一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

意図がわかりません (フジテレビvsライブドア その13)

2005-03-22 | M&A
NHKのBSニュースを見ていたらライブドア、 フジに株式取得を伝えるという報道があった。
業務提携の席上伝えたらしい。

無断転用を承知で転載すると
「業務提携についての話し合いは、平行線のまま終わったということですがライブドア側は、フジテレビの株式の取得に着手していることを伝えたうえで、業務提携に向けて堀江社長とフジテレビの日枝会長とのトップ会談を開くよう申し入れたということです。」


おいおい・・・、業務提携の話し合いって、事前に守秘義務契約を結んでいないのだろうか?


守秘義務契約を結ばない程度の話し合いなら、業務提携をするつもりはお互いにないんだろう。
フジテレビもライブドアも、宣戦布告に先立って「お互いに相手の話を聞いたが、あいてが理解を示さなかった」というアリバイ作りが目的か。

もし、この話し合いは「挨拶」「打診」で、脈があれば本格的な交渉に進む、という可能性があるなら、入り口の時点でしっかり情報管理をするはず。

また、万が一フジの守秘義務契約違反だとしたら、ここは厳しく責任追及すべき話だ。



じゃあ、次の疑問は、ライブドアはどうして守秘義務を負っていない相手に対して、「株買ってます」なんて言ったのだろうか?


さすがに「道義的に交渉内容は明かさないはずだ」なんて考えるほどナイーブじゃあるまい。

だとすると、フジテレビにプレッシャーをかけようという脅しか?

NHKは「ライブドアは、ニッポン放送が保有してる22%余りのフジテレビ株と自ら取得する分とを合わせてフジテレビの株式の過半数を握ることも検討しており、フジテレビ側に対して株式の取得に着手したことを伝えることで今後、フジテレビの買収に動く可能性を示し、業務提携に向けた協議を有利に進めようという狙いがあるものと見られています。」
なんて呑気なことを言っているが、既にTOB規制(1/3)ぎりぎりまで買っている(※末尾参照)というのならともかく、「これから買うぞ」なんてほとんど脅しだし、1回目の交渉から脅しをかけたら、うまくいくものもいかなくなるということぐらいはわかっているだろう。

さらにそれをリークされて「脅しをかけるホリエモン」とネガティブ・キャンペーンの道具にされてしまう(既にされているか・・・)。

また、市場も「ホリエモンは力ずくでもフジテレビ株を買いにくるだろう」と考え、買う前に株価が上がってしまう。


いずれにしろ、本気でTOBするつもりなら、事前に手の内を明かすのは愚の骨頂だ。


じゃあ、ライブドアはリークを承知で発言したことになる。


その場合、本音ではTOBはするつもりはないが「株買うぞ」と脅して提携を働きかける(NHKの言うとおり)つもりだったのか?
提携交渉としては下手だと思うけど・・・

それとも、フジテレビ株を高騰させてニッポン放送が保有するフジテレビ株を(自己株式取得ができないなら誰かに)高値で買い取らせようという作戦か。
でも、これって「風説の流布」なんじゃないか?
「交渉相手からのリークは風説の流布にあたらない」とかいう理屈があるのだろうか(ここは不勉強です)。



ホリエモンは何も考えずに無手勝流で交渉に臨んでいるのか、はたまた何か深謀遠慮があるのだろうか?
少なくとも僕にはホリエモンの意図が理解できませんでした。



※TOB規制は、本人と特別関係者の所有する株式の議決権の合計が総議決権1/3を超えるかどうかで判断されるが、ライブドアが株式の過半数を持っているニッポン放送は特別関係者になる、けどニッポン放送の保有するフジテレビ株は議決権がないので、今のところはカウントされない。
なので、ライブドアが33.33%までフジテレビ株を買い集めて、その後ニッポン放送を第三者割当増資してニッポン放送保有分の株式の議決権を復活させれば、一気にフジテレビの議決権の過半数をTOB規制なしに押さえるというトリッキーなことが理屈上はできることになる。
ただし、第三者割当増資が脱法行為だ、と差し止められる可能性もあるんじゃないかと個人的には思う。
また、10%ルールにより、大量保有報告書を提出しなければいけないので、10%まで内緒で買ったら、あとは一気に(例外規定が使えなければ5営業日以内に)1/3弱まで買わなければいけない、という弱点もある(ニッポン放送のときはこのために時間外取引で一気に買ったわけ)。

このように、フジテレビ株の買い方、というのもけっこういろんな論点があってそれはそれで面白いので、時間があったら勉強してみます。(多分その前に誰かが書いてくれるでしょう。)
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