謹賀新年
ということで、正月らしいコンテンツを提供してみたい。
昨年初は年頭所感といっていい、やや
堅苦しいエントリだったので今年はやわらかめなものにしてみた。いささか発想がジジくさくて恐縮だが、「江戸いろはかるた」の家づくりバージョンである。
年末、通勤途中にこつこつと考えた。原文のトーンというかリズムをできるだけ損なわないように苦心したつもりで、けっこうな頭の体操になった。ヒマな時、ゆっくりかみしめながら読んでいただけたらと思う。
最初に江戸かるたの元の文、次の行のカッコが「家づくりかるた」の文である。わかりにくいものには簡単な解説を付けた。このブログといくらかでもかかわりのあるものについては関連エントリへのリンクもつけた。
(い) 犬も歩けば棒にあたる
「家を建てればブログ始まる」
拙ブログもこの例にあてはまる。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/88e8d6b5d1ed39901c66b139a128a759
(ろ) 論より証拠
「論より施工」
理論も大事だが、施工の確実さがなにより重要ということ。
(は) 花より団子
「ハウスメーカーより堅固」
工務店でもハウスメーカーより堅固な家にできるという意。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/93f2b398c1f158de68afaa3ed2bc71da
(に) にくまれっこ世にはばかる
「にくまれずに余の『はばかり』」
もめることなく小便器を設置できた夫が満足しているというハナシ(詳しくは↓)。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/fe13c49fe298bc45a9526d809e57b1f7
(ほ) 骨折り損のくたびれ儲け
「骨組みどうよ躯体はどうよ」
家は見えない部分も大事、それを意識して建てたかという確認。
(へ) 屁をひって尻つぼめる
「平面図にらんで部屋つぼめる」
予算の都合で施工面積を狭めなければならなくなった状況のこと。ありがちな風景。
(と) 年寄りの冷水
「年寄りの風水」
若者だけでプランを練っていたら、親世代から想定外の要求が出てきて混乱することがありますよという意。
(ち) ちりも積もれば山となる
「小さい見積もり山となる」
そんなに贅沢な要望でもないのに積み重なって大きな金額になるということ。
(り) 律儀者の子沢山
「立面図のコダワリ大」
立面図に注文が多い外観重視の施主のこと。
(ぬ) 盗人の昼寝
「塗り壁の税金」
固定資産税の評価額が高くなってしまう仕様というものがあるんだよという意。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/fb7acbc26be99134cd3e64027d35496d
(る) るりもはりも照らせば光る
「ルーフも梁もテラスも削る」
予算オーバーでいろいろ削らなければならないのだが、どこを削減したらいいかわからなくなっているような混乱した状況のこと。
(を) 老いては子に従う
「老いては高高に住め」
なんやかんやいっても年寄りには高気密・高断熱(高高)住宅が向いているよ、ということ。
(わ) 割れ鍋にとじ蓋
「わがままに特注」
こだわりが大きい施主は特注しかありません。
(か) かったいのかさ恨み
「解体の価格膨らみ」
旧家屋の解体費用はばかにならない額だという意。
(よ) よしのずいから天井のぞく
「予算がないから天窓除く」
切実度の低いものから削られるということ。
(た) 旅は道づれ
「宅を見る妻」
竣工した家をうっとり見る妻の姿。また、施工途中に眉を吊り上げてチェックを入れる妻のことをいう場合もある。
(れ) れう薬口に苦し
「レンジ選びで口げんか」
ガスにするかIHにするかで揉めている夫婦の図。我が家は決して揉めたわけではない。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/8bc000dd974e48b98854695d2a4037fb
(そ) 総領の甚六
「外断熱の信者」
外断熱は確かに理のある構造でいいものなのだが、信奉するあまり、それ以外はすべてレベルの低い家と思ってしまっている人のこと。
(つ) 月夜に釜を抜く
「妻に型を聞く」
システムキッチンなど住宅設備機器は妻に型式を指定させたほうがうまくいくことが多いという意。
(ね) 念には念を
「根太には根太用」
こだわりの対象にはまずならない根太にもそれに適した材というものがある。施主も木のことをよく勉強しましょうということ。
(な) 泣きっ面に蜂
「泣きっ面に追加工事」
ただでさえ予算オーバーなのに、追加工事が必要になった状態。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/26bc5cb8ca69e0b1b8e66c42ba010f7c
(ら) 楽あれば苦あり
「欄間あれば気配あり」
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/6aa8d04831099852f87cba0bdd73efae
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/999a6d063f59f9c52b0e9f8e2d7ec3ea
(む) 無理が通れば道理引っ込む
「無理を通せば棟梁引っ込む」
棟梁が撤退しそうなほどの無理を言ってはいけないという意。
(う) 嘘からでたまこと
「ウチから出した間取り」
家族で考えた間取り図に執着すること。
(ゐ) 芋の煮えたもご存じなく
「居間のアキ場所5畳もなく」
せっかく広いリビングにしたのに収納をしっかり考えなかったので、いろいろ物を置くことになって使える部分が狭くなってしまったという状況のこと。
(の) のど元すぐれば熱さ忘るる
「延床(のべゆか)増えれば貯えなくなる」
施工面積が増えるとお金がかかりますよということ。
(お) 鬼に金棒
「親が金出し」
親の資金援助がある家づくりのこと。金だけにとどまればいいが、口まで出してくることが多いようだ。
(く) 臭いものに蓋
「躯体の中に札(ふだ)」
棟札を入れてみたらどうだろうというハナシ。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/6b338813d0603101639c34a4003ccb77
(や) 安物買いの銭失い
「安くしたくて施主支給」
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/9037b54f86278763e275960cd863de7f
(ま) 負けるは勝ち
「間取りは家事」
家事動線のことを考えた間取りにしなさいということ。
(け) 芸は身を助ける
「建築家が身銭をきる」
どうしてもやってみたいことがあるのだけれども施主に資金がなく、自分でお金を足すしかないと建築家が決断したラッキー(?)な家のこと。
(ふ) 文をやるにも書く手は持たぬ
「普請(道楽)をやるにも時間を持たぬ」
いろいろ家づくりを楽しみたいのに時間がとれない人のこと。逆にウチの父は時間たっぷり(↓)。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/02a5fc02a54e52cb62615a8d03806a1a
(こ) 子は三界の首枷
「子は3階に首ったけ」
一番見晴らしのいい3階の部屋は子供にとられるという意。
(え) えてに帆をあげる
「縁側で呆ける」
縁側でボーッとするのもいいもんだ、ということ。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/febc2316c2f8b4bb34975ccd06b9eee4
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/bb592aaea0a676e15c7568b1a7dec03f
(て) 亭主の好きな赤烏帽子
「低低のスキマ、ああなつかし」
案外、低低住宅も良かったよな、というノスタルジー。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/a82fee80b21d6e060a76f1bc2866142a
(あ) 頭かくして尻かくさず
「頭金なくして借金へらず」
頭金が少ないとローンの負担が大変だということ。
(さ) 三べん廻って煙草にしょ
「三畳間作って煙草部屋にしよう」
肩身の狭くなったヘビースモーカー施主の願望
(き) 聞いて極楽見て地獄
「気密断熱見て納得」
高高にこだわるのだったら、ちゃんと施工過程を見て、測定もしましょうということ。
(ゆ) 油断大敵
「床暖快適」
床暖房はとても気持ちがいいということ。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/10199bf7e3ffff50d0e2a02384a1cfa5
(め) 目の上のこぶ
「目の上の子世帯」
二世帯住宅では子世帯が上になることが多いということ。
(み) 身から出た錆
「見積りから出た額」
そういう要望をだしたから見積り上、こういう額になったのですよ、という意。
(し) 知らぬが仏
「知らぬが見とけ」
施主はたとえ建築のことを良く知らないとしても、現場はよく見ておけということ。
(ゑ) 縁は異なもの
「エコは流行りモノ」
いいことなんだけど流行モノのように扱われているということ。
(ひ) 貧乏暇なし
「ビー玉持ち出し」
施主検査の時、施主が床にビー玉を置く姿をいう。施工会社の気分を害するのですすめられない。どうしてもやりたかったら一人の時にどうぞ。
(も) 門前の小僧習わぬ経を読む
「問題の構造わからぬ会社をよす」
姉歯元建築士の偽造を見抜けなかった検査機関をさける動きのこと。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/eae11c5764b89bf3760b43b7a691dcaf
(せ) 背に腹はかえられぬ
「施工にミスはさせられぬ」
あたりまえなのだが、「基準すれすれ」(↓)ならなおさらである。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/e3d4593841b299c8044b0e31cef02b42
(す) 粋は身を食ふ
「図面は間をとる」
建築家からプランが出てくるのに時間が必要ということ。または、最初のプランが出てくるまでが待ち遠しく感じるということ。
(ん:京) 京の夢大坂の夢
「キッチンの夢おおげさな夢」
夢をふくらませて計画したら、やっぱり現実からかけ離れていたという意。
拙ブログに訪問してくださる皆様、今年もよろしくお願いいたします。 garaika