ある日、事態は変わった。
原因は、僕の友達の太り過ぎにあったんだ、とー僕は思う。
こうやんは、僕の太った友達をじっと見つめながらこう言った。
「自分ではどう思っているの?もっと運動するべきだよ。
そのうちに、自分の体も動かせなくなっちゃうよ。
どう見てもハムスターじゃないな。新しい種類のねずみだよなぁ・・・」
数時間後、畳の部屋の真中に、バスケットが一つ置かれて、
あいつが連れて行かれたんだ。
そして、バスケットの中に入れられた。
それにしても、想像してみてよ。
僕らはハムスターだよ。
みんな、僕らがこんなバスケットに上れないって思う?
僕らには簡単な事だよ。
だって、僕らはハムスターなんだから・・・・
だけど、あいつは上れなかったんだ。
何て情けないんだって、僕は思って見ていたよ。
そしてトレーニングが始まった。
バスケットの一番上にひまわりの種が置かれた。
はらぺこハムスターは、頑張って取りに来るだろう・・って事だった。
太ったあいつは、何度も何度もひまわりを取ろうとしてがんばっていたよ。
でも、無理なんだ。
「頑張れよ・」って言って、こうやんは部屋から出て行ってしまった。
どうすればいいの?
あいつが、てっぺんにようやくたどり着くまでには4時間くらいかかったと思う。
首がちょっとかごから出たと思ったら、
どすん、て音がして、畳の上に落ちて行った。
僕の友達、広い広い場所に出たのは、初めてだったから、始めは戸惑っていたみたいだったけど、
そのうちにどこかに消えてしまったんだよ。
長い長い時間、帰って来なかった。
僕は心配で心配で、
心臓はドキドキ、ドキドキ・・・・
部屋の中をそわそわと歩きまわっていた。
生まれて初めて神様にお願いしたんだ。
(帰って来て)って。
こうやんが帰って来たのは、もうすっかり暗くなってからだった。
何もいないバスケットを見ても、こうやんは大して驚きもしなかった。
「あいつ、食いしん坊だから、ひまわりをやれば出てくるよ。
お腹がすいたら食べに来るさ」・・・・て感じで意外とクール。
そして、こうやんの思った通りになった。
僕の友達は、とりあえず僕の部屋に入れられた。
何だか僕は嬉しくて、
知らないうちにあいつをぺろぺろ舐めてた。
気が付いたんだ、一緒にいられる事が嬉しいんだって事。
何だか、好きになり始めていた、僕も知らないうちに。
だって、あいつは、今日も、
いつもみたいに、僕のそばに来て
静かに目をつむるんだもん。
ピクリとも動かなかった。疲れたんだね。
もう、二階建てじゃなくていいよ。大丈夫だから・・・・・。
何だか少し幸せだった。
おわり。
ハムスター社会で悩みながら生きているみたいでした。
私たちも頑張らなくては・・・。
ハムスターのお話とってもおもしろかったです。
以前、甥と、姪もハムスターを飼っている時期があり我が家に遊びに来る時も二人ともそれぞれにかごを持ってきました。
一晩中カタカタカタ・・・・と輪を回していましたこと思い出します。
絵もお上手なんですね。
今度また、楽しいお話を作ってくださいね。