熨斗(のし)

のし(熨斗)について、趣味について、色々なことを綴っていきます

ひとりごと(冬の日差しの中で見た物)

2019-02-19 22:08:39 | ひとりごと

信州の冬は寒い。

今年は雪が少ないとはいえ、外に出ると寒さが身に染みる。

それでも、一日一日と春に近づき、梅の花も咲き始めたこの頃、

実家に立ち寄ると人の気配がない・・・

ちょっと心配になって家の周りを探してみた。

 

父が一人、次第に厚みを帯びてきた日差しの中で彫刻をしていた。

 

最近、孫に二人目の子供が産まれ、

かわいいひ孫がお兄ちゃんになった。

そんな・・・遠くに住む孫とひ孫を思い描きながら、

彫刻に向かっていたのだろう。

母が赤ちゃんを抱き、母の足元から赤ちゃんを覗き込んでいるお兄ちゃんを、

母の眼差しが優しく包みこんでいる。

 

それは、父の孫とひ孫の姿かと思えば、

そうでもあり、

60年前の自分の妻と子供の姿かと思えば、

そうでもあり、

90年前の自分の母と妹の姿かと思えば、

そうでもあるように見える。

 

父の姿はいつしか私の祖父にも見え、

囲炉裏の周りで縄を編んでいた祖父の姿と重なる。

 

人の生きる道の中には、どれほど時代が変わろうが、

100年の歳月を越えようが、

変わらないものと、変わってはいけないものと、

変わらない心と、変わってはいけない心がある。

 

まだ春遠い、冬の日差しの中で見たものは

形になったそんな心。