「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「私は魔法使いに会いました。」 について

2014年10月22日 20時29分38秒 | 心理
 
(前の記事からの続き)

 このカウンセラー養成講座の課題には、 ひとつの条件がありました。

 何らかの形でハッピーエンドにする、 ということです。

 ハッピーエンドにするためには、 自分の中にカウンセラーを想像し、

 カウンセラーを育まなければならないからだそうです。

 そうすることによって、 自分の中にある 何か大切なものを

 引き出すことになるのではないかと、 感じた課題でした。


 ところでこの課題では、 僕は冒頭から順に 文章を書き進んでいきました。

 書きながら考えが広がり 変化していきました。

 結末は、 最初 自分でも想像しなかったものでした。

 従来 僕がシナリオ (マンガ原作やドラマなど) を書く際は、

 結末・クライマックスから 先に作っていました。

 それが一番描きたいこと, 伝えたいことであるわけです。

 そのクライマックスへ持っていくために、 話を逆算して構成していきます。

 それはシナリオ作法 (さくほう) の ひとつの王道です。

 構成から完成までは、 何十回となく書き直します。

 僕のシナリオは 構成がしっかりし、説得力があるというのが定評でしたが、

 一方で、 計算されすぎていると言われたこともありました。

 ところが この魔法使いの話では、 それと正反対の作り方で、

 先がどうなるか分からないまま、 結末も見えず書いていきました。

 しかも、 パソコンで清書をする際に、 ほとんど修正をしませんでした。

 推敲・加筆を積み重ねるのが 自分の書き方でしたが、 それに縛られないやり方でも、

 自由な発想で 活き活きしたものができるのだなと 思いました。

 (言うまでもなく、 ごくごく短い話だから できることなわけですが。

 また、 昔に1度だけ描いた 童話のアイデアも使いました。)

 専らシリアスなものばかり 書いていた僕ですが、

 書くことをやめた今でも、 こんなものが書けるんだと 思った次第です。