一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

岩手・三陸フリーきっぷの旅(その3)

2009-08-27 | うろうろ歩き

翌日は、1日3往復しかない岩泉線に乗り継ぐために昨日よりも更に早起きして、6時35分宮古発の列車に乗ります。

宮古駅につくと、駅の向こうに何やら巨大な煙突が。



駅員さんに聞くと、「ラサ工業」の工場の煙突だとのこと。

位置関係としてはこんな感じ

余談ですが、この「ラサ工業」という会社を調べてみたらけっこうトリビアな社名の由来でした。

当社の社名は、90年以上遡る明治40年(1907年)に何の変哲も ない南海の 無人島であったラサ島でリン鉱石を採掘したことに 由来します。 ラサ島 は、北緯24度27分57秒、東経131度11分23秒。 沖縄本島、那覇市から東 南約408Kmに位置し、周囲約4.5Km余り、珊瑚礁に囲まれ蛤に似た形を しており、 明治33年に日本の領土であることを正式に表明してからは、 公式には「沖大東島」と称されます。 一般には「ラサ島」という通称で呼ばれるこの島が、時代の 脚光を浴び るようになったのは、創業者であり、当時農商務省 肥料砿物調査所初代 所長を務めた恒藤規隆らの不屈の探検によるリン鉱石の発見から始まり ました。 以来、ラサ島は肥料の原料となるリン鉱石の国内唯一の産出地 として、 往時には2千人の在島者を数え、戦前の農業生産上の 重要な拠点となっ ていました。 現在は無人島ですが、わが国領海の 基点として、今も重要な位置を占め ています。
同社のサイトから)

現在は環境工作機械や工業薬品を製造する会社になっています。

昨日の釜石も江戸時代に発見された鉱山から官営製鉄所に発展し、民間企業となって戦後の高度成長を担ったわけですが、鉄道路線もそれらの工業資源の採掘・輸送を目的に敷設され、高度成長期が終わり円の価値が高まり輸入材料に押されるようになるとその生産地とともに鉄道も運命を共にする、ということを象徴するような昨日今日の行程であります。


さて、宮古駅から山田線を盛岡方面に4駅目の茂市駅で7時1分発の岩泉線に乗換え。


乗客は6名ほど。


岩泉線は国道340号線と川に沿って進みます。






山に差し掛かるにつれ、線路は林の中を走るところも多く、いい雰囲気が出てきます。



ただ、それぞれの駅の周りには集落があって、完全な過疎地というわけではありません。

途中駅で乗ってくる人も何人かいます。
岩泉には高校もあるので、生徒達も乗ってきます。



(「危険です」と言われても、1日に3本しかない列車だと駆け込みたくもなるでしょう。)




「秘境駅」として有名な押角駅




『鉄子の旅』(今回の行き先決定や旅程を組むのにも参考にしました。)でも取り上げられていましたが、駅の前後には列車からも人家がパラパラと見え、思ったほど「山の中の隔絶した駅」という感じではありませんでした。
確かに駅には道路が接道していなくて、木の橋で小川を渡ってたどりつく、というアプローチは、駅に降り立つと隔絶感を感じるかもしれません。
そして、押角駅を撮影する定番とも言える峠の上から駅を俯瞰した写真だと、ホントに森の中にポツンとある感じがします。(Google画像検索「押角駅」を参照。このアングルを見つけた人は確かにすばらしいと思います。)


押角駅を出ると、押角峠を抜けるために大小のトンネルをくぐります。



(この写真は今回の旅行で一番のお気に入り)



そして1時間弱で終点の岩泉駅に到着。


ここから龍泉洞まで3kmほど歩きます。
駅から龍泉洞に行こうという人は僕だけでした。
他に駅に降りた人は、町営バスや迎えの車に乗ってそれぞれの目的地に行く地元の人と輪行(自転車を列車に持ち込んで駅からツーリングに行く)の人、そして、乗ってきた列車でとんぼ返りをする「テツ」1名。

岩泉線自体は寂れていますが、岩泉町自体は日本3大鍾乳洞と言われる龍泉洞などの観光や、林業(山を見ると伐採が計画的に行われています。儲かっているかはわかりませんが。)、それに岩手短角牛の中でも高級と言われる岩泉短角牛の産地として元気なようです。

さすがに歩いてはいけなかったのですが、「道の駅いわいずみ」の近くにはふれあいランド岩泉というオートキャンプもできるキャンプ場や楽天イーグルス岩泉球場などもあり、けっこう楽しめそうです。
また、短角牛についてはやまけんの出張食い倒れ日記「岩手県のプレミアム短角牛生産地 岩泉に行ってきた!」をご参照。既に高級食材として人気のようです。





途中の田んぼで実った稲を眺めたりしつつ龍泉洞に到着。



こちらは国指定の天然記念物だけあって、きちんと駐車場やトイレ・周辺・休憩施設なども整備されています。

昨日の滝観洞と違い、遊歩道もきちんと整備されていて、ヘルメットなどは不要です。





今は、パナソニックとタイアップして、LED照明でライトアップされています。
(広告写真でも使われていますね)





ちょっと演出過剰の観が無きにしも非ず。



ここの見所は3箇所の地底湖。
特に第二湖は透明度41.5m、水深120mでエメラルドグリーンに輝いているので有名です。




ここはLEDの演出はなく、白色光だけで地底湖の自然の輝きを楽しめます。



せっかくなので、昼食は「短角牛のタタキ定食」




東京でも食べてみたいけど、高いんだろうなぁ・・・



龍泉洞からはJRバスで盛岡へ。

龍泉洞の観光客向けの直通バスだと思っていたら、路線バス。
実際途中で地元の人が7~8人乗り降りしました。

太平洋に面した小本から岩泉を通って盛岡まで通じる小本街道を走ります。
路線バスなので、国道から脇道(旧道)に入った集落のバス停をとおります。

途中けっこうな規模の集落があり、小学校や中学校もいくつかあります。

もともと小本街道は塩の道として三陸海岸と北上盆地を結ぶ主要な街道だったらしく、歴史的には鉄道よりも古いわけですし、今では牧場なども多く(畜産試験場があるくらい)、岩泉線から見る風景よりも活力があります。

物流や人の流れは時代によって変わるわけで、鉄道、特にローカル線だけを見ていてノスタルジーにひたっていると見落とすものもありますね。

また、早坂高原岩洞湖(がんどうこ)など、雰囲気のある場所もあります。
東京からは遠いけど、別の機会に来てみたいと心にメモ。

(この道路やダムなどの整備は小沢一郎の(父親の代からの?)功績と考えると、また別の切り口の話になりますが、それは別の機会に)



バスに1時間半ほどゆられると、盛岡のある北上盆地が見えてきます。





二時間強で盛岡駅に到着。

これであとは新幹線に乗るだけです。


1時間ほど余裕があったので、旅行の〆にぴょんぴょん舎駅前店で盛岡冷麺をいただきました。
(今や東京にも出店しているのですが、やはり盛岡冷麺の老舗ということで。)



 



 (おわり)


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岩手・三陸フリーきっぷの旅... | トップ | 昭和の事件、平成の事件。 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初です。 (しいざあ)
2010-06-28 20:46:10
初めまして、岩泉でググってたら辿り着きました。
現在大学生の岩泉民です(現在は盛岡ですが。)

懐かしい岩泉の景色と、丁寧な解説に、
嬉しくなってついつい書き込みさせていただきました。

また是非岩泉にいらしてくださいね!

では失礼いたします。
返信する
懐かしいです (go2c)
2010-06-29 06:23:53
しいざあさん、はじめまして。
もう一年たったんですね。
僕も改めて読んで懐かしく思いだしました。

ときどき「龍泉洞の水」は通販で取り寄せてます。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

うろうろ歩き」カテゴリの最新記事