「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

透析患者を在宅で看取る -- 命に寄り添う (1)

2012年07月10日 19時51分15秒 | 介護帳
 
 透析は週3回、 4時間ほどの通院治療で行ないます。

 患者の負担が大きいですが、 生命維持のため、 基本的にやめられません。

 透析を受けていた 70才の男性が、 肝臓がんの手術を受けました。

 完治せず、 容体は悪化しましたが、 透析に通い続けました。

 しかし3ヶ月後、 衰弱が目立ちはじめ、 夫婦で 通院を見合せることに決めました。

 自宅で訪問診療を受け、 ビールを飲みたいと言う夫に、 ストローで飲ませると、

 「おいしい」 と喜びました。

 1週間後、 妻や訪問看護師に見守られ、 眠るように亡くなりました。

 妻は、  「透析しないと死んでしまうかも、 という不安はあったが、

 無理に通院すれば、 逆に死を早めたかもしれない」  と振り返ります。

 近年、 患者の高齢化とともに

 透析を見合わせたり、 中止する例が 多く報告されています。

 日本透析医学会は、

 本人や家族の同意で 導入を見合わせたり、 中止する際の 手続きを示しました。

 また、 「腹膜透析」 という 選択肢もあります。

 カテーテルで腹の中に 透析液を注入し、

 体の腹膜を通して 血中の老廃物を除く方法です。

 本人や家族でも扱え、 通院の必要がありません。

 効率は低いですが、 活動の妨げにならず、 透析液の交換は 外出先でもできます。

 82才で 透析が必要なった男性は、 直腸がんの手術も受けており、

 看取りも考えて 腹膜透析にしました。

 86才で亡くなる前日まで 自宅で腹膜透析を続けました。

 男性の次女は、  「入院したら、 高齢の母は 父と一緒にいられなかった。

 しっかり見送りができて 良かった」 と語ります。

 透析患者が最期まで心穏やかに 家族と過ごす方法を、 医療は考えるときです。

〔読売新聞より〕
 


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