一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

私たちのお金とコーポレート・ガバナンス

2005-04-03 | よしなしごと
昨日のコーポレート・ガバナンス論のつづき

昨日は経営者自身が自律的にまじめに経営に当たる、というのは、オーナー社長じゃないとなかなか難しい、と言う話でした。(自分が不真面目で隙あらば楽したがるたちなので特にそう思うのかもしれませんけど


では、株主の側はどこまでガバナンスをきかせることができるのか、というのが今日の話。


株主と言っても一人で上場企業の議決権の過半数を持てるような人は創業者とかじゃない限りほとんどいない。

具体的な数字は調べる暇がなかったけど、個人が直接株式投資を行っている割合はすごく少なくて、大半は個人の金も年金基金や投資信託を経由して入っている。(お金持ちは私募投信のようなprivate equityにも投資するんだろうけど)

俗に言うファンド、ですね。
年金基金や生命保険のように長期安定的な成長を目指すものや
投資信託のようにある一定のテーマに絞って投資するもの
村上ファンドのようにM&Aで経営にまでコミットしようというものもある。
(ベンチャーキャピタルのような未公開株に投資するものはここでは除外します)


上の2者は、株価が上昇すれば満足だし、経営陣に対して不満があるなら株を売却するだけ。
となるとあんまり経営自体に首をつこんだりはしない(資金規模も大きいし、投資先の時価総額も大きいので現実的でもないし)。
アナリストがちょっとうるさく質問して業績見込みを分析しようとするくらい。

そしてデイトレーダーを含む個人株主も、株価の上下に主な関心がある。


そうすると、経営に物を言うのは村上ファンドのような、企業価値が割安な銘柄に投資して、経営ごと変えてハイリターンを目指す人たちぐらいということになる。

だから、ニッポン放送や西武鉄道のような経営がまかりとおりがちになるのだろう。
※そういう意味では村上ファンドのような物言う株主は希少価値があるわけですね。



じゃあ、僕のような「小金投資家」はどうすればいいんだろうか?


株を持ってる会社がいい加減なことをやったら、代表訴訟でも提起するのか?
でも代表訴訟は売り抜け損ねた個人株主が腹いせにする手段という色合いがありような気がする(勝訴しても損害賠償は会社に対してなされるので、個人には払われないのだから)

そんないい加減なことが表ざたになる前に売り抜けたい、というのが本音だろう。


となると、結局は「情報開示が公平にされて、不当な行為(経営陣にしろ株主にしろ)は適切に処罰される」という当たり前のことにことに尽きるんじゃなかろうか。


今回のフジテレビvsライブドア騒動の議論で、当事者の属性でその是非を云々することが多かったけど、それはやっぱり間違っていると思う。


自分が直接買っている株以外に年金とか生命保険とか銀行預金の運用先がどこを経由してどんなところに投資されているかは実のところわからない(年金資金運用基金が西武鉄道株の売却で80億円の損失なんてこともあった)。
だから、不用意な発言は自分の首を絞めることにもなる。


結局、フェアな競争が担保されているかどうか、を基準に判断するしかないと思う。
「小金投資家」としては資金運用を委ねる選手を選ぶことが多いわけで、その選手同士がフェアな競争をしてパフォーマンスを競うのが健全な姿だと思う。


GDP、外貨準備高、個人金融資産で世界のトップレベルにある国が、「外資が怖いから」というような理由で法改正をするというのはいかがなものだろうか?


PS 投資信託や年金基金のようなファンドの運営の健全さ、ガバナンスも実は問題なんですけどね。そのことはまた後日。
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