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2005-12-08 | よしなしごと

小田急訴訟 周辺住民に提訴資格 最高裁初判断「騒音など被害」
(2005年12月 8日 (木) 03:05 産経新聞)

東京都世田谷区の小田急線高架化工事をめぐり、周辺住民四十人が国の事業認可取り消しを求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は七日、地権者以外にも健康や生活環境に著しい損害を受ける周辺住民は訴えを起こす資格(原告適格)があるとする初の判断を示した。事業用地内の地権者以外に原告適格を認めなかった従来の姿勢を転換する判断。今後の行政訴訟のありように影響を与えることになる。

町田裁判長は、四月施行の改正行政事件訴訟法を踏まえ、事業認可には都環境影響評価条例などで定められた手続きを取ることが前提になっていると指摘。「認可の根拠となった都市計画法には、騒音などの被害を受けないという利益を保護する趣旨が含まれている」と判断した。

判決が言い渡されたのは、大法廷に「論点回付」された原告適格に関する部分だけで、事業認可の是非は最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)で後日改めて判断される。

行政事件訴訟法は原告適格(許認可などの適法性について争う資格)を、「法律上の利益を有するもの」とのみ規定していて、裁判所もこれを問題になった法律に限定してかなり狭く解釈していたために「門前払い」の判決が多かったのですが、昨年の法改正によって、原告適格を実質的な利益の有無を基準とするように変えました(下記の第2項ですね)

第九条  処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる
 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
法律の趣旨に沿った判決で、事業の影響を蒙るはずの環境アセスメントの範囲内の住民に認めたのは客観的な線引きとしてもわかりやすいと思います。

ただ、(既に出来上がっている、ということを除いても)アセスの時に公聴会などが開かれて、住民の意見は聴取されたはずで、そのときに圧倒的な反対があり、しかもそれを全く無視して事業計画の修正もせずに認可がされた、というようなことでもない限り実際に住民の訴えが認められるのは難しいと思います。

鉄道の高架化は、それによって恩恵を蒙る住民も多いわけで、反対の人が事後的に訴訟を起こしたからといって、その人たちだけの利益が考慮されるわけではないからです(そうでないと、公聴会の意味がなくなってしまう)

法改正により、行政も紋切り型の手続きではすまなくなってきているわけなのですから、手続き上意見を述べるところでしっかり意見を述べる、というほうが重要だと思います。

※ ただ、今回の場合、旧法下の手続きなので、そこでの手続きや判断(けっこう紋切り型だったかもしれない)の適法性を事後的にどう判断するか、という問題はあるかもしれません。
すみません、その辺は勉強不足でよくわかりません m(_ _)m

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2 コメント

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時代は変わりましたねぇ (ろじゃあ)
2005-12-09 16:01:25
いつもコメントとTBありがとございます。

この原告適格の文言のおかげで間口ひろがったわけで。同時に法律の規定だけではなくその他の部分を勘案することになった結果、実質的には形式判断よりちょっと踏み込んだ検討と判断を行なう形になってんすかねぇ。

行政はこりゃ確かに大変っすよね。
返信する
re:時代は変わりましたねぇ (go2c→ろじゃあさん)
2005-12-09 23:51:26
昔の行政事件に比べると確かに様変わりですね。

その分、われわれの側も、行政の意思決定への参科のプロセスでしっかり意見を言わないといけない、ということなんだとおもいます。
返信する

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