(うち1人が陳龍)を向かわせて強引に誘拐してしまう。これに激怒した張力は陳維英の奪還に挑むが、陳惠敏の強力な拳法にまったく歯が立たない。そこで張力は陳星に助力を仰ぎ、弟子の危機を知った陳星は何宗道と共に敵地へ足を踏み入れた。
ちなみに陳星は陳惠敏に素性を悟られないよう変装しているのだが、変装した姿を火星(マース)が演じている。身代わりとはいえ、この時期に火星が大きい役を演じているのも面白いが、ここまで強い火星というのも珍しい。
 その後、張力と合流した火星(陳星)&何宗道は、まず陳惠敏一派が仕切っている賭場を襲撃。これに対して陳惠敏は報復を企てるが、火星(陳星)たちに小細工は通用しなかった。翌日、陳星たちは陳惠敏の元に向かうと「これ以上闘っても無意味だ」と告げるが、陳惠敏は耳を貸さない。結局は乱闘となる双方だが、どさくさ紛れに異民族が陳維英を連れ去ってしまう。この本編の流れと全く関係ない異民族とのバトルを経て、遂に陳星たちは陳惠敏一派との最終対決に挑む!

▲『蛇女慾潮』と似た感じの本作だが、今回はそんなに狂った内容ではない。
異民族というおかしなキャラクターが介入してくるものの、作品自体は陳星たちと陳惠敏の攻防を描いたオーソドックスな話だ。むしろ異民族という異質な存在が作品のバランスを崩しており、このへんは余計な要素だったと言わざるを得ない。曾志偉がどのくらい口出ししていたのかは解らないが、少なくとも異民族パートに関わっていないことだけは確かだ(もし曾志偉なら、ああいう面白みの無い余計なシークエンスは省いてしまうはず)。
 『蛇女慾潮』があまりにも強烈な作品だったためか、本作は非常に淡白な出来に見える。しかし功夫アクションは『蛇女慾潮』以上のものを展開しているので、こちらは安心して楽しむことができるだろう。武術指導次第でモッサリな動きになりそうな陳星や何宗道だが、本作での功夫アクションはとても機敏に動き回っており、見事なファイトを披露!ラストバトルでは何宗道がヌンチャクを振るい、陳星がパワフルな虎拳で立ち回り、最後の陳星&何宗道VS陳惠敏もそれなりに壮絶なバトルに仕上がっているのだ。
総評すると、ストーリーはボチボチ・功夫アクションは中の上といった感じの珍作か。ちなみに、楊斯(ボロ・ヤン)は冒頭の陳惠敏を静止する師匠役で出演していますが、初見の際は楊斯だと気付きませんでした(笑

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2 コメント

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Unknown (阿龍)
2009-10-30 17:38:21
ボロ・ヤン、冒頭にちょこっとだけ出ていますよ。
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返信! (龍争こ門)
2009-10-31 23:51:28
阿龍さんこんばんは!

>ボロ・ヤン、冒頭にちょこっとだけ出ていますよ。
早速確認しました。楊斯は、冒頭で陳惠敏の悪行をいさめていた師匠に扮していましたね。ヒゲモジャメイクだったので見落としていました、情報多謝です!
該当箇所は修正しておきます。
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