「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「食べる力を」  家族の思い -- 命に寄り添う (3)

2012年07月12日 20時54分57秒 | 介護帳
 
 Aさん (49才) の母親 (84才) は、 糖尿病の脱水症状で入院しました。

 急性期病院から、 療養型病床に転院すると、 胃ろうを勧められました。

 理由は、  「15分で食べられないから」  でした。

 Aさんは 強い憤りを感じます。

 「前の病院では食べていたし、 話しもできた。

 胃ろうは 食事介助の人手を 省くためではないのか。」

 Aさんは胃ろうを断りましたが、

 鼻からチューブで 水分や栄養を送る 方法になりました。

 半年後、 母は声が出なくなり、 飲み込む力も 一層落ちてしまいます。

 Aさんは親しい歯科医に 口腔リハビリを勧められました。

 歯科医に 食べる機能を評価してもらい、 リハビリ指導を受けます。

 あごの動きに関わる 首周辺の筋肉は、 マッサージで かなり硬さが取れてきて、

 期待を持って リハビリを続けています。

 一方、 ある女性は、 夫が脳梗塞で寝たきりになり、

 医師から  「胃ろうにしても、 口から食べられるようになれば 外せる」

 と説明され、 承諾しました。

 しかし病院では 口のリハビリは行なわず、 食べる力は戻りませんでした。

 女性が 胃ろうから栄養を入れようとすると、 夫に手をつかまれたことがありました。

 「 『もういらない』 という 意思表示だったと思う。

 食べる訓練もしないのに、 安易に延命させる 医療はやめてほしい」

 命のありように関わる 本人や家族の思いが、

 病院の都合や 医師の安易な判断で 軽視されてはなりません。

〔読売新聞より〕
 


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