「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

口腔リハビリ  脳生き生き

2012年08月11日 20時54分44秒 | 介護帳
 
 Iさん (女性・96才) は5年前、 言葉を失い、

 まっすぐ座ることもできず、 寝たきりの危機にありました。

 原因は合わない入れ歯。

 固形物が食べられなくなり、 流動食になると、

 焦点の合わない目で 一日中過ごすようになりました。

 会話も難しくなったころ、 歯科医のOさんが  「口腔リハビリ」 を行ないました。

 まず、 衰えた筋肉でも 歯を操れるよう、 入れ歯を調整。

 さらに、 首元や顔面を揉みほぐし、

 専用ブラシで 頬の内側や舌を きれいにしながら、 刺激する方法を 職員らに指導。

 口腔内を唾液で潤し、 飲み込みに必要な筋肉を 鍛えました。

 これを毎食後続け、 6週間後には 固形物が食べられるようになり、

 3ヶ月後には おしゃべりも復活しました。

 今は 冗談のやり取りもできるほどになり、 表情も生き生きしています。

 回復力のある人が放置され、 全身を衰えさせてしまうのは、

 人為的に作った 寝たきり状態です。

 手遅れにならないうちに 専門家が関わり、

 介護者が無理なくできる 口腔リハビリを指導すべきです。

 口腔ケアは、 栄養状態の向上や 誤嚥性肺炎の予防のほか、

 認知機能の維持にも 効果があります。

 通常の介護では 認知機能が落ちていく一方だったのに、

 口腔ケアをした場合は 半年後まで改善し続け、 その後も進行は緩やかでした。

 感覚の集中する口内を 刺激することで、

 脳神経の活性化につながる 可能性があります。

 食事という 日常生活の基本を維持し、

 ケアの際に 人とコミュニケーションが 図れる効果も 大きいのではないでしょうか。

〔読売新聞より〕
 


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