ゴエモンのつぶやき

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知的障害者が地域で暮らすとは 「のぞみの園」の今

2018年04月16日 15時11分14秒 | 障害者の自立

「国立のぞみの園」前理事長 遠藤浩さんインタビュー

 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園(群馬県高崎市)のあり方をめぐり、厚生労働省の検討会が先月公表した報告書は「国として実施すべき事業に重点を絞って役割を担うべき」だとする一方、民営化も含めた検討も求めました。国立のぞみの園の前理事長で、検討会のオブザーバーを務めた遠藤浩さん(65)に聞きました(取材は理事長退任前の3月5日)。

 ――報告書をどのように受け止めていますか?

 「国立施設としての事業の重点化と言いながら、民営化も含めた経営主体もあり得ることが併記され、方向性があいまいになっている印象があります。存続ありきではなく、知的障害のある人たちの生活や人生を支えるために国立施設が必要か、国の障害福祉施策の実施機関として国立施設の運営や調査研究を行う独立行政法人が必要か、議論を深めることが重要です。障害福祉への意欲と力量がある民間施設に任せることで足りる場合ももちろんありますが、こうした施設はまだ少数で、支援の質にばらつきがあります。障害福祉行政を進める上で、全国の施設のサービスの質の底上げが重要課題です。『のぞみの園』は知的障害のある人たちのニーズを的確に把握し、支援のノウハウの発信や人材養成を行うなど全国的に働きかける国の実戦部隊としての役割を担ってきました。今後もそうしたミッションを果たすため、公共的な事業を担う独立行政法人による運営が適切だと思います」

 ――事業収入は減る傾向で、収入の約4割を占める国からの運営費交付金も減り続ける見込みです。支出の約7割を人件費が占め、職員の平均給与が民間に比べ高水準との批判もあります。

 「大規模施設は必要ありません。支援の質を上げるための調査研究や人材養成を事業の柱に、そのフィールドとして小規模な施設があれば十分。その一つが、著しい行動障害のある人や、矯正施設を退所した知的障害者といった支援が難しい人の入居支援です。2016年度までに2年ほどの有期で、著しい行動障害のある15人、矯正施設の退所者32人を受け入れましたが、待機者もいて受け皿は十分とはいえません。18年度から5年間でそれぞれ78人、35人に増やす計画で、有期の受け入れは事業の中心になり得ると思います。独立行政法人が担うのは、公共上の見地から実施が必要な事業です。採算がとれる事業は民間が実施するはずで、通常は採算がとれず収支で赤字になる部分を運営費交付金で賄う財政構造になっています。人件費削減も視野に入れた議論は必要ですが、採算上問題があるということで民営化という安易な議論ではなく、限られた財源で必要な事業をいかに実施するかが重要だと思います」

入居者への支援、最後まで

 ――03年の独立行政法人化に伴い、「施設から地域へ」と方針転換しましたが、今なお200人以上の人が暮らしています。入居者は今後、どうなるのでしょうか?

 「かつて重い障害があり、社会に居場所を見いだせない人たちを『終(つい)のすみか』にもなり得るとして全国から受け入れた経緯を勘案すると、最後まで支援の責任を果たす必要があります。その果たし方の一つとして『本人も家族も喜べる地域移行』に取り組んできましたが、本人の状態や保護者らの意向などで引き続き施設生活をする人たちもいると思います。こうした人たちは、最後までのぞみの園による支援が望ましいと考えています。仮にのぞみの園以外の民間施設で、あるいは運営主体を別にするという選択肢を検討することになったとしても、今の生活の質を確保するために国は引き続き責任を持つというメッセージが明確に伝わることを前提にすべきです」

 ――診療所や研究部があることが強みですね。

 「診療所は、施設入居者のホームドクターとしての役割を担っています。重い知的障害や行動障害のある入居者の入院を地域の医療機関が受け入れることは容易ではなく、保護者からは安心できると喜ばれています。地域の障害のある人たちにも医療サービスを提供しています。特に発達障害のある人たちの診断と専門的な治療については専門医とスタッフを配置し、群馬県とその近隣地域の拠点としての機能を担っています。調査研究のテーマは、高齢者支援など現場の質向上に活用できるものを心がけています。職員の養成研修にも力を入れています。例えば、矯正施設の退所者の専門的な支援の研修会の参加者は、これまでに延べ800人を超えました。高齢の知的障害者や大人の発達障害など新たな課題についてのセミナーの参加者は、この5年で延べ約3千人に上ります」

 ――施設を出て地域の暮らしへ移る人は、これまで計170人ほどになりました。でも最近は年間5人ほどと鈍化しています。

 「高齢化や機能低下が進み、入居者約200人の半数が車いす利用者です。医療的ケアの必要な人も増え、入居者の出身地や家族の近隣に適切な移行先を見いだすのが難しくなっています。保護者も親から兄弟、いとこなどへと代替わりし、同意を得るのが難しい。でも、自分から望んで施設に来た人はいません。ハードルは年々高くなっていますが、保護者らにどのような受け皿があるのか具体的に提案するなど粘り強く取り組みます。地域へ移れる対象者はいますし、出身地に戻れない場合は、のぞみの園が運営する高崎市内のグループホームもあります」

日常的な結びつき、強めれば

 ――障害のある人とない人がともに暮らす社会は、どうすれば実現できるでしょうか?

 「障害のある人と接すると、戸惑う人もいます。それでは地域に出ても心地良い環境とはいえません。のぞみの園では地域住民も利用できる『ふれあい香りガーデン』をつくり、だれもが参加できるフェスティバルを開いています。のぞみの園の入居者が地域の運動会や芸術祭に参加するなどして交流を深めています。2年前に相模原市で起きた障害者施設の刺殺事件は、障害者への理解が行きわたっていないことを痛感させられました。日常的に地域との結びつきを強めることで、障害のある人もない人も安心して暮らしていける。そう思える共生社会を実現するために施設もさまざまな貢献ができるのではないでしょうか。障害者が日常の風景のなかに溶け込んでいることが当たり前の街になってほしいと思います」

 遠藤浩さん・国立のぞみの園前理事長

 《略歴》1952年、東京生まれ。75年、厚生省(当時)に入省。障害保健福祉部の障害福祉課長や企画課長などを歴任し、障害者政策に深くかかわる。「国立コロニーのぞみの園」が独立行政法人に組織変更した03年10月、理事長に就任。「施設から地域へ」と国の方針転換を受け、地域移行を進める一方、高齢化が進む入居施設の支援の質の向上、全国の人材養成などに尽力。任期満了のため、今年3月31日退任。社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会理事などとして活動している。

 写真・図版

「国立のぞみの園」の前理事長、遠藤浩さん。「今後も民間の障害福祉団体をフィールドに、障害のある人たちの福祉向上に貢献したい」と話す

<アピタル:ニュース・フォーカス・特集>


お子さまランチ専門店開店 大村ボート 障害者の就労支援

2018年04月16日 14時59分34秒 | 障害者の自立

 日本財団の障害者就労支援プロジェクト「はたらくNIPPON!計画」のモデル事業として、大村ボートレース場(長崎県大村市玖島1丁目)に14日、お子さまランチ専門店「KINOBUTA(キノブタ)」がオープンした。
 同プロジェクトは障害者の雇用と工賃向上を目的に、同財団が事業費の約8割を助成。全国で100カ所をモデル事業に選ぶ。
 「KINOBUTA」は社会福祉法人飛翔会(矢野義範理事長)が運営し、障害者3人が働く。開所式には関係者ら約50人が出席。お子さまランチ20種類の試食会もあった。
 日本財団の前田晃専務理事は、全国的に就労継続支援B型事業の工賃月額が低い現状に触れ「事業が軌道に乗り、工賃月額3万5千円という目標を達成できることを祈る」とあいさつ。園田裕史市長らとテープカットでオープンを祝った。
 お子さまランチは離乳食(200円)から大人向け(千円)まである。営業日と時間は大村ボートレース場の営業に合わせて変更する。

20種類のお子さまランチが楽しめる「KINOBUTA」=大村ボートレース場
 
 
2018/4/15     ©株式会社長崎新聞社

点字翻訳 東日本大震災 江東から被災地支援

2018年04月16日 13時37分13秒 | 障害者の自立

 東日本大震災で被災した視覚障害者を支援しようと、江東区の点字サークル「木曜会」は、震災直後から宮城県内の視覚障害者のために書籍や楽譜の点字翻訳(点訳)を続けている。本紙読者で同会の点訳を指導する田村和枝さん(74)=中野区=が震災直後、宮城、岩手、福島の三県の視覚障害者支援施設に「点訳の要望があれば何でも引き受ける」とメールしたことがきっかけだ。 

 その中で、宮城県視覚障害者情報センターに寄せられる点訳依頼の一部を木曜会が担うようになった。二〇一一年五月以降、小説や絵本、イタリア語の教本、プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの写真集など幅広い分野の約三十点を点訳した。

 現在は、フルートの楽譜を翻訳中。目の見えない人は五線譜を使えないため、音階や和音、音の強弱なども点字で分かるように翻訳する必要があり、高い技術が求められる。

 担当している川口春美さん(71)=台東区=は「四分音符や八分音符などの音の長さも点字の言葉で説明するので、楽譜に比べてすごい長さになる。依頼者がきちんと演奏できるよう、正確な作業を心がけています」と話す。

 宮城県視覚障害者情報センターによると、センターに登録されている点訳ボランティアは震災前の一〇年三月に百四十三人で、今年三月には百十人と減少傾向。ボランティアの高齢化や共働き世帯の増加が影響している。担当者は「長期間にわたって支援してもらい、本当にありがたい」と感謝する。

 田村さんは「震災から七年がたったが、今も不便な生活をしている視覚障害者は多いと思う。今後も点訳のお手伝いを続けたい」と話している。

 

楽譜の点訳について相談する田村和枝さん(左)と木曜会の人たち

2018年4月15日   東京新聞


強制不妊、佐賀県でも86件 資料なく実態解明困難

2018年04月16日 13時23分11秒 | 障害者の自立

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害などを理由に不妊手術が繰り返された問題で、佐賀新聞社は14日までに、佐賀県衛生保健年報などに記録されている数字を集計した。県内で不妊手術を強いられた件数は少なくとも86件に上り、49年から82年にかけて実施されていた。ただ、県優生保護審査会に関する資料は破棄されており、誰が手術されたのか特定できず実態解明が困難な状況もある。

 年報などには52、53年の件数の記録はなかった。

 旧法を巡っては、知的障害を理由に不妊手術を強制されたとして、宮城県の60代女性が国に損害賠償を求め今年1月に提訴するなど、旧法下の不妊手術の問題が注目され実態解明や救済を求める動きが出ている。

 全日本ろうあ連盟は3月、全国の加盟団体に実態調査の協力を依頼した。佐賀県聴覚障害者協会も調査を進めている。同連盟によると、そもそもタブー視されている上、調査対象者を見つけるところから始めるため困難が予想されるという。連盟は「まず実態を把握し、ろう者の被害者にも救済措置が取れるように働きかけていく」としている。

 知的障害者の家族でつくる「県手をつなぐ育成会」の村岡洋会長(65)は「これまで当事者が語ることができなかった問題で、わたしも聞いたことがなかった。声を上げた人たちは勇気がある。国は責任を持って調査し、誠意ある対応を取るべき」と話し、実態解明と被害者救済を求める。

 県視覚障害者団体連合会の森きみ子会長(63)は「県内でも86件あったということに驚きがある。当時から人権意識が変わったことで、暗い歴史に目を向け、向き合っていくことができるようになってきたのでは」と変化を感じている。

 県こども家庭課によると、公文書館を含め全庁的に資料を探したものの、個人が特定できる資料は見つからなかった。医療機関の調査については「国が調査する具体的な方針を待って協力する」としている。これまでに旧法下の不妊手術に関する相談は寄せられていないという。

  ■優生保護審査会

 旧優生保護法下で、障害者らに対する不妊手術の適否を審査していた。国の機関委任事務として都道府県知事が設置・運営を担った「都道府県優生保護審査会」と、当時の厚生相が監督する「中央優生保護審査会」があった。委員は役人や医師、裁判官、検察官、民生委員らで構成。都道府県優生保護審査会は、知的障害や精神疾患などを理由に医師が申請した不妊手術の適否を決定した。対象者や親族らは決定に異議がある場合、中央優生保護審査会に再審査を申請することが認められていた。

4/15    佐賀新聞


事故で左足切断、独学の手工芸品を露天で売って生計

2018年04月16日 13時04分46秒 | 障害者の自立

【4月15日 CNS】中国・福建省(Fujian)福州市(Fuzhou)倉山区(Changshan)の街中で、王勝利さんは自分の体に黄色いひもを結びつけて台車を引っ張る。台車に積まれた露店道具は、王さんが一歩一歩前へ進むたびに、飛び跳ねながら動く。

 4年前、河南省(Henang)からこの地にやって来た王さんは交通事故に遭い、左足の半分以上を切断した。その後、王さんは自作の手工芸品を街中の露店で販売し、生計を立てることを考えた。

 王さんの露店は、交差点沿いにある。「手工芸は、各地を巡っていた時に学んだ。手工芸を教えてほしいと頼まれたたこともある。自分がかつて先生に教わったように、私も喜んで無償で教えたよ。たくさんの障害者が私と同じように、自分で働いて生活を作り出してほしい」と、王さんは語る。

 アリ、バッタ、クモ、蛇、馬・・・王さんの露店はまるで動物園さながらで、道を行き交う人たちが足を止める。王さんは、自宅で手工芸を独学で始めた頃は簡単な物しか作れなかったが、今年の初めごろ手工芸の先生と知り合ったことがきっかけで、本格的に勉強を始めたという。

「私はこれからも福州にいるよ。福州の人は良い人たちで親切だ。時々、手を貸してくれて台車を引いてくれたりするんだ」

「福州は『福の有る州』。この福の気で、私の生活がどんどん良くなるといいね」

 王さんは、自分自身が障害者だと全く思っていない。自分の生活に対して諦めた人こそが障害者なのだと言う。(c)CNS/JCM/AFPBB News

事故で左足切断、独学の手工芸品を露天で売って生計 福州
黄色いひもを結び、露店の場所まで移動する王さん(2018年4月5日撮影)。

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。

2018年4月15日 12:13 発信地:中国