日本共産党 群馬県議会議員 酒井ひろあき

あなたとつくる、希望の群馬。

再生可能エネルギーの先進自治体に学ぶ

2012年05月19日 | 再生可能エネルギー

 再生可能エネルギーの実践を学ぼうと、日本共産党県議団で5月9日~10日に、山梨県の北杜市、南アルプス市、都留市の3市を視察しました。
 
北杜市の「北杜サイト太陽光発電所」は、NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)の委託事業として5年間、民間企業と共同で実証研究をすすめ、昨年春に市1205091営で再スタートしました。工業団地を予定していた10ヘクタールの土地に、2MW(メガワット)級のメガソーラーシステムを構築。「日照時間日本一」の優位性を生かし、約7百世帯分を発電、月4百万円も収益をあげたこともあるそうです。

 市内を移動中に驚いたのは、多くの民家の屋根に太陽光発電が設置されていることです。市は1世帯10万円を補助、市内約2万世帯のうち、1205092利用者は6百世帯にも。小中学校の屋上に設置したものだけで約1MWを発電しているそうです。さらに、農地の斜面を活かしたメガソーラーなど、地域ぐるみで「自然の恵みを活用しよう」との意気込みが伝わってきました。

 南アルプス市は、急峻な地形と豊富な水量をいかした小水力発電のほか、太陽光発電の導入(学校の電気の9割をまかなう)や木質バイオマスの推進(県内にペレット工場完成)に力を入れています。視察では、主に小水力発電について説明を受けました。
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 市役所から車で約30分山道をのぼった所に、「金山沢川水力発電所」があります。砂防ダムから落差44㍍。140㍍下流の発電所まで導水し発電するというものです。砂防堰堤を利用した水力発電は国内でも珍しく、これだけ大規模な取水は他に例がないとのこと。装置はチェコ製で、初期費用は2億円余り。最大出力100KW。約50万KWhの総発電量を誇り、年間279㌧のCO2削減効果(2010年度)が実証ずみです。発電所導入に伴って、学校などの需要施設の電気料金が、515万円(09年)から223万円(11年)と半分以下になり、逆に余剰売電料金は11万円(09年)から265万円(11年)に急増しています。

 市では、発電した電力のうち、公共施設で消費した電力から排出権を創出するオフセットクレジット(J-VER)事業を活用し、新たな温暖化対策事業の財源に充てています。サクランボやトマトなど地域の特産品である農産物にJ-VERを付加し、環境付加価値のついた農産物としてブランド化を図る取り組みは「農業の活性化にもつながる」と期待大です。

 いっぽうで都留市は、街のいたるところに小水力発電があります。『元気くん1号』と名付けられた装置は、水量が変化しても効率よく発電できるよう水車の可変運転が可能となるシステムや、ゴミが水車導水路に侵入するのを防ぐ新型除塵装置などの最新設備を導入。市役所と小学校の間に置かれ、開放型水車のため、市民や子どもたちの環境教育にも役立っています。
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 2010年に稼働した『元気くん2号』の建設費用は約6230万円。そのうち2360万円を住民参加型市場公募債「つるのおんがえし債」(ネーミングがしゃれている)で賄うなど、まさに市民と一体の発電所です。2基の総発電量は、約10万KWh(10年度)。市役所など受電施設の電力自給率は26.5%(同)に達し、東電に年約10万円の売電が可能となりました。この春、『元気くん3号』も稼働を開始しました。こうした小水力発電所は市のシンボルともなり、これまでに全国から7千人以上の見学者が訪れました。
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 山梨県3市の実践を見聞きし、自治体の姿勢や市民の運動によって、さまざまな取り組みが可能であることを実感しました。本県でも「原発依存から抜け出し、再生可能エネルギーへ」を具体化する施策の提案と実質的な議論を始めたいと決意しました