一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「Fury」

2014-11-30 | キネマ

最近の戦争映画は実写とCGをうまく使って非常にリアルにできている。

子どもの頃(=昭和の頃)の第二次世界大戦を題材にした戦争映画は、特にドイツ軍の戦車は現存するものが少ないせいか、米軍の戦車に張りぼて(ひどいときはマークと塗装を替えただけ)のものが使われていたりした。

本作はティーガー戦車の実車を使った初の映画(「プライベート・ライアン」でもレプリカの車両を使っていたらしい)でM4シャーマン戦車との戦闘シーンが目玉ということで、子供のころのプラモデル(そのころは「タイガーⅠ型」と呼ばれていた)の記憶を呼び覚まされたという単純な動機で久しぶりに映画館に足を運んだ。

戦車戦といっても、草原に横一列に展開する戦車隊同士の大決戦というような昔の戦争映画と違い、歩兵の支援が主の地道な任務が舞台。しかもタイガー戦車には歯が立たず、ドイツ歩兵の対戦車ロケット弾にも悩まされたりと、決して華々しいとは言えない。
その分、地上戦において、歩兵に対してはその装甲と火力での圧倒的なアドバンテージを発揮した戦車の威力を目のあたりにすることになる。
実際、ネタバレになるので詳しくは触れないが、かなり凄惨な描写が多い、小銃中心の歩兵戦でなく、戦車砲と重機関銃による戦闘(とその物理量の人体への衝撃)がリアルに再現されているので、その手に弱い方は避けた方がいいかもしれない。

また、Political Correctnessが問われる昨今の映画の中でも、ナチスドイツは絶対的な悪と位置づけても問題がないからかもしれないが、逆にそれが「悪」に対するアメリカ人(に限らず人間)の残虐さを表現することにもなっている。
そこの部分は補充されてきた新兵の葛藤や聖書を愛する砲手などの登場人物がいいアクセントになっている。

カップルで来ている若者も多かったが、女性に感想を聞いてみたい感じもした。


ちなみに、米軍のM4シャーマン戦車は重量30t、一方でティーガー戦車は重量57t、それに応じて火力や装甲も差があるので戦闘力には大きな差が出るのだが、米軍は船で輸送する必要があるのでサイズに制限があったのは仕方のないことだったのかもしれない。
逆に言えば30tもの戦車を大量に大西洋を越えて輸送できる能力があったわけで、大日本帝国陸軍の戦車はせいぜい十数トン規模で(本土決戦用に大型の戦車が計画されたが実戦配備された数は極めて限られていたようだ)、それを考えると兵器開発能力だけでなく、彼我の兵站の差は圧倒的だったことに改めて気づかされる。


Fury Official Trailer (2014) Brad Pitt, Shia LaBeouf HD


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