○ 投影ゲーム
投影とは、 人が 自分の中に認めたくない (ネガティブな) ことを、
他人がやったといって 非難することです。
不快なものを 他人に投影することで -- 誰かに「鬼」という札を付けて --
自分の気分をよくするものです。
けれども苦痛は戻ってきます。
従ってこのゲームは 何度も行なわれるのです。
投影は、 誇張されたものかもしれませんし、 捏造かもしれません。
投影は ボーダーラインの中核的な側面です。
投影を認めることで、 ボーダーの人の感情を よりよく理解できる可能性があります。
投影の内容は、 ボーダーの人が 分かっていながら受け入れられないものなのです。
【 ex. ジョージ
ジョージはこの町で 1年半も仕事を探していますが、 ここではもう見つかりません。
別の町で求職したいと 妻に言うと、 妻のシンディは わがままだと言います。
シンディは 両親のいるこの町に 残りたいと望んでいます。
引っ越し案を持ち出そうものなら、
シンディは 自分の気持ちを全く考えていないと 怒るのです。】
□ A.
シンディに引っ越しを迫ったら、 自分を利己的だと感じ、 恥すら感じるでしょう。
ジョージは妻のため どんなことでもすべきです。
自分だったら、 意見の不一致や妻の激怒に 耐えられません。
□ B.
自己中心的で子供なのは シンディのほうです。
妻が私を利己的だと言ったら 激怒するでしょう。
シンディは大人になって 両親から離れるべきです。
□ C.
ジョージが利己的だとは思いません。
でも妻とコミュニケーションが 取れていないようです。
経済的にも私生活の面でも、 引っ越しが 双方にとって良いという理由を、
リストにして説明することもできます。
ジョージが充分な給料を得られれば、 シンディは 頻繁に実家にも帰れるでしょう。
□ D.
ジョージとシンディは、 価値観と目標を徹底的に考えて、
解決策を考えるべきです。
二人とも妥協が必要かもしれません。
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕