「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

簡単なことを依頼する

2017年04月25日 21時34分31秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 簡単なことを依頼するスキルは、 自分を大切にするために必要不可欠です。
 
 できないと、 無力感, 憤りを感じることになってしまいます。
 
 4つの要素があります。
 
1.簡単な正当化
 
 一言で説明してください。
 
 正当性を説明する必要はありません。
 
 正当化する場合でも、 簡潔にしましょう。
 
2.和らげた発言
 
 礼儀正しく、 要求的でない、 妥当な人となるためです。
 
 次のような発言です。
 
 「~してもらっていいですか?」
 
 「~してもらえると助かるのですが」
 
 「~してもらえるとありがたいのですが」
 
 (微笑みながら) 「~してもらえますか?」
 
 「~してもらえないでしょうか」
 
3.直接的で、 具体的な問いかけ
 
 望むことを明確に言いましょう。
 
 詳しく説明するほど、 抵抗される傾向が強くなります。
 
 非難したり、 相手の非をほのめかすのはやめましょう。
 
4.感謝の発言
 
 相手がイエスというのを助けます。
 
 「本当に助かります」
 
 「努力してくれてありがとう」
 
 「大きな効果が見られるでしょう」
 
 「本当に感謝しています」
 
 
 これらを合わせると次のようになります。
 
・ レストランで
 
 「日差しがまぶしいので、 ブラインドを少し下げてもらっていいですか?
 
  ありがとうございます。」
 
・ 地下鉄で
 
 「少しきついのですが、 ブリーフケースをどかして 場所を空けていただけますか?
 
  本当に助かります」
 
・ 友人とドライブをしていて
 
 「これだけ前の車に近づいて、 このスピードで走っていると ドキドキするんだ。
 
  車間をもう少し取ってもらっていいかな? 
 
  聞いてくれてありがとう」
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

要求する強度を調整する

2017年04月22日 21時05分42秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 物事を要求する際の 強度やレベルは、 ふたつの主要な要因に基づいています。
 
・ 要求がどの程度緊急を要するか。
 
・ 相手, ないし 相手との関係はどの程度もろいか。
 
 それぞれを10ポイントで評価し、
 
 合計点が高いほど より強く要求し、 低いほど 穏やかに求めることになります。
 
※ 練習9-2 要求の強度の調整
 
 他の人に変わってほしいと思った、 最近の状況を考えてください。
 
 要求の緊急性, 脆弱性のレベルに基づいて、 強度を調整していたら、
 
 どうなっていた可能性があるか 想像してみましょう。
 
 どれほど緊急か, どれほど脆弱化を思い出すことは、
 
 あなたの声に どれだけの強さ, 厳格さ, 音量を持たせるか、
 
 素早い決断を下すのに 役立ちうるのです。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 


自分の望むことを知る (2)

2017年04月19日 21時14分54秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
 自分の願望を明確に、 具体的にする際の問題は、
 
 それが不安を生じさせるということです。
 
 自分のニーズのために 人に迷惑をかけていいのでしょうか? 
 
 人を失望させたり、 困らせたり、 努力させたりしても構わないのでしょうか? 
 
 答は、 イエスです。
 
 不運にも、 自分の要求が ないがしろにされてしまう家庭環境で 育った人がいます。
 
 人間としての価値や重要性を 思い出すために、
 
 次の 「正当な権利のリスト」 を見直してください。
 
《正当な権利のリスト》
 
1. 他の人に 物事を要求する権利
 
2. 時には 自分自身を最優先させる権利
 
3. 自分の感情や苦痛を感じ、 それを表現する権利
 
4. 自分の信念の最終的な判断をし、 正当なものとして受け入れる権利
 
5. 意見や信念を持つ権利

6. 他の人と違うものであっても、 自分の経験を持つ権利
 
7. 不快な扱いや批判に対して 抗議する権利
 
8. 変化のための交渉をする権利
 
9. 支援や必要なことを求める権利
 
  (それを得られるとは限らない。)

10. ノーという権利
 
   それによって あなたがわがままということにはならない。
 
11. 自分の正当性を説明しない権利
 
12. 人の問題の責任を取らない権利
 
13. ある状況に対応しない権利
 
14. ときには人に迷惑をかけたり、 人を失望させる権利
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

自分の望むことを知る (1)

2017年04月18日 20時52分01秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
 あなたの感情は、 何を変えたいと思わせますか? 
 
 相手に変えてほしいことは 何ですか? 
 
 彼らに何をしてほしい, またはしないでほしいですか? 
 
 あなたは 感じ方を変える 新しい行動を望んでいますか? 
 
 次に行動の変化を 具体的に考えてください。
 
 いつ, どこで, その変化が起きてほしいですか? 
 
 このプロセスを 一連のステップにまとめます。
 
※ 練習9-1 自分の望むことを知る
 
 嫌な気分になった 最近の経験を考えてください。
 
 願望を明確に述べるのに たどり着くには、 次のプロセスを伴います。
 
1.その感情を言葉で表現してください。
 
 _____________________________________
 
2.相手に変えてもらいたいことは何ですか? 
 
 _____________________________________
 
 ・ もっとしてほしいこと
 
  _____________________________________
 
 ・ 余りしてほしくないこと
 
  _____________________________________
 
 ・ やめてほしいこと
 
  _____________________________________
 
 ・ やり始めてほしいこと
 
  _____________________________________
 
 ・ いつ
  _____________________________________
 
 ・ どこで
  _____________________________________
 
 ・ どの程度頻繁に
  _____________________________________
 
3.以上を ひとつかふたつの 明確な文章にしてください。
 
 _____________________________________
 
 _____________________________________
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキル: 上級編

2017年04月17日 22時44分59秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 対人関係スキルの応用で、 人間関係の対立がずっと少なくなり、
 
 人との結びつきは代わり、 剥奪的より支援的なものになります。
 
 ここでは 次のスキルを学びます。
 
・ 自分の望むことを知る
 
・ 強度を調節する
 
・ 単純なことを依頼する
 
・ 基礎的なアサーションの脚本を書く
 
・ アサーティブな傾聴スキルを使う
 
・ ノーと言う
 
・ 抵抗と対立に対処する
 
・ 交渉する
 
・ 問題のある相互作用を分析する
 
◎ 自分の望むことを知る
 
 対人関係の有効性は、 自分をありのままに 受け入れることから始まります。
 
 自分の感じることと望むことを、 はっきりと分かっている必要があります。
 
 自分の感情が好ましいものか、 そうでないか、 苦痛なものか、 喜ばしいものかを、
 
 見極めることです。
 
 好ましい感情は、 満足, 興奮, 性的魅惑, 愛情/親愛, 充実, 喜び,
 
 好ましい予感, 関心, 満喫などです。
 
 好ましくない感情は、 (将来への)不安, (今の)恐れ, 怒り, 憤り,
 
 悲しみ, 喪失, 傷心, 自分に対する怒り, ないし嫌悪, 困惑/恥,
 
 罪悪感, 切望/欠乏, 孤独/空虚などです。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (8)

2017年03月23日 21時30分13秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
7.障害となりうる信念
 
 人を無力にさせる、 4つの 障害となる信念があります。
 
① 何かが必要だということは、 私がおかしいか 悪いということだ。
 
② 相手が怒ったりノーと言ったら、 私は耐えられない。
 
③ ノーと言ったり、 何かを求めるのは 自分のわがままだ。
 
④ 私がコントロールできるものはない。
 
 これらは、 望みを伝えたり、 限界を設定するのを妨げます。
 
 ひとつひとつ見てみましょう。
 
① 何かを必要とするのは 私が悪い
 
 誰もが 他の人から何かを必要としています。
 
 物事を必要とするのは、 恥ずかしいことでも間違ったことでもありません。
 
 より健康的なコーピング思考は、 「私には物事を望む権利がある」 です。
 
② ノーと言われるのは耐えられない
 
 怒りの拒絶を耳にするのは 苦しいものです。
 
 しかし最悪なのは、 望みを要求しないで、
 
 長期間にわたって 苦痛を受け入れることです。
 
 コーピング思考は、
 
 「相手が提供してくれなくても、 私には要求する権利がある」 です。
 
③ 求めたり拒むのは、 自分のわがままだ
 
 自分のニーズが考慮されないという、 幼いころの環境で、
 
 あなたは 求めることがわがままだと感じるかもしれません。
 
 しかし、 全ての人のニーズが妥当であり、 同等に重要なのです。
 
 個人としての生存は、 望むものを知り、 それを述べることにかかっています。
 
 コーピング思考は、 「要求することは正常で、 健康的なことである」です。
 
④ 私がコントロールできるものはない
 
 コントロールできるのは、 自分自身の行動です。
 
 受動的, 攻撃的な行動をすると、 相手は無視するか、 怒って抵抗してきます。
 
 アサーティブな行動をすると、 相手は傾聴し、 肯定的に反応してくれます。
 
 効果的なコーピング思考は、 「私は より有効な行動を選択できる」 です。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (7)

2017年03月22日 21時26分24秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
6. 好ましくない関係
 
 相手が皆さんに 嫌悪させるやり方 (非難したり、 脅したり) をする場合、
 
 対人関係スキルを使うのは困難です。
 
 ベストな解決策は、 相手から離れることです。
 
 彼らが変わることはないでしょうし、 彼らの攻撃には対処できかねるでしょう。
 
 しかし 避けられない人たち (上司や家族など) だと、
 
 しなければならないことが2つあります。
 
 1つ目に、 自分自身を落ち着かせなければなりません。
 
 マインドフルな呼吸,賢明な心を用いてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65267681.html
 
 2つ目に、 過去の経験に基づいて、 相手がどう行動するか予測し、
 
 それに対処する 具体的な計画を 立てる必要があります。
 
(嫌悪的な落とし穴を切り抜けるには、 後述のアサーションを参照してください。)
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (6)

2017年03月21日 20時29分13秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
※ 練習8-8 リスクの評価 / リスクの計画
 
 「リスクの評価」 の、 「恐れ」 の項目には あなたの恐れを書いてください。
 
 「それを指示する証拠」 には、 その恐れが現実になる という証拠を書き、
 
 「それに対する証拠」 には、 破滅的状況が起こらない という証拠を
 
 書き出してください。
 
 それらを見直し、 壊滅的状況が起きる可能性を 予測してください。
 
【リスクの評価】
 
恐れ :
 
それを指示する証拠 :
 
それに反する証拠 :
 
それが起こる可能性の% :
 
 
 「リスクの計画」 では、 破滅的状況が実際に起きたことを 想像してください。
 
 それにどのように対処するか,
 
 助けとなる人, ベストな行動, 乗り切るためのスキルを 書いてください。
 
【リスクの計画】
 
恐れが現実になった場合、 スキルを使った対処計画
 
_____________________________________
 
_____________________________________
 
_____________________________________
 
 
 「リスクの評価」 「リスクの計画」 の コピーを取って、
 
 何度でも使えるようにしましょう。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (5)

2017年03月20日 21時53分21秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
4. 自分のニーズを見極めることができない
 
 対人関係スキルは、 望むものが分かっていないと 役に立ちません。
 
 自分の要求を はっきり述べる手段が アサーションです。
 
5.恐れ
 
 何かを恐れていると、 対人関係スキルが姿を消してしまいます。
 
 壊滅的な 「こうだったら, ああだったらどうしよう」  という考えで一杯で、
 
 明確に考えられなくなるのです。
 
 壊滅的な思考は、 攻撃的, 嫌悪的, 回避的なやり方を 使わせることもあります。
 
 賢明な心の瞑想は、 マインドフルな呼吸と同様に 手助けをしてくれます。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65267681.html
 
 その他にできることは、 壊滅的な思考に直面することです。
 
 「リスクの評価」 と 「リスクの計画」 の ふたつのステップがあります。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (4)

2017年03月19日 19時43分05秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
3. 圧倒されるような感情
 
 慎重な意図も、 怒っているときには 水の泡となってしまいます。
 
 特に 虐待的な家庭で育った人は、 怒りで解離性遁走の状態になり、
 
 別人のような言動をすることがあります。
 
 コントロールを失い始めている信号に 注意をしてください。
 
 典型的な信号を挙げます。
 
・ 暑くなる, 頬がほてる
 
・ 心臓がバクバクする
 
・ 息切れがする
 
・ 手, 腕, 額, 肩が緊張する
 
・ 話し方が早くなる, 声が大きくなる
 
・ 誰かをやり込めたり、 後ろめたい気持ちにさせたくなる
 
※ 練習8-7 警告的な感情と行動
 
 コントロールの喪失を知らせる 警告的な感情と行動を 書き出してください。
 
_____________________________________
 
_____________________________________
 
_____________________________________
 
 感情に圧倒されているのに気付いたら、
 
 マインドフルな呼吸のスキルを 使ってください。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/65154357.html
 
 ゆっくりと、 横隔膜呼吸をし、 呼吸に全ての注意を向けましょう。
 
 それによって落ち着き、 圧倒される気持ちを 遮断するのに役立ちます。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (3)

2017年03月18日 22時33分04秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
2. かつての習慣 -- 受動的な性質
 
 次の記録に、 自分の経験を 幾つか記入してください。
 
日付:
 
私の要求:
 
私の行動:
 
受動的なやり方:
 
結果:
 
 記録を付けたら、 前の記事の 「対立の記録」 と合わせて、
 
 次の質問をしてみましょう。
 
・ 嫌悪や受動的なやり方を起こすのは、 どんな要求や状況だろう? 
 
・ 頻繁に頼っているやり方は どれだろう? 
 
・ 望むものは、 嫌悪させるやり方や受動的なやり方で 得られているだろうか? 
 
・ これらのやり方で起こる 感情的な結果は何だろう? 
 
 あとで学ぶアサーションスキルは、
 
 嫌悪的・ 受動的反応の代わりとなる 有効な仕方です。
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (2)

2017年03月17日 19時26分30秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
(前の記事からの続き)
 
4) 非難する
 
   相手が間違っており、 それを修正しなければいけないというものです。
 
5) けなす/中傷する
 
   ある要求や意見, 感情を持つことが愚かで、
 
   間違っていると相手に感じさせることです。
 
6) 罪悪感を持たせる
 
   相手が道徳的な失格者であり、
 
   要求は間違っているという メッセージを伝えます。
 
7) 脱線させる
 
   相手の話をやめ、 自分について話すことです。
 
8) 取り上げる
 
   相手の言動や要望に対する 罰として、 楽しみや協力を退けてしまうことです。
 
 あなたが 「嫌悪させるやり方」 を 用いたときのことを思い出してください。
 
 嫌悪行動を止める ベストの方法は、 それをじっくりと観察することです。
 
※ 練習8-6 対立の記録
 
 次の 「対立の記録」 に、 自分の経験を 幾つか記入してください。
 
日付:
 
私の要求:
 
私の行動:
 
嫌悪させるやり方:
 
結果:
 
(次の記事に続く)
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの使用を妨げるもの (1)

2017年03月16日 21時48分31秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 対人関係スキルに対する 障害のいくつかを紹介します。
 
1. かつての習慣 -- 攻撃的な性質
 
2. かつての習慣 -- 受動的な性質
 
3. 圧倒されるような感情
 
4. 自分のニーズを見極められない
 
5. 恐れ
 
6. 好ましくない関係
 
7. 障害となる信念
 
 これらをひとつずつ見ていきます。
 
1. かつての習慣 -- 攻撃的な性質
 
 問題の解決方法は、 生まれ育った環境で 身につけてきたかもしれません。
 
 心理的圧力を利用して 人に影響を及ぼすテクニックは、
 
 「嫌悪させるやり方」 と呼ばれます。
 
 それら8つを紹介します。
 
1) 軽視する
 
   相手の要求や感情が妥当でなく、 正当性がないというものです。
 
2) 退く/見捨てる
 
   「私の望むことをするか、 さもなければ別れる」
 
   見捨てられる恐れは強力なため、
 
   多くの人はそれを避けるため 多くを諦めます。
 
3) 脅す
 
   「私の望むことをするか、 さもなければ傷つけてやる」
 
   典型的な脅しは、 怒るか、 相手の人生を惨めにするというものです。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 
(次の記事に続く)
 

対人的価値観を見極める

2017年03月13日 22時52分53秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
※ 練習 8-5 自分の対人的価値観を見極める
 
 自尊心を損なわせる 対人関係の行動を いくつか挙げてください。
 
 感情的なダメージを 与えるものを含めましょう。
 
 すべきだったのにしなかったことも 書き留めましょう。
 
【例】 私は誰かに批判されるや否や 怒りだした。
 
 _____________________________________
 
 今度は、 他の人は どのように扱われるべきかという、
 
 あなたの価値観を書いてください。
 
 これらは、 関係の中の権利についての、 あなたのルールです。
 
【例】 愛する人が 傷ついているのを知るのは、 私にとって大事なことだ。
 
 _____________________________________
 
 ふたつのリストを比べ、
 
 自分の価値観に反する 対人関係スキルを用いているかどうかを 評価してください。
 
 最も軽視しているのは、 どの価値でしょうか? 
 
 自分の価値観に反しているとき、 どのような影響があるでしょう? 
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]
 

対人関係スキルの構築

2017年03月12日 20時29分27秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 対人関係のパターンを変えるのは 難しいですが、 重要なことです。
 
 対人関係の対応には努力を要します。
 
 つまずいて、 怒ったり、 退くことがあっても構いません。
 
 対人関係スキルを練習することで、 以下の結果が得られます。
 
・ 人に対応する上で、 効果的になれる。
 
・ 自分のニーズを満たす能力が 向上する。
 
・ 関係を損なわずに、 対立の交渉ができる。
 
・ 自尊心が強化される。
 
◎ 主要な対人関係スキル
 
 中核的な対人関係スキルは6つあります。
 
1. 自分の望んでいるものを知る
 
 注意を払い、 心の中で、 感じていることを表現する 方法を見つけることです。
 
2. 関係を守る形で、 望むものを要求する。
 
 要求を、 攻撃的でない言葉にし、 行動の変化を求めることです。
 
3. 対立する欲求の交渉をする。
 
 どちらが勝ちも負けもせず、 責任ある関わりによって始まります。
 
 各人の要求が 妥当であることを前提とし、 妥協する意思を促します。
 
4. 情報を得る。
 
 相手の要求, 恐れ, 希望などに気付くことです。
 
 それには次の障害があります。
 
 ① 相手の望みが 分かっていると思い込む。
 
 ② 自分の恐れ, 要求, 感情を 相手に投影する。
 
 ③ 詮索していると思われるのを 恐れる。
 
 ④ 最悪の答を聞くのを恐れる。
 
 ⑤ どのように尋ねたらよいか、 分からない。
 
5. 関係を守る形でノーと言う。
 
 「ノー」 には 3つの言い方があります。
 
 ① 弱々しく無力なスタイル
 
 ② 攻撃的なスタイル
 
 ③ 自分がすることとしないことに 厳格な境界を設定し、
 
   相手の要求の妥当性を尊重する、 アサーティブなスタイル
 
 ①と②は、 どちらかがコントロールされ、 怒りを感じるため、
 
 関係を台無しにします。
 
6. 自分の価値観に沿って 行動する。
 
 受動的, 攻撃的なことは、 自分と人の双方の 自尊心を損なわせます。
 
 自分が人にどう対応したいか を自問することは、 対人関係を築く上で重要です。
 
 自分の価値観に従って行動するのも、 重要なことです。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より [星和書店の許可のうえ掲載]