「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

池田被告の心情の変化

2010年11月17日 10時46分43秒 | 死刑制度と癒し
 
(前の記事からの続き)

 「ナイフで殺してから 首を切ってほしい」

 被害者の究極の訴えをも退け、

 電動ノコギリで 生きたまま首を切った 池田被告。

 想像しうる最も残忍な 悪行を犯した男は、

 判決公判では その凶悪なイメージと かなりギャップがあったそうです。

 逮捕時の長髪を丸め、 色白で やや弱い印象の被告は、

 判決文が読まれる40分間、 体ごと 裁判官・ 裁判員のほうを向いて見つめ、

 背筋をこれ以上にないくらい 真っ直ぐに伸ばして、

 微動だにせず真剣に 判決に聞き入っていました。

 池田被告の反省の情が 読み取れる態度だったといいます。

 「被告を死刑に処する」

 主文が朗読されたとき、 池田被告は 裁判官・ 裁判員に 深々と頭を下げて、

 静かにゆっくりと、  「ありがとうございました」 と述べました。

 そして 回れ右をし、 傍聴席の遺族に、

 「どうも、 申し訳ございませんでした」 と謝罪しました。

 傍聴人が予想もしなかった言動で、 法廷は凍りついたといいます。

 裁判員の一人の女性は 涙を浮かべました。

 そのとき裁判長の  「控訴を勧めます」 という 付言がありました。

 重い空気に 包まれていた法廷で、

 傍聴人はその言葉に 救われる思いがしたと言っています。

 池田被告は 開廷当初、

 「悪いことをしたんだから 殺せ」 という 突っ張った態度でした。

 しかし 被害族の悲痛な訴えを聞いて 目を赤くし、

 ここから心情の変化が あったといいます。

 その後  「生きて償えるなら」 と 素直な気持ちを語るようになりました。

 それを聞いた記者は、 心から発した言葉で、

 別世界にいた被告が 現実に引き戻されたように感じた ということです。

 池田被告の弁護士によると、 被告は一日一日、 反省を深めていったといいます。

 被告の気持ちが 刻々と変わる事件で、 裁判の時間が 短すぎたと嘆きました。

 僕も、 被告に 更生の可能性が見られれば、 死刑判決は回避すべきだと思います。

〔 参考 : フジテレビ 「とくダネ!」, 読売新聞 〕

(次の記事に続く)
 


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