日本共産党 群馬県議会議員 酒井ひろあき

あなたとつくる、希望の群馬。

ハンセン病市民学会総会・交流集会in奄美・鹿屋に参加して~将来構想などを考える

2016年05月25日 | ハンセン病
第12回ハンセン病市民学会が5月13日から15日、鹿児島県奄美市と鹿屋市で開かれ、参加してきました。統一テーマは「らい予防法廃止20年・ハンセン病国賠訴訟勝訴15年を迎えて」。
初日の奄美和光園では、馬場まゆみ医長が「奄美和光園での地域医療の現状と可能性」と題して記念講演。続くパネルディスカッションでは、徳田靖之弁護士、僧侶の福田恵信氏、全医労奄美支部長の福崎昭徳氏、一村会会長の美佐恒七氏らが、医療施設としての維持拡充や高齢者福祉施設の誘致、永続化に向けた提言や課題について議論。また患者の強制隔離に反対し続けた小笠原登医師と日本画家の田中一村の記念資料館整備の展望についても語り合われました。


2日目は鹿屋市文化会館で総会とシンポジウムを開催。「全療協のたたかい~当事者運動から学ぶ」では、多磨全生園入所者自治会長の佐川修氏、全国ハンセン病療養所入所者協議会会長の森和男氏、国立ハンセン病資料館学芸員の金貴粉さん、菊池恵楓園社会交流会館学芸員の原田寿真氏らがそれぞれの園の現状や取り組みについて報告。続いて、「ハンセン病を生き抜いた人々の光と熱を伝えたい」をテーマに、2名の小学校教員が紙芝居の取り組みについて報告しました。


3日目は分科会「ハンセン病問題基本法を生かす自治体の取り組み」に参加しました。
ハンセン病元患者の社会復帰を支援している谷崎和男さんは、星塚敬愛園在園者の日野弘毅さんの帰郷の取り組みついて報告しました。日野さんのふるさと、延岡市ではワーキンググループをつくり、職員全体で受け入れに努めてきたことや、再入園にあたり敬愛園のケースワーカーとも緊密な連携をとってきたことを報告しました。
特徴として、日野さんの社会復帰の意思がぶれず、ハンセン病既往者であることを隠さなかったこと、社会復帰を進めるうえで全体を調整するコーディネーターの存在が大きかったことを指摘。そのうえで、自治体を中心に市民や関係機関の取り組みが引き続き重要だとのべました。
霧島市市民課人権擁護推進グループの徳永浩之さん、同元人権教育指導員の柳田五月さんは、敬愛園の玉城シゲさんらを講師にした、小中学校や地区公民館での人権出前講座の取り組みや市職員を対象にした研修について報告しました。研修は4年間でほぼ全員が受講。
元患者が国の誤った政策により実際に受けてきた差別や偏見など、生の声を聞くことで、多くの職員の理解が深まったことを紹介。
職員の人権問題に対する意識を高めるとともに、学んだことをいかに市民に広げていくかが課題だと述べました。
ハンセン病回復者支援センターの山麻奈美さんは、大阪府と大阪市における回復者とのふれあい交流事業などについて報告。
132回に及ぶ訪問活動にふれながら「ふるさととのつながりを絶やさないこと。回復者にとどまらず、その家族・遺族が病歴を隠さなくてもいい生き方を選択できるよう、関係機関と協力して取り組み続けることが重要だ」と強調しました。

会場発言として、「自分の故郷だけでなく好きなところに住むことができるというのはハンセン病問題基本法以前の問題。自治体として社会復帰を支援する取り組みを強めたい」「自治体職員の研修の重要性がわかった」などの意見、感想が出されました。


3日間の全体会や分科会、交流会を通じて、裁判勝訴から15年が経過してもなお課題が山積していること、入所者の高齢化や重症化が進む中、国や自治体の責任で最後の一人までしっかり在園保障していくこと、医療や福祉施設の拡充など将来構想を示していくことが重要だと感じました。