熨斗(のし)

のし(熨斗)について、趣味について、色々なことを綴っていきます

昔の話ー狐に憑りつかれた話

2016-12-26 23:03:48 | スケッチ

『これは父(91歳)と父の弟(88歳)の子供の頃の話です。』

 

いつも、ばあさんのお茶飲み友達として訪ねてきたのがサトばあさん。

サトばあさんがある日からおかしくなり、真昼間だというのに提灯を下げて上がって来る。

「塩を貸してくれんかな?」

そんなことを昨日も言ってきたが、又言い出した。

ばあさんが

「昨日、貸したのにどうしたんナ?昨日持って行ったじゃぁねぇかな。」

そんなことを言いながらお茶を飲んで、サトさは又提灯を下げて家に帰ったと思ったが・・・・

そのまま家に帰らなかった。

中が大騒ぎ、どうしたものかと思案した末、

「神様の仰せで狐が憑いたんだ」と、峰さが高鳥谷神社の前で神主の真似をして祈祷をした。

お盆に散らした45枚の方角の書かれている小さな紙切れにご幣を近づけ、

偶然に付いて来た紙に書かれている方角にばあさんがいるーという神の仰せだということで

たった五戸のは俄かに大騒動となり、その方角を中心にそこらここらの聞き込みから始まった。

もう秋は深まり、霜も来るような日も続いた。

聞き込みの話で、

「胡桃沢の辺りで小さなばあさんが首に手ぬぐいを巻いて、昼間だっちゅうに提灯を下げて下って行ったに」

・・・誰かが聞いて来た。

それが神様の仰せの方角であったのかどうかは知らないが、

三日目くらいにどこかの田んぼの藁塚で見つかった。

履き物はなく、足は霜焼けが激しく、衆が戸板に乗せて担いで来た。

狐に憑かれておったので、峰さが家の戸間口で狐を払う祈祷を施した。

寝床に運んだ時には狐もすっかり抜けており、軽くなっていたという。

それは神様の言う事だからほんとだに・・・中の人が口々に言っていた。

 


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