ゴエモンのつぶやき

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補助金目的「障害者ビジネス」が横行する理由

2018年04月20日 12時08分11秒 | 障害者の自立
民間企業が「補助金目当て」で障害者施設に取り組む原因とは?(画像:freeangle / PIXTA)
 
ホームレスや生活困窮者を囲い込んで食い物にする「貧困ビジネス」はよく知られているが、実は補助金目当てに障害者を雇用して適切な仕事を与えないという「障害者ビジネス」も問題となっている。
障害者を新規に雇用することにより3年間で1人当たり最高240万円の助成金を受け取れる制度を利用し、3年経ったところで事業所を閉鎖。新しい事業所で障害者を雇い直して再び助成金を得る法人まで存在するという。
なぜこのような事態になっているのか、またどのように対応すべきかを『新版 障害者の経済学』を上梓した慶應義塾大学商学部教授の中島隆信氏に解説してもらう。

数百人規模の障害者が解雇された背景

2017年7月、岡山県倉敷市にある障害者施設5カ所が一斉に閉鎖され、そこで働く障害者約220人が解雇されるという問題が発生した。さらに、本年3月には同市において障害者施設を運営する営利法人が経営悪化を理由に約170人の障害者を解雇した。

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浮き沈みのあるビジネスの世界では事業所の閉鎖や従業員の解雇は普通にありうることだが、障害者施設となると話が違ってくる。なぜなら、福祉は行政の制度によってできた官製市場であり、事業者はそのなかで活動をしているからである。

したがって、今回の倉敷での不祥事(以下では「不祥事」と呼ぶ)は、制度の不備がもたらしたモラル・ハザードと解釈すべきである。

「不祥事」の舞台となったのは「就労継続支援A型事業所(以下A型)」と呼ばれる障害者施設である。A型の役割は、障害者と労働法規に基づく雇用契約を結んだうえで、仕事によって得られた収入から障害者に給与を支払うことである。そして、A型の職員たちは障害者の仕事を支援し、その見返りとして補助金(自立支援給付費)を行政から受け取る。

報道によれば、「不祥事」を起こした事業所は仕事とは名ばかりのきわめて付加価値の低い単純作業しか障害者に与えておらず、事業収支は大幅な赤字状態だったとされる。

それでも事業が続けられたのは、障害者1人当たり1日5840円支給される自立支援給付費を障害者給与に充当させていたことに加え、障害者を新規に雇用することにより3年間で1人当たり最高240万円の助成金(特定求職者雇用開発助成金:特開金)を受け取ることができたからである。

昨年4月、厚労省が全国のA型に通達を出して給付費の給与充当を禁止したことから、経営が続けられなくなったとされている。ここでは、「不祥事」の背景として3つの要因を取り上げる。

第1の要因は、A型の会計制度である。行政から事業所に支払われる自立支援給付費という名の補助金は、そこでの作業内容や利用者の生産性とは無関係に何人の障害者が何日間通ったかによって決まっている。

たとえば、施設を利用する障害者の数が20人以下で、障害者7.5人当たり1人の職員が配置されている事業所では、障害者が1日施設を利用すると5840円の給付費が支給される。その事業所で障害者が1日5時間滞在するものとし、時給が900円だとすると、1日当たりの給与は4500円となる。

20人の障害者が年間200日施設に通ったとして、それを3年間続けると、給付費と特開金を合わせて1億1808万円の収入となり、障害者に支払う給与は5400万円なので、仮に事業収入がゼロだったとしても6408万円の利益が出る。

法人がこうした事業所を5カ所持っていれば合計で3億2040円の”儲け”が出る仕組みだ。特開金は3年分しか出ないので、3年経ったところで事業所を閉鎖し、新しい事業所で障害者を雇い直せば同じ”ビジネスモデル”を続けられる。

障害者給与が補助金を上回るサムハルに学べ

こうしたモラル・ハザードを防ぐには、何もしなくても利益が出るような現行の制度を変える必要がある。A型の損益計算書上の収益は、行政からの助成金(補助金+給付金)、事業によって得る収入、そして障害者本人の自己負担金の3つから成り立っている。他方、費用は、事業を行うための経費、職員給与、そして障害者給与(利用者工賃)である。そしてこの両者の差額が当期利益とされる。

ここでよく考えてほしい。そもそも社会から与えられたA型のミッションとは、政府の補助金や障害者の負担金を受け取り、障害者の生活を支えるための給与を支払うことではないだろうか。そうだとすると、損益計算書上の収益はミッション遂行のためのインプットであり、費用はアウトプットに相当するはずだ。つまり、施設会計と社会会計は収支が逆転しているのである。

全国のA型事業所が作る組織である「全Aネット」の調べによると、障害者給与が補助金を上回っている”健全な”A型はわずか7%にすぎないとのことである。私が講演等で社会会計上の黒字をA型の経営目標にすべきだと話すと、ほとんどの施設長は「そんなことは無理に決まっている」と返答する。

だが、スウェーデンで2万人の障害者を雇用している国営企業サムハルは、2016年の損益計算書において528億円の補助金を受け取りつつも、障害者にはそれを超える712億円の給与を支払っている。つまり立派に社会収支の黒字を達成しているのである。

この「社会会計の黒字」をルール化すれば、補助金を目当てとする"障害者ビジネス"は起こりようがない。なぜなら、モラル・ハザードは、補助金のほうが障害者給与支払額より多くなるよう制度設計されていることによって生じているからである。

第2の要因は、A型のガバナンスの甘さである。2017年に「社会福祉法」が改正され、社会福祉法人のガバナンスはかなり強化された。しかし、このような強化策も今回のようなモラル・ハザードの防止にはほとんど効果がなかった。

なぜなら、厚労省はA型を増やす目的から、原則としてどのような法人にもA型の運営を認めているからだ。実際、「不祥事」を起こしたA型は社団法人や株式会社であり、規制強化の対象にはなっていない。

先に述べたように、日本にあるA型の9割以上が障害者給与を超える給付費を行政から受け取っていることを考えれば、それが適切に使われているかどうかをチェックする業務監査は法人格にかかわらず必須だろう。

不適切な補助金受け取りは会計監査では見抜けない

さらに、営利法人によるA型には別の問題もある。株式会社がA型を運営するためには、新たに子会社を設立し、そこで障害者を雇う必要がある。このルールを設けているのは、補助金を親会社の業務に流用されないようにするためと推察される。

加えて、厚労省が給付費の障害者給与への充当を禁止したこともすでに述べたとおりである。しかし、こうしたA型への規制強化策も資本関係のある株式会社同士であればいくらでも抜け道はあるため、効果は薄い。

たとえば、親会社がA型を運営する子会社に架空の発注をして子会社の事業収入を意図的に増やして障害者給与を支払ったうえで、残った利益を親会社に配当として環流させた場合、会計監査だけでは税金の不適切な使い方を見抜けない。営利法人の会計において補助金は「雑収入」の扱いになるためである。

厚労省は直ちに営利法人のA型への参入を全面的に禁止するか、A型を運営する営利法人に対して業務監査を行う監査人の配置を義務づけるかいずれかの策を講じる必要があるだろう。

そして第3の要因は、”障害者労働市場の質の向上”が担保される前にA型への大量参入を認めたことである。2006年に「障害者自立支援法」が施行された背景には、それまでの授産施設など障害者の就労現場における驚くべき工賃の低さがあった。

その状態を改善する切り札と期待されたのが最低賃金を保証するA型事業所であり、A型の数を増やすことが障害者の所得を増やすことにつながると厚労省は考え、営利法人の参入など大幅な規制緩和を行ったのである。その効果はてきめんで、わずか6年でA型事業所は5倍近くになり、そのうち営利法人は10倍を超す増え方を示した。

補助金目当ての官製「A型バブル」

しかし、冷静に考えてみるとこれは明らかに不自然な現象であることがわかる。なぜなら、その間に日本のGDPはわずか1.06倍になったにすぎないからだ。もちろん、特定の産業が短期間で爆発的に成長することもあるが、それは何らかの技術革新によって潜在需要が顕在化したケースに限られる。

障害者の働くA型事業所が行っている業務においてこうしたブレークスルーが起きたとは到底考えられないし、実際、この間、A型のほとんどが該当する中小企業の数は日本全体で9%も減少しているのである。

本来、障害者雇用の推進は”障害の社会モデル”とセットで考える必要がある。つまり、障害を作り出しているのは私たちの社会であるとの発想に立ち、働き方を人間に合わせるという意味での真の”働き方改革”が浸透することによってはじめて障害者は潜在的な能力を労働市場で発揮することができるのである。

こうした新しい考え方は、車いす用のエレベーターを設置するのとは異なり、現場で浸透するのに時間がかかる。いきおい、障害者の仕事量もゆっくりとしたペースでしか拡大しないのである。にもかかわらず短期間でこれだけA型が増えたということは”補助金目当て”の参入とみられても仕方ないだろう。まさに官製の”A型バブル”と呼ぶにふさわしい現象といえる。

今回の「不祥事」に対する行政の責任はきわめて重い。厚労省は「不祥事」を起こした事業者を「悪しきA型」などと称し、制度を悪用した側にすべての責任を押し付け、報酬規定の細分化/厳格化など規制強化に動き出している。何をか言わんやだ。行政の任務は、民間事業者をルールで縛ることではない。事業者のやる気を引き出し、その努力が社会全体の利益に結び付くような制度を作ることなのである。


欠格条項見直し 障害者の活躍支えたい

2018年04月20日 12時03分58秒 | 障害者の自立

 障害者の活躍の場を広げる契機としたい。成年後見制度を使う人から仕事の選択肢を奪ってきた諸種の法律の「欠格条項」が廃止される段取りだ。切り捨てるから支えるへ、発想を転換すべきだ。

 成年後見は認知症や知的障害のある人の権利を守る仕組みだ。判断能力の乏しい順に後見、保佐、補助の三類型があり、後見人などに選ばれた家族らが代わりに財産管理や契約行為を手がける。

 現在、利用者はおよそ二十一万人いる。その九割以上を後見と保佐が占めている。

 ところが、この二類型に頼ると二百以上の職種や資格、業務分野で自動的に不適格とされ、活躍の場から締め出されてしまう。百八十を超す法律にそう規定した欠格条項が設けられているからだ。

 建築士や保育士、教員、公務員として働くことも、法人の役員を務めることも許されない。障害者の自立と社会参加を支えるはずの制度が逆に足かせとなり、利用をためらわせてもきた。この矛盾を長年放置した政府の責任は重い。

 政府はようやく今国会に、成年後見にかかわる欠格条項を全廃する一括法案を出した。問答無用で失業に追い込まれ、訴訟に発展した事例もある。政府は救済策も併せて講じるべきではないか。

 岐阜地裁では、財産管理を保佐人に任せたために、警備業法の規定により警備員の仕事を失った知的障害のある男性が、職業選択の自由に反すると訴えている。

 大阪地裁では、大阪府吹田市職員だった自閉症の男性が、保佐人を付けたことで地方公務員法の規定により失職したのは、法の下の平等に反すると主張している。

 自らの権利を守る能力が低いからといって、一律に労働能力まで否定し、排除するのは人権侵害にほかならない。きちんと仕事をこなす能力があるかどうかは、障害に配慮して支援することを前提に個別にチェックするのが筋だ。

 気がかりなのは、欠格条項から成年後見の利用者を削除する一方で、例えば「心身の故障により業務を適正に行えない者」といった文言に置き換える案が目立つことだ。詳しい定義づけを国会審議を経る必要のない府省令などに委ねる形になっている。

 これでは行政のさじ加減ひとつで、排除される障害者の幅がかえって広がる懸念が拭えない。障害の有無を問わず、個別に能力をチェックする。その仕組みをこそ担保するべきだ。殊更に障害を問題視する姿勢は差別の温床になる。

2018年4月18日   東京新聞


世界基準大会 来月いすみで開催 日本で初「ぜひ見に来て」 

2018年04月20日 11時58分16秒 | 障害者の自立

障害者サーフィン

 体に障害のある人のサーフィン大会「アダプティブサーフィンエキシビジョンマッチ」が、5月18日にいすみ市の太東海水浴場で開催される。世界大会の基準で行われる日本初の大会になるという。主催する日本障害者サーフィン協会は「どのような形で競技が行われているか、ぜひ見にきてほしい」と話す。

  同協会によると、障害者サーフィンは、下半身などにまひがある選手は腹ばいでボードに乗り、義足や義手の選手もいる。

 今回の大会では、順位は示さないが、世界大会の基準をもとにスピードや技を採点。医師や看護師、救助員を待機させて、砂浜には車椅子利用者も移動しやすいように板を敷くという。

 サーフィンは2020年東京五輪で初めて正式種目として採用され、一宮町が会場となっているが、パラリンピックの種目には入っていない。障害者サーフィンは米国などで普及しているが、日本では認知度が低く環境整備も遅れている。

 同協会は、障害者サーフィンが2024年のパリ大会での正式種目に選ばれるためにも「今年と来年が重要な時期」とみており、認知度向上や選手強化を進めたい考え。今年秋には県内で全日本選手権大会を開催し、世界大会出場選手を選考することも予定している。

 5月18日の大会には同協会の阿出川輝雄代表理事や、義足サーファーの山本力也理事をはじめ10人ほどが出場する。午後1時から3時まで開催(荒天中止)。一般の観覧は無料。問い合わせは事務局(0470・87・6073)。

毎日新聞   2018年4月19日


社会的自立支援し、50年

2018年04月20日 11時38分29秒 | 障害者の自立

戸塚区聴覚障害者協会手話の普及などに尽力

 戸塚区聴覚障害者協会(榊原俊子会長)が先月、創立50周年を迎えた。耳の不自由な人の社会的自立支援を目的に設立された同会。これまで主に手話の普及に尽力してきた。4月22日(日)には、戸塚公会堂で節目を記念した行事も開催する。

 同会は現在、53人ほどのメンバーで構成。区民に手話を指導するサークルの運営のほか、健聴者との意思疎通を図る手話通訳者の周知や育成などを行っている。最近では上倉田地域ケアプラザで、聴覚障害がある子どもの学習支援方法を紹介する講演会を開催。創設され半世紀を迎えた今も精力的に活動中だ。

偏見や制約の中発足

 「50年前は財産管理や自動車の運転も許されず、私たちにとって言語である手話も、会話の手段として認められていなかった」と榊原会長は話す。偏見や多くの制約がある中で、社会の一員として豊かな生活を送る権利を守ろうと、同協会の先達は力を尽くしてきた。

 中心的な活動としては、現在も継続されている手話通訳者の育成だ。同会の上部組織である市聴覚障害者協会の指導者研修会を修了した人が講師となり、上矢部地区センターなどで講習会を行ってきた。こうした取り組みが功を奏し、数多くの人が手話を習得したという。

 一方、聴覚障害に対する偏見をなくす取り組みも重要視。過去の周年の催しなどでは、冒険家として活躍した植村直己さんや、県外の聴覚障害者団体の代表を招いて講演会を開くなど積極的に啓発活動を続けてきた。

 近年、聴覚障害者が運転免許証を取得できるようになったり、職業選択の幅が広がったりと環境が変化していくなか、特に大きな転機となったのが、県が2015年に手話を普及させるために施行した「手話言語条例」だ。榊原さんは「行政の意識が変わったことで、聞こえに不安のある人が暮らしやすい社会へ徐々に改善していっている」と指摘する。

毎月発行している会報を手に取る榊原会長

2018年4月19日   タウンニュース


障害者用駐車スペースのパイロン 実は障害者にとっての障害に

2018年04月20日 11時08分19秒 | 障害者の自立

 障害者用駐車スペースに設置されたパイロン(三角コーン、ロードコーンともいう)が、結局障害者にとってさらに駐車を困難にしているという事がSNSに投稿され物議となっています。

 この出来事は、車イスユーザーで乗用車を運転している古代戦車さんが遭遇した出来事。とある商業施設で障害者用駐車スペースに車を停めようとしたところ、駐車スペースの真ん前にパイロンが設置されており、非常に困ったという事です。

 この時は運よくこのスペースの隣が空いており、ゼブラゾーンを利用して車を乗降する事ができましたが、車イスを利用している人が乗用車を乗り降りする場合はドアを広く開けておく必要があるためゼブラゾーンがない状態では駐車場を利用する事が非常に困難となります。

 「車椅子で車の運転して移動した先、こうなってるとしんどい。」とその駐車場の画像をツイッターで投稿したところ、多くの反応が寄せられております。

 ツイートを見た人からは、同じ経験をされた車イスユーザーや妊婦さんなどから共感の声が上がったり、「無人の駐車場ではどうしているんだろうとずっと思っていた」という声が上がったり、「モラルのない人が駐車するからこういう事になるんだ」という声も。また、商業施設で働いている人からは「今まで気が付かなったので早速警備員さんに相談してみます」といった声も。

 古代戦車さんは頸髄損傷の為体を自由に動かせず、握力も弱いのですが車イスや乗用車を活用して一人で外出もされています。一般男性並みに握力があればパイロンを片手で掴んで車を操作しながら邪魔にならない方へ寄せる事もできますが、現状では困難。この様な時は車イスを一度車から降ろしてそれに乗り、パイロンを自力で移動させてから再度車イスを積んで駐車させるという事で、車を入れるだけでも15分以上時間を要するそうです。

■バリアフリー法と駐車スペースを持つ施設

 平成18年に【高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)】が施行され、多数の人が利用する施設付帯の駐車場については、障害があっても利用しやすいものとするよう定められています。その結果、障害者用駐車スペースが明確に定義されるようになりました。

 この法律の第一章第2条には「高齢者又は障害者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるものその他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者」と記述がありますが、「その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者」の部分には妊婦などが当てはまるとされています。高齢者は福祉用具を利用しての歩行の為車のドアを広く開ける必要があり、また妊婦も妊娠後期ではお腹が大きく出てくる為、広くドアを開けないと車の乗降が非常に困難です。

 しかし、この法律によって定められて設置された駐車スペースは店や施設から近くに設置されているせいか、健常な人が障害者用駐車スペースに車を止めてしまうというモラルのなさもしばしば物議に。その対策として障害者用駐車スペースにパイロンを置いているというのが置かれる理由のようですが、常に対応してくれる警備員がいる場所ならまだしも、いない場合は今回のように、結局障害者にとって更に駐車が困難になる場合が多々発生しています。

■パイロンを置かなくても大丈夫?「パーキングパーミット制度」

 佐賀県が2006年に初めて導入したこの制度は、自治体が発行した利用許可証をルームミラーに掛けておくことで障害者用スペースが必要である事を示し、障害があってもストレスの少ない駐車場の利用ができるというもの。自治体によっては呼称や利用できる区分が違うところもあるようですが、おおむね身体障害者と妊婦は利用できるようになっています。

車椅子で車の運転して移動した先、こうなってるとしんどい。

はじめから邪魔にならない位置にいるコーンのパターン。

「バンパーで押す」というリプが複数あったので恐る恐る試してみた。確かに、硬質で軽ければゆーっくり押せるな

 この制度は

佐賀県版パーキングパーミット利用証

佐賀県が平成29年3月に発表した資料によると、全国のうち36府県に導入されており、関西より西の自治体では全ての県が制度を導入しているなど広がりを見せております。しかし、北海道や関東、東海地方など一部自治体では導入されておらず、総人口に占める割合は約55%という状態。また導入している自治体でも、制度導入前よりも駐車をしやすくなったが、利用証の掲示のない駐車(不適正駐車)がなくならないという実態も明らかになっているなど依然としてモラルの問題が大きな課題となっています。

 この制度を導入している自治体同士で連携を図り、利用証の他自治体での相互利用も実現できているのですが、不適正駐車を取り締まるための法整備までできておらず障害者用駐車スペースの不適正駐車は野放し状態であるのが実情の様です。

 先述のバリアフリー法の中の条文(第4条)には、国の責務が謳われていますが、国がこのパーキングパーミットに関する規則を制定するまでには至っていません。制度導入自治体は制度を推進する協議会を発足し、国に対して法制度の検討を求めています。

 先進国ではこのような制度を法で整備し、罰則規定を設けるなどしていますが日本はまだバリアフリーへの理解はあまり良いとは言えない様です。

 障害者用駐車スペースのパイロンはバリアフリーの為に別のバリアを作っている様な状態。これではバリアフリーとはとても言えません。このような状態を作り出したのはモラルのない人たちによるもの。そしてモラルは一人一人が啓発し合って高めていくもの。真のバリアフリーは理解とモラルが必要不可欠です。

 

パーキングパーミットを利用できない理由の8割が不適正駐車

update:2018/4/19        おたくま経済新聞