蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

[BS1] ドキュメンタリー「毛沢東の遺産~激論 二極化する中国~」を視る

2013-01-20 00:28:07 | 時事所感
1月19日(土)晴れ。寒気ややゆるむ。

 今、中国では毛沢東の評価をめぐって真っ二つに割れているという。毛沢東の肖像画を掲げ、愛国を叫ぶ貧しい身なりの中年者や老人。他方で、毛沢東時代には絶対もどせないとし、民主化を進めるべきだと主張する人々。天安門広場に毛沢東の銅像がたっているようではいつまでも中国に民主主義はないという。

 番組は、毛沢東を熱烈に崇拝する一派の代表者と、それを否定する一派の代表とが申し合わせて設けたサロンで、お互いの主張をぶつけあうところから始まった。
 今にも、つかみかからんばかりの勢いだが、お互いに手は出さないところに感心させられた。

 視聴していて今更ながら現在の中国の階級間格差が大きく爆発寸前の深刻さにあることが感じられた。
 毛沢東支持派に言わせれば、今の中国は看板だけは共産主義だが中身は、全く違う。せっかく革命で資産家から奪った財産を、今の幹部達が全てひとりじめしてしまっているというのだ。
 そして、このままの現状が続くのなら、暴力で(現体制)倒すとまで公言してはばからないのにはびっくりした。

 彼は、この放送の後、当局から危険分子として拘束・逮捕されるようなことはないのだろうか。そんな疑問を持たずにはいられなかった。

 他方で、毛沢東の写真を仲間と引き裂いてみせて、その動画をインターネットにアップする人たちの一団。
 日本でならば天皇陛下の写真をそうするようなインパクトではないか。

 そして、今回の中国共産党指導者の交代について、毛沢東支持派はもちろん民主化を願う人々も何の希望も展望も持っていない様子が伝わってきた。
 今、中国の人々は、習近平体制が現状をどのようにもっていくのか固唾を呑んでみているらしい。
 何が起こるかと。

 その目の前にあるのが、日本叩きの尖閣問題ではないのか。
 中国共産党軍の最高司令官は、既に全軍に日本との戦争準備体制をとれと指令しているという。日本のF15がスクランブルをかけて1発でも領海侵犯警告の曳光弾を発射したならば、それは宣戦布告だとして、容赦なく日本を叩き潰すと豪語している。

 これに対して、日本政府は、本音のところでまだ、中国側のこの姿勢を、こけおどかしと軽くみているのではないか。
 それが証拠に、訪中した鳩山元総理が「尖閣は係争地である」と発言したことに対して、売国奴とかなんとか与野党から非難轟々だという。
 元防衛庁長官を女性として始めて就任された小池百合子氏は、「鳩は鳩小屋に居なさい」とツイターでご丁寧に2度も書き込まれたとか。
 
 本当に国を憂えるなら、さっさと「係争がある」ことを認めて、とにかく話し合いましょう、というのが国民の生命財産の安全を担う責任ある与党政治家の責務ではないのか。

 今の中国、習近平体制は、振り上げた拳の下ろしようがなくて困っているのだ。だからこそ鳩山氏の発言に飛びついたのではないか。
 鳩山氏は、売国奴どころか、今の中国の本音をはからずも引き出した功労者ではないのか。