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素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)
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これぞ温家宝の唱える「中国型民主」(笑)・補
暴動/争議etc
/
2005-09-28 09:06:44
言わずと知れた番禺太石村(広東省広州市番禺区魚窩鎮太石村)の「農民による民主化運動」です。終息したと思ったら後日談までありました。
ここまでの動きについては下記を御参照下さい。ゲッこれ全部読まなきゃダメ?……と思った方は一番下の2本(「これぞ温家宝の唱える……」上下)だけ読んで頂ければ大体の経緯は御理解頂けるかと思います。
「民主化運動」だから断固弾圧――番禺太石村事件。・上(2005/09/15)
「民主化運動」だから断固弾圧――番禺太石村事件。・下(2005/09/15)
番禺太石村事件3――愚民量産を邪魔されると中共は御陀仏。(2005/09/16)
これぞ温家宝の唱える「中国型民主」(笑)・上(2005/09/23)
これぞ温家宝の唱える「中国型民主」(笑)・下(2005/09/23)
――――
太石村の村長(村民委員会主任)に土地売却をめぐる汚職疑惑が浮上し、抗議してもラチがあかないと悟った村民たちは人権活動家などの助けを得て法知識を学び、ついに合法的な手続きで村長罷免動議を成立させるという中共政権史上恐らく前代未聞と思われる快挙を成し遂げました。
動議成立ということで、まず罷免の是非を審議する村民委員会7名の選出が必要となりました。村民に時間的余裕を与えない当局の汚い手口にも負けず、村民は独自候補7名を擁立。選挙戦で当局が押し立てた「官製候補」7名を全て退けて圧勝、正に民意に基づいた村民委員会が成立しました。これまた歴史的快挙です。
ところが村民たちの不幸は、自分達の村が政府や法律の上に中国共産党が一党独裁で胡座をかいているという異常な政治制度の国にあったことです。異常な国情には異常な「民主」がやっぱりお似合い。民意の存在を糸屑ほどにも感じさせない「中国型民主」です。
――――
温家宝首相は9月6日、海外を含むマスコミの前で大見得を切り、その民主化構想(中国型民主)について大いに語ってみせたのですが、太石村で起きた一連の出来事は、その「中国型民主」の実態がどういうものかを、また温家宝の熱弁が如何に虚偽のカタマリであったかを期せずして鮮やかに浮き彫りにしました。
とは、選挙が終わるとともに、村民委員会に当選した7名の「民選候補」に匿名電話などによる脅迫が開始されたのです。その執拗で凄みのある脅し上げに耐えられなくなった当選者たちは一人また一人と村民委員職を離れていき、とうとう9月23日までに7人全員が辞職に追い込まれてしまいました。
ぽっかりと空いた村民委員のポストには、落選した当局の「官製候補」7名がそのまま繰り上げ当選。時代劇の脚本でもこれほどの筋は「ベタすぎ」と一蹴されそうなお芝居が、現実に行われたのです。
――――
一方では村民やその支持者たちに対して露骨なまでの弾圧が加えられています。
まずは9月12日以来消息不明となっていた村民たちの法律顧問・郭飛雄氏が警察に逮捕されたことが正式に確認されました。
一昨日(9月26日)には村民を支援してきた大学教授や人権活動家が取材陣と共に太石村を訪れたところ水を浴びせられ、さらに暴徒に袋叩きにされるなどして負傷する事件が起きています。他にも取材のため村にやってきた記者が汚水をかけられるなどして追い払われています。
村は事実上、村外との接触を禁じられた封鎖状態といってもいいでしょう。「なんちゃって戒厳令」といったところです。常時60~70名の警官が村内を常時巡察し、数人がかたまって話をしているのを見ると一喝してやめさせたりもするそうです。これではまるで3人以上が集まることを禁じられた植民地時代のマレーシアだかインドネシア(記憶モード)のようなものではないですか。
――――
そして、脅迫の鉾先はいま一般の村民にも向けられています。罷免動議の成立によって10月7日に開かれることになった村長罷免大会(村民の直接投票で罷免の是非を決めるもの?詳細は不明)を流産させてしまおう、というのが当局の肚。「当局」といっても様々なランクがありますが、番禺区政府までは直接関与しているようです。
こちらの脅迫も念が入っています。具体的には罷免取消動議のための署名集めなのですが、まずは戸別訪問して脅しあげる。その一方で当局関係者が村民を飲茶に招いたりと硬軟両面から追い込んでいくという戦術です。
また、12日のの警官隊による急襲や当初の抗議活動(ハンストなど)で警察に拘留されている者の家族に対しては、「署名に応じれば釈放する」という迫り方。
「村民21名の署名が集まるごとに一人ずつ釈放してやる」
という条件が番禺区当局から示されているという噂も流れているようです。
――――
これまで事件を追い続け、ネット上で村民を支持してきた掲示板「燕南社区BBS」に対しては、21日に国務院新聞弁公室からサイト運営者に直々の電話があり、太石村事件に関する文章を全て削除するよう求めてきたといいます。
国務院とはすなわち中央政府。これが事実なら、事件に関与しているのが番禺区や広州市といった地元レベルだけでないことがわかります。地元当局による事件処理のやり方についても御墨付きが出ているのでしょう。汚いですねえ。温家宝の構想通りにやってみた結果がこれですから。
さすがは「中国型民主」とでも言いますか、その執拗さと徹底ぶりはこのように並ではありません。まさに完膚なきまでに、相手を撃殺するまで手を休めない、といった執念を感じます。1989年の天安門事件もそうでしたし、文化大革命や反右派運動もそうでした。あるいは歴代王朝における「官」と「民」の関係もそうだったのかも知れません。地金が出ちゃったというかお里が知れるというか。
何やら捨鉢な感想ばかりが湧いてきます。「官」の汚さは当然のことながら、本来なら先頭に立つべき存在である大学生や知識人が都市生活を謳歌し、成年男女の3割までが親に養われているのです(事実上のニート)。
その一方で農民が法律を用いて自分の権利を行使するやり方を自ら懸命に学び、それを成就させつつも最後には当局に潰されていく。どうにも救われないじゃないですか。この件に関しては結語が浮かびません。浮かばないまま打ち切りにしておきます。
――――
こういう話題ですからついでにふれておきます。親中紙『香港文匯報』(2005/09/27)によると、北京の天安門広場近くで26日午前、ごく小規模の爆発があったそうです。事故なのか事件なのか、逮捕者が出たのかなどについては目下のところ不明です。
http://www.wenweipo.com/news.phtml?news_id=CH0509270022&cat=002CH
それからとある裁判のニュース。湖北省・黄石市で発生した政府庁舎襲撃事件について首謀者ら10名に第一審の判決が言い渡されました。……て、そんな事件が起きていたんですねえ。
「新華網」(2005/09/27)及び香港紙『蘋果日報』(2005/09/28)の報道によると、首謀者らは8月5日午前1時ごろ、当局の認可を得ない非合法デモ(大洽市から黄石市まで)を計画しインターネットを通じて大洽市民に参加を呼びかけたとのこと。
デモの動機は「政府に対する抗議」。現在大洽市の管轄下にある複数の「区」を黄石市に吸収合併させる統廃合計画が進んでおり、それによって順調な経済成長を遂げてきた大洽市の今後の発展に影響が出るとの懸念から、大洽市民の多くはこの統廃合計画に不満を募らせていたようです。
そして8月6日午前、首謀者らは集合地点に屯集した群衆を率いて予定通り黄石市までデモ行進し、黄石市に到着したところで暴徒化。政府庁舎に赴いて玄関の自動ドアや植え込み、柵などを壊して回る一方、庁舎内にも乱入して数々の破壊行為を働き、さらに近くを走る高速道路の料金所付近をデモ行進して大渋滞を引き起こしたとか。
http://news.xinhuanet.com/legal/2005-09/27/content_3548680.htm
――――
前回紹介した
「造反官僚」の件
もそうですが、何だか中国社会のタガが緩み始めているような気がしないでもありません。
中央の求心力低下は分権化と競争原理の導入を骨子とする改革開放政策の帰結ともいえますが、本来なら別の調節手段で中央がマクロコントロールを効かせる計画だったのが、それがまだ十分に機能しないうちに社会状況が先に悪化してしまいました。具体的には貧富の差や地域間格差の拡大、それに失業者の増大や党幹部による汚職の蔓延などといったところでしょうか。
そうした危機を「強権政治&準戦時態勢」のもと荒療治を施して乗り切ろうとした(と私はみています)胡錦涛総書記の計算も随分狂ってしまったようですし。……ただ強力な野党のような対抗勢力がない分、中共は倒れるにしてもゆっくりと腐りつつ朽ちていくように思います。「造反官僚」は目下のところ「中央vs地方」という対立軸のみで「地方vs地方」の気配はありませんから、まだ分裂を云々できる段階ではありませんし。
何だか最後は主題と関係ない話になってしまいました。すみません。
――――
【参考記事】
●反中共系ラジオ局「RFA」(2005/09/26)
http://www.rfa.org/cantonese/xinwen/2005/09/26/china_rights_taishi/
●反中共系ラジオ局「RFA」(2005/09/27)
http://www.rfa.org/cantonese/xinwen/2005/09/27/china_rights_taishi/
●香港紙『太陽報』(2005/09/26)
http://the-sun.orisun.com/channels/news/20050926/20050926020611_0001.html
●香港紙『明報』(2005/09/27)
http://full.mingpaonews.com/20050927/cac1.htm
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