家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

ろくさんのIDカードホルダー

2010年12月31日 | レザークラフト

 

 ろくさんのIDカードホルダーができあがった。
 Pさんのジョッターメモ付きIDカードホルダーのエントリ(LINK)を見たろくさんから熱心なアプローチを受け、条件が折り合ったため、制作をお受けした。
 制作にあたって打ち合わせした結果、仕様は以下のように決まった。
・IDカードを2枚収納
・ジョッターメモ付属
・名刺入れ付属
・コインホルダー付属
・写真入れ付属
・ペンホルダー付属
 ペンはWalkiePenのBoldタイプ
・リール付きストラップ
・色調は黒
・ステッチの色はダークグリーン
 いろいろ盛りだくさんである。それでいて見た目をシンプルにするという条件。
 作り手としてはなかなかやりがいのある案件となった。

 Pさんのカードホルダーと大きく異なるのは、Pさんのが1枚の板状だったのに対し、2つ折り構造になったこと。
 これはIDカード、写真、ジョッターと、露出させる必要がある面が3つあったからだ。1枚の板状だと露出する面は2つしかとれない。2つ折り構造なら4面とれる。先ほどの3面以外の残り1面は名刺入れとコインホルダー用に使った。
 一見、目立った特徴のないIDカードホルダーであることがむしろ特徴といっていい。これに前記の機能をすべて盛り込んであるのだ。

 正面はIDカード、裏面はジョッターとなる。首から下げていて、ひっくり返すとすぐにメモがとれるようになっているのはPさんのカードホルダーと同じ。
 ジョッターの下の位置(使うときは上になる位置)にペンホルダーがある。ペンホルダーはIDカード面から見えないように配置することでシンプルさを実現している。

 

 2つ折りを開くと、写真入れと名刺入れがある。名刺入れの表面にコインホルダーを設置した。
 コインホルダーはPさんのとは違って犬のような顔になった。できるだけ厚さを抑えるため、ホックをつけるのに「ハンシャ」という金具を使ったことがきっかけになった。

 

 通常のホックはボタンのように盛り上がっているが、ハンシャはフラットである。普通ハンシャは隠れる位置に使うもので、市販品では見える位置に使ったりはしてしない。しかし私は、犬の「目」に見立ててしまえばこんなふうなスタッズ的に使ってもいいと考えた。無手勝流の強みである。

 

 あと、Pさんのカードホルダーと違うのは、カードを保護する入れ子構造の透明ホルダーである。Pさんの場合、私のポストイット付きIDカードホルダーと同様、ソフトな塩ビ製のものを使ったが、ろくさんのはハードなPET製のものにした(B8サイズ)。これは5枚入りで安く売っていて大手文具店なら手に入る。煤けてきたらいくらでも差し替えが効く。
 写真もこれに入れて収納するので、2つの透明ホルダーが入れ子となる。この入れ子は本体の「芯」の役割を果たす。

 さてこの作品、私の制作工程は終わったことになるが、実はまだ完成ではない。
 内側の写真入れにろくさんのご家族の写真が入り、革がろくさんに馴染んできたときに完成となる。本当の完成に仕上げていくのは作り手ではなく使い手なのだ。
 その点は家作りと同じだと思う(参考エントリ→LINK)。

 受け渡しのとき、ろくさんから「満足した」との言葉をいただいてほっとしたが、心に残った言葉が他にもある。

    「この作品はgaraikaさんから見た私なんですよ」

 深い。
 確かに黒のボディにダークグリーンのステッチは自分の持ち物であったならば、採用しそうもない。なにより、このような機能の組み合わせは使い手のコダワリがなければ現れるものでもない。依頼主と作り手がゼロから作るフルオーダーだからこそできる作品なのだと思う。
 ろくさんとは「市販品には100%満足できるものがなかなかない」というようなところから会話が始まった。私は「市販品というのは80%の人間が80%くらいの満足度を得ればかなり上々の商品になるけれど、残り20%の満足度を得ようとすると、今度は多数の人が満足できなくなる」というような解説をした。
 私は逆に、そういう残り20%を埋めるための作業から面白いモノが生まれてくる気がしている。万人に受ける商品より、思い入れの強い一部の人に受ける商品に興味がある。
 だからオリジナル性がある仕様だと、やる気が俄然高まる。打ち合わせ時にいろいろな提案をして、オリジナル性を増幅させたりする。その過程で注文主の個性が作品に盛り込まれていく。最初はPさんのと同じものを売って欲しいというろくさんだったが、違うものを作ることになって本当に良かった。
 「この作品はgaraikaさんから見た私なんですよ」
 という言葉はそのとおりかもしれないなあと思ったのだった。

   




開運宝くじ入れ

2010年10月03日 | レザークラフト
 
 ずいぶん前に購入した黄色い革の使い道を考えていて、ふと思いつきで宝くじ入れを作ってみた。
 風水などでは黄色は金運につながるとして、財布を黄色にした製品を売っていたりする。そこから、宝くじ専用の入れ物を黄色で作ってみるのはいいかも、と思ったわけ。
 2枚のパーツを張り合わせてハトメリングを付けただけの超シンプルなものである。ハトメリングにはストラップを通し、やはり金運につながるパワーストーンを付けてみようと考えている。
 
 先日購入したオータムジャンボ宝くじを入れた。さて・・・。

システム財布を作る

2010年02月28日 | レザークラフト

   

 財布を新調した。
 かれこれ10年も使っている現在使用中の自作財布は一部に「ほつれ」もあり、換え時になっていた。
 痛んできたなと意識するようになって半年以上経っていて、いつ作ってもいいようなものだが、この時期に新調したのには意味がある。
 それはなぜか?
 財布は春に新調するのがよいと聞いていたからである。
 「春財布」すなわち「張る財布」という縁起かつぎらしい。
 たくさんお金が入って十分に張ってくれることを願って3月から使う財布を作った。

 さて、「財布はピストルと似ている」と言ったのは作家の赤瀬川原平である。
 玉を込めて懐に忍ばせておき、いざというときにさっと取り出して打ち出すという使用過程をなぞらえていた。その文章を読んで、「たしかに」と膝をたたいた記憶がある。
 その赤瀬川原平の言葉を思い出し、取り出しやすく、玉(お金)を込めやすく、撃ち(出し)やすい財布を作ろうと思った。

 本体を取り出しやすくするにはスリムな形状にし、厚みや突起物を抑えればいい。その上でお金を入れやすく出しやすくする。
 市販の財布でもそこまでは実現できているものが数多くあるので、あらたな工夫をする必要はないようにも思える。
 しかし、工夫余地はまだ残っている。それはカード類の収納だ。
 財布の中には様々なカードが入っている。それぞれの用途を考えるとあることに気づくだろう。
 そう、オンとオフでは使うカードが異なるのである。
 例えば、会社の近くの食堂のポイントカードはオフには使うことがない。自宅近所のレンタルビデオ屋の会員カードはオンには使わない。
 カード収納ポケットがたっぷりある市販の財布もあるが、カード類すべてを財布の中に入れているのはムダが多い。財布がその分厚くなって取り出しにくくなるだけでなく、目指すカードを探す手間もかかるので、「早撃ち」ができない。
 ということで、このムダを排除する方式を考えた。

 私はかつてシステム手帳を愛用しており、いまでも未練があるくらい(関連エントリ→LINK)なので、リフィルを交換するシステムを財布に導入することにした。

 まず、カード類(サービスチケット含む)を以下の3つに分類する。

 A:オンでもオフでも使うもの
 B:オンでしか使わないもの
 C:オフでしか使わないもの

 財布本体には、紙幣と貨幣とAを収納できるようにする。そして、Bを入れるオン用のリフィルとCを入れるオフ用のリフィルを作って、それぞれを本体から差し替えて使えばいい。
 弾丸カートリッジを取り替えるようなイメージもあり、まさにピストル。「これはいける」とほくそ笑んで作った。これが極私的製品開発の醍醐味である。

 以下、作品を紹介しよう。

<本体部分>
   
 収納するリフィルによって全体の厚みが変化するので本体と「かぶせ」を分離したパーツとし、間を柔らかい皮(シープスキン)でつなぐ形式とした。
 柔らかい革でつないだため、開いて机上に置くとフラットな形になる。
   
 紙幣と貨幣、そして6枚のカードが入るようになっている。
 ピストルをイメージして全体の色調は黒としたが、ステッチとマチのパーツは黄色とした。黄色は金運があがるという風水に乗ってみた。全体を黄色にするほどあからさまなのは上品には思えないので部分的に導入。黒と黄色とすることで寅年に作ったことを象徴するという意味もある。
   
 マチをもっと幅広にしておけば良かったと思えるくらい金運が上昇すれば良いが・・・。
 小銭入れ部分は長めのファスナーを使い、大きく開くようにした。
 

<オン用リフィル>
   
 本体のポケットに差し込んで使用する。オンで使うカードはオフより多いので表裏にカードホルダーを設置。計10枚入る。コーヒーショップのサービスチケットなどを入れるポケットも設置した。

<オフ用リフィル>
   

 差し込んで使うのはオン用と同じ。私の場合、オフで使うカードはあまり多くないので、カードホルダーは片面(写真の裏面)のみで計4枚を収納。
 一方、もう片面(写真の図)にはジョッター(参考エントリ→LINK)とちいさなペン、そしてレシート入れ用の収納を設置した。オフの場合、夕食材料の仕込みなど買い物用途の場面が多いからだ。


 ここからさらに発展させ、
・切符、チケット類を収納する旅行・出張用リフィル
なども構想したが、目先のところその必然性は高くないので2つのリフィルからスタートする。

  「本体のみ」と「全部(2つのリフィル)入り」の比較

 
  全部入りはものすごく一杯お金が入っていそうにみえる(笑)。

   
 ここへきて急に春らしい陽気になってきた。財布の新調日よりである。


PさんのIDカードホルダー  ジョッターメモ付き

2010年02月06日 | レザークラフト

   
 某所で知り合ったPさん(♀)からのオーダーで作った品が完成した。
 その名は「ジョッター付きIDカードホルダー」。
 昨日、受け渡しが終わったので紹介する。

 Pさんは、私が以前作ったポストイットホルダー付きIDカードホルダー(→LINK)を見て、メモ機能付きのIDカードホルダーを所望した。
 そのため当初はメモ用途としてポストイットを装備することを想定していたのだが、制作にあたっての打ち合わせでジョッターの存在を紹介するや、Pさんはすっかりジョッターが気に入ってしまい、方針転換となった。

 ジョッターとは何か。
 簡単に言うと、コンパクトなメモ用紙がはさまった小さな板のようなものである。「ちょっと書き留める」という意味の英語のjotが語源になっているらしい。メモ面がむき出しになっているので、メモをとることにおいて最速なアクションができるツールだ。

 ジョッターは普通はポケットに入れて持ち歩くが、私はIDカードホルダーと合体してしまうのがいいと以前から考えていた。そのあたりは、ポストイットホルダー付きIDカードホルダーのときと同じ発想である。
 ジョッターの場合は、ポストイットのように覆う形でホールドする必要がないから厚みを抑えることが出来、カードホルダーとの親和性はより高い。
 IDカードホルダーを表側とし、裏側をジョッターとすれば、IDカードホルダーが、ひっくり返すと瞬時にジョッターに変身する。シンプルだけどとても便利な一品となる。
 それをPさんに持ちかけてみたらドンピシャリとはまったという次第。

 Pさんの要望はさらにあった。ペンも名刺も格納したいという。
 自分のポストイットホルダー付きIDカードホルダーもペンホルダーはつけていた。小さなペンを保持し、メモはあるけどペンがないという事態に備えたもの。この希望は想定内。
 名刺入れ部分は新規に考える機能となった。
 実のところ、ジョッターを紹介してみたのは、ジョッターとして使える市販の情報カードに「名刺サイズ」というのがあったためだ。名刺サイズジョッターメモは名刺入れの中に保管することができるので、名刺入れと合体するのはいたって合理的なのだ。

 こうして名刺入れ部分をコアにして、表面をIDカードホルダー、裏面がジョッターという基本構造案ができあがった。
 ただ、Pさんからはさらに追加要望が出てきた。chiezokunさんにプレゼントした極小財布(→LINK)につけた500円玉ホルダーが気に入ったようで、その機能もつけたいという。ふと自販機のジュースを買いたくなったりした場合を想定していた。

 で、打ち合わせを経た用件をまとめると以下のようになる。
 ・横型のIDカードホルダー
 ・IDカードは2枚収納。1枚は表面が見えるように、もう1枚は隠れてしまっても良い。
 ・私のポストイットホルダー付きIDカードホルダーと同じように市販のビニール製のIDカードホルダーを入れ子にする構造を採用する
 ・ジョッター(91×55の名刺サイズ情報カード)をつける
 ・名刺を3枚程度は入れられるように
 ・ペンホルダーをつける。ペンはWalkie pen のBoldタイプ(関連エントリ→LINK
 ・500円玉ホルダー
 ・ストラップは革製でなく布製
 ・色は赤っぽい紫系とか、ピンクがちょっと入った濃い赤とか。

 貧乏性の私は機能がたくさんあるものが好きである。それでいて見た目がすっきりしているのが好み。 これだけ要望がたくさんあれば取り組み甲斐がある。

 通勤時間を有効活用していろいろ考えた。特にコインホルダー部は思案のしどころになった。そうした時間も私にとっては趣味の時間である。
その思考過程を紹介していたらキリがないので、以下完成品をご覧いただき、工夫を読みとってもらえたら幸甚である。

<IDカード表示面>使う本人の目線から見た図
   
 シンプルさは実現できていると思う。いろいろな機能があることは一見しては分からないはず。


<非使用時のジョッター面>使う本人の目線から見た図
   
 表面に乗っているのがコインホルダー。ぶら下がっているので逆さにすればたれさがり、ジョッター面が使えるというわけ。

<使用時のジョッター面>使う本人の目線から見た図
   
右上(ぶら下げたときは左下)上部のペンホルダーからペンを取り出して使う。

 
<コインホルダー>
   
  半円形のステッチという構造になったため、白い糸で縫って「口」に見立て、「目」をあけて顔に見えるようにした。これは単なる装飾にはとどまらない。この穴から、中に500円玉が入っているかどうかを確認できる。また、コインホルダーはむき出しのジョッター面の上に乗っているので、ジョッター面の汚れをある程度防ぎ、かつメモ記入してあった場合は衣服の汚れを防ぐ効果がある。
 ジョッターの押さえの部分が幕のような効果をみせて、人形劇の舞台のような印象になったと思うがどうだろう。

   
 スナップをはずして500円玉を入れる。


<名刺入れ部>
   
 上部(ぶら下げ時)から入れるが、名刺入れ部の脇のステッチをタテの長さの半分ほどに止めているため、出し入れをしやすくしている。
 上部に飛び出したスナップを止めておけば、逆さまにするジョッター使用時にも落下することはない。

<全体図>
   
 ストラップも本体の色にあったテープを購入して作った。



 製作過程で、ストラップ式のカード類ホルダーについての別の面白い構造案が浮かんだ。
 多少厚みが増すが、機能が満載できるし、使う人次第で機能の組み替えができる構造である。どなたからか新たにカードホルダーの製作依頼がきた時に、その構造を持ちかけてみることにする。


小さきものはみなうつくし

2009年10月07日 | レザークラフト

清少納言 枕草紙より 

何も何も小さきものはみなうつくし

小さいものは皆かわいらしい。
肯く相手が清少納言とするとおそれおおいのだが、まったく同意するしかない。
私も小さいものは大好きで、見かけるとつい購入してしまうからだ。
ただ、私の琴線に触れるものには特徴があると思っている。
それは道具であることが多く、装飾品やマスコットは非常に少ない。
実際に使えるのだけれども規格外に小さいもの、というのに惹かれる。
実用にこだわるのは多分に自分の貧乏性気質によるものと思われるが、ただ小さいという以外の条件とか制約を設けることで、収集物に個性を反映した一本の筋が入るように思っている。

自分が作るものも小ささを追求することがよくある。
例えば
世界一小さいスケジュール手帳カバーであり、キーホルダーにつけるコインホルダーであり、98対応式マネークリップであり、チビRHODIAカバーであり、がまプチである。
いずれも実際に使用できるものであり、ミニチュアでもなく、オブジェの類でもない。

先日、ブログ開設当初にネット上で知り合ったchiezokunさんのプレゼント企画に当選した。
とてもおしゃれな巾着に入れられたかわいらしい小物類で、妻へのプレゼントとさせてもらった。そこで感謝の意を込めて極小の財布をハンドメイドしてプレゼント返しさせていただいた。↓

    

chezokunさんとはまだリアルで対面したことはないのだが、何せ5年も交流があったので趣味嗜好の一端をよく知っている。
chiezokunさんは何を隠そう、私と同じ「ちっちゃいもの好き」なのだ。しかもハンドメイドの達人でもあり、住宅は我が家と同様、「ミシン室」を備えていたりする。僭越ながら心の友のような気さえしている。

相手のことを知っていると、製作時間はより楽しくなる。「こういうものなら喜んでもらえるのじゃないか」と考えながらモノ作りができるのは作り手にとってとても幸せなことなのだ。
この感覚も清少納言のいう「うつくし」に通ずるように思う。

 

    
↑ごらんのように1000円札と500円玉が入る。ちゃんと「使える」のだ。
頻繁に使うのではなく、いざという時に活躍するはずのものと認識してほしい。
すでにchiezokunさんのところに嫁いでいって私の手元にはない。
chiezokunさんのブログ「* Mon petit chateau *」で紹介していただいたのでトラックバックする。


pomeraカバーを作ってみた

2009年08月17日 | レザークラフト

 
世間の盆休みに重ねて短い夏休みをとって今日最終日。
盆の時期というのは、来客あり、家族のイベントありで思ったほど自分の時間はとりにくいものだ。
今日はほぼフリータイムとなったため、レザークラフトに時間を使った。

作ったものはメモツールpomeraのカバーである(pomera関連エントリ→LINK)。

pomeraの表面はエナメル質のようなすべらかな光沢があるのだが、指紋がつきやすく、キズがつきやすそうなところが弱点だと思っていた。購入した時点でケースかカバーを作ることを想定していた。
結局作ったものはカバーとなったが、全体をカバーするのではなく、ディスプレイの背後となる表面部分のみ包むタイプとした。
構造は非常に簡単だ。角の補強パーツを入れても4つだけ。
簡単なわりには渋い感じになったかなと思う。
これで持ち主が渋い男であれば申し分ないのだが、残念ながら世の中そううまくいかないものなのである。

開いてみたところ↓ 黒にしたせいかカバーがあることがほとんど意識できないくらい。

   


(同じ革をつかった「兄弟」の)ほぼ日週間手帳カバーとならべたところ↓

   


マイ箸ケースを作る

2009年07月28日 | レザークラフト


私はいつもマイ箸を持参している。
ただし外食時に使うのではなく、弁当を食べる時に使う。こういうのはわざわざ「マイ箸」とは言わないのかもしれない。
珍しいのは使う場所と時間帯だ。
超遠距離通勤なので、朝食用の弁当を新幹線車内で食べるのである。
睡眠時間を確保するために、起床から15分で家を出る。同時に起床する妻が、私が家を出る前までに弁当を作ってくれているのだ。

そんな日常であるために、最近のマイ箸ブームはちょっと興味があり、携帯用の箸への関心が高まっていた。
そして、先日、いい箸を見つけて購入した。

携帯箸 「かくれん棒」
http://www1.ocn.ne.jp/~minoko/hashi/kakurenbo.htm

今まで使っていた携帯箸より軽くコンパクトなのが気にいった。
常時持ち歩くことを考えると、小さければ小さいほどいい。

そして、ケースを自作した。
構造はいたってシンプルなので、型紙は作っていない。
ちゃちゃっと作った割にはなんとなく優雅な雰囲気をかもしだせたかな、なんて自己満足して喜んでいる。

     


いままで使っていた携帯箸と比較↓。少なくとも厚みはだいぶ小さくなった。

   


極小がま口

2009年06月21日 | レザークラフト


がま口を作った。
普通のがま口ではない。
極小サイズのがま口、である。

 

がま口の定義を、
「口金で開閉する財布」
と考えた時の、限界に近い小ささにしてみたものだ。がま口をもじって「ガマプチ」と命名してみた。

サイズはタテ6cm(突起部含む)、ヨコ4cmにすぎない。手の中にすっぽりと隠れてしまう大きさ。これ以上小さくしたらコインは入らなくなり、がま口のミニチュアにはなるかもしれないが「財布」のカテゴリからはずれてしまう。

 

ガマプチは底辺部分にパイピング(玉縁)を施して厚みを確保し、500円玉が最大5枚、計2500円入るようにしてある。極小の割にはなかなかの収容力になったと思う。
このくらいの金額を持っていればコンビニ等での買い物にはまったく支障はなく、なんなら映画館に入って映画を見るだけでなくポテトとドリンクも買える。これをポケットに放り込んでおくだけで大抵の商業施設にふらりと寄ることができるのだ。
とりあえず、週末恒例の早朝ウオーキングの時にでも使おうと思っている。
下膨れ状の普通のがま口のようなあそび部分を作らなかったため、動き回ってもジャラジャラと音が鳴らないのもポイントである。

本体は「じいちゃんのおけいこバッグ」で使った出所不詳の革の余りを使っている。
革はタダみたいなものなのだが、この作品のキモは口金につかった金具にある。
「こんな小さな口金が」とあなどるなかれ、定価は1200円というしろものだ。
なんとこれはドイツ製なのである。
よくみれば一般の金具より鋼が肉厚でかっちりした作りになっている。ちゃんと見れば1200円は伊達じゃないのがわかる。

 

しかし、いくら品質がよくたって1200円も出す人がいるのかという疑問も出てくるだろう。その疑問は当然だ。
そもそもこのような小さい口金の用途は限られる。一般に市販されている口金でこれとサイズが近いものに印鑑ケース用口金があるが、それは200円以下で買える。1200円の金具を使って印鑑ケースを作ろうと考える人がそうそういるとも思えない。
ネタばらしをしてしまうと、物好きを自認する私とて1200円出して購入したわけではない。昔、某大手手芸店のワゴンセールで破格値でGetしたのだ。
手芸店の仕入れ担当者が需要をよく考えなかったのか、実験的に仕入れたのか知らないが、そのおかげで処分品となり、買う気が起きたというわけ。
モノというものは最終的には収まるところに収まるものなのである。

なお、価格とは別の疑問点は残る。この金具、印鑑ケースに利用はできるものの、ドイツに印鑑文化があるって聞いたことはない。コストを考えたら印鑑ケース用に日本からドイツに製造を発注したものとも思えない。本当は何のためのパーツだったのだろうか。
もしかして、私が使ったように極小がま口用だったのか?
だとすると、世界には意外に極小のがま口が出回っているかもしれない。

以前製作したコインホルダーと比べてみる。

  


ロールブレイドケース 

2009年05月23日 | レザークラフト


筆箱採集帳」を見て、今度自分が作る筆箱は文具の収納場所を固定する仕組みにしたいと思った。使うとき、探しやすいし、収納された姿が美しいからだ。

収納場所の固定という用件を満たす筆箱としてはロールペンケースというのがある。巻物のようにぐるっと巻いて使うアレだ。筆箱採集帳でもいくつか紹介されていて興味を引いた。
しかし、ロールペンケースは収納場所が固定されるものの、出し入れが機動的ではないのが玉にキズ。1本だけ使って戻すような時は別に問題はないが、複数の道具を使うときは出したり戻したりするのが面倒なので、出しっぱなしになる。
出しっぱなしにしている場合、こんどは出した文具が他の道具類や机上の小物、ノートの陰に隠れてしまったりして、探さなければならなくなったりすることが往々にしてある。
そのため、使用中の複数の文具をいったん置いておくためのペントレーのような機能があればいいと考えた。

こうして「ペントレー機能つきロールペンケース」という基本構想が形作られた。しかし、具体的な収納物を考えはじめてすぐに壁にぶつかった。
ひととおりの文具を欲張ってひとまとめに入れようとすると、収納物が多すぎるのだ。そのままではすごい太さのロールペンケースになってしまう。
ロールの幅より直径の方が太い「ガムテープのような形状のロールペンケース」というあほらしい図が思い浮かぶ。
それはそれで面白いではないかという考えと、使いにくくて実用的でないという貧乏性気質が頭の中で葛藤する状況に陥った。
実は私のもの作りにおいては、このような脳内のバカな葛藤に時間を費やすことが多いのだ。

結局、貧乏性気質が勝利したのだが、「ペントレー機能つきロールペンケース」というアイディアの実現はあきらめきれなかった。
そこで用途を絞ったペンケースにすれば、収納物は限られ、適度な大きさになるだろうと考えた。

私はレザークラフトの型紙作りなど、普通の人よりは刃物を使うことが多いので、カッター類を一括して収納するのがいいと思いついた。ロールペンケースならぬ、ロールブレイドケースというわけだ。
まあこれも「筆箱採集帳」的に言えば、「筆箱」の部類に入れていいのかもしれない。

で、このたび完成したというわけ。

収納形状は以下のとおり。

   

収納しているのは右から
・NT円カッター(C600G)
・Tajimaツール カーブカッター
・OLFAカッター(Limitedシリーズ FA) ただし搭載刃は貝印刃物の職専刃
・NT細工用カッター(AD2)
・ペナントナイフ
・マイクロカッター4種

普通のロールペンケースとあきらかに違う部分が2箇所ある。
一箇所は写真の右上方にある透明なケース、もう一箇所は左にあるスナップである。

透明なケースの正体は使用済みの刃を入れるケース。これはカッターナイフ用のケースなので、折った刃の保管場所が必要なのである。理科実験用製品を売っているところで購入したキャップ付きミニ試験管を転用している。

  

スナップがあるのはマイクロカッターをスムーズに収納するためである。
マイクロカッターは非常に細かい切断作業用なので、ほとんど針といっていいほどの太さ。
先端からケースに突っ込むと革に刺さる可能性が高い。それで横から入れられるような構造にした。

  



  

トレーは以下のように使うことになる。

  

 


 


チビRHODIA(No10)用カバー

2009年05月06日 | レザークラフト

       

文具好きにはおなじみの、オレンジ色の表紙に方眼の罫線が特徴のRHODIA(ロディア)というメモ帳がある。
さまざまなサイズのラインアップがあるのだが、最近になって最小サイズのNo10が発売された。

これまで最小だったNo11の半分のサイズで、タテ75mmヨコ52mmという小ささ。
「小さいモノ」好きとしてはたまらないシロモノで、即買いした。
しばらく手のひらで転がして楽しんだあと、カバーを作ろうと決めた。
(先に作るはずの筆箱は構想途中で停滞中)

いろいろなメーカーが売れ筋のNo11用のカバーを市販しているが、まだNo10用のカバーは出ていないだろうとイノベーターの血が騒いだのだ。
しばらく時間がとれなかったが、このGWの1日を使って一気に製作した。
単なるカバーではつまらないので、ジャストフィットするペン付きにした。
私は伊達に小さいモノ好きを自称しているわけではない。小さいペンもちゃんととりそろえているのだ。
以前紹介した自作の「すぐメモ」用ホルダーではWalkie Penという相当に小さいペンを使ったが、タテ75mmのRHODIA No10にあわせる場合、それでも若干長い。そこで今回はOHTOのPetit Bというペンを使った。

これは収納時の全長が79mmで、83mmのWalkie Penより短い。No10を収納するカバーのサイズにピタリと合う。ちなみに、OHTO Petit Bは使用時にキャップをはずして本体と連結すると全長130mmとなって持ちやすいという利点もある。
このメモはやや厚みがあるので、衣服のポケットに入れて持ち歩くのではなく、バッグの中のポケットに収納することにした。そのため、取り出しやすいようにリングをつけた。場合によってはこのリングを使ってバッグやリュックにぶら下げることも可能だ。
腰リールメモ(→LINK)として使ってもいいかもしれない。

開いたところ
  
  手前がNo11。No10の小ささがわかるだろうか。

手に乗せてみたところ
  


「すぐメモ」ホルダーと並べてみたところ
  

<追記>
せっかちにイノベーター宣言などするものではなかった(笑)。もうすでに商品化されたカバーがあった。しかも2種も確認できている。それだけRHODIAが普及しているということか。
ただし、サイズがピタリと合うペンとコラボレートしているのは私のだけ。そこだけでも誇らせてもらいたいところ。
ちなみに、このNo10、75周年記念の限定品ということに注意。そのまま終わってしまったら、カバーが無駄になりかねない。ということで私はひとまず6冊ストックしてある。
ちっちゃいもの好きや腰リールメモ使いの人たちとかがたくさん買って記念品から定番商品に昇華してもらいたいものだ


即買いすべし Begin4月号

2009年02月22日 | レザークラフト


Beginという雑誌がある。若手男性社会人向けのファッションマガジンで、ノリが完全に若者向けなので、私のようなオジサンが普段手に取るべき雑誌ではない。
しかしこの雑誌、実は革細工をやる者にとっては要注意なのである。ときたまレザーグッズについての貴重な記事が載ることがあるのだ。
この4月号はとてもいい特集があった。「革小物検定2009」というのがその特集なのだが、その中で特によかったのが、「あの名作革小物のびっくり『解体新書』」という記事である。定番の革小物を分解して、すべてのパーツを並べて解説してある。以前の号にもこうしたパーツを分解した記事があったが、今回は5種類も分解してくれてあるのだ。
コレ、作り手の目線で見るといろいろな発見があってとても楽しい。型紙をつくるのにものすごく参考になる。レザークラフトをやる人はぜひ買うといいと思う。Begin流に言えば「即買いするしかないっしょ」である。

   


「筆箱採集帳」に刺激を受ける

2009年01月23日 | レザークラフト

文房具愛好家といえるほどではないが、文具は好きである。文具関連本もいくつか持っている。
そんな私が発売日を待ちきれずに、ここ数日会社の行き帰りに毎日書店を覗いてまでして手に入れた文具本が「筆箱採集帳」(ブングジャム、ロコモーションパブリッシング発行)だ。
筆者(ブングジャム)の
きだてさんのブログ→http://iroblog.exblog.jp/d2009-01-14
他故壁氏さんのブログ→http://powertac.blog.shinobi.jp/Entry/830/
高畑さんのブログ→http://bungu.seesaa.net/article/112625946.html
上記ブログなどから発売予定日は24日という情報を得ていたが、大手書店だと新刊本は往々にしてその数日前に店頭に並んだりすることがある。それゆえに書店通いし、発売日の1日前にめでたくGETしたわけである。(おそれながらお三方のブログにTBさせていただきました)

さて、表題どおり、いろいろな筆箱が「採集」された本。もちろん採集といっても現物を取得したのではなく、写真を撮り、所有者の談話や採集者の解説をまとめてあるというものだけれど。
59人ものさまざまな職業の方々の一風変わった筆箱がたんまりと紹介されている。
会社員、学生から編集者、デザイナー、ショップ店主、漫画家、カメラマン、質屋、陰陽師、神主などバラエティに富んでいる。59人のうち建築設計関係の方が3人も居たのは、文具が重要な仕事道具である職業だからだろうか。
それぞれの筆箱と収納物に職業や志向がうかがえて実に興味深い。建築士の筆箱にはロットリングのペン、漫画家の筆箱にはインク瓶がまるごと、編集者の筆箱には赤系のペンが数本、保存額装家の筆箱には何種類もの刃物…
筆箱といっても、ものすごく広義にとらえていて、中に筆記具系のモノさえ収められていれば筆箱扱いしているのが面白いところである。
圧倒されたのは、スウェーデンの軍放出品のバッグを「筆箱」にしたもの。軍隊で使うミリバッグ(ミリタリーバッグ)というのは各種装備品を固定するために専用のポケットやベルトの類がたくさんついているのだが、そこに文具類をこれでもかと配置している。私は子供のころからたくさんの道具を収めた道具箱の類が好きで、これを一目見て虜になってしまった。
バッグの他にも、手ぬぐいとか、白衣とか、本当の箱とか、手帳とかまで、筆箱として紹介されている。そう考えると、もしかして私の持っているコレ(→LINK)も筆箱扱いにできるかもしれない、などとも思った。

さて、この本を読んで困ったのは、がぜん筆箱を自作したくなってしまったことである。込み入った案件について検討をはじめたばかりだというのに…。
この前は妻用に「大人の仕掛け筆箱」(→LINK)というものを作ったが、こんどは自分用に作りたくなってきた。
この本で紹介されている筆箱達とは違う自分ならではの筆箱を考えてみることにする。ただ、おそらく製作に入るのはもっと先。構想とその後の設計に時間がかかりそうな予感十分だからである。


作品名「10・5(イチマル・ゴ)」  ほぼ日週間手帳カバー

2009年01月08日 | レザークラフト

  

10月26日に「作るぞ宣言」をしてから間が空いたが、ようやくほぼ日週間手帳カバーが出来上がった。
手帳とメモの2冊が収納されている。
狙い通りの薄さになった。カバー分を含め12mm厚なので、背広のポケットに容易に入る。
前の週間でないほぼ日手帳は25mmもあって、とても入れられなかったのだ。
自分の制作物に製品名をつけることはあっても、作品名は滅多につけないのだが、これには「10・5(イチマル・ゴ)」という作品名を付けた。
その理由は手帳作りの構想過程を紹介することによって明らかになる。

設計にあたってまず全体像をつかむために、手帳本体の寸法を測っていたら、カバーのサイズはタテ15cmヨコ10cmでいいことが分かった。
ちなみに、私は人に好きな数字を問われると「10」というくらいに10が好きで、「ひとケタでなければダメ」と返されると「じゃあ、5」というくらいに5が好きである。
「これも天からの何かの指示かも」とお得意の都合のいい空想をし、いっそのこと「15」も合わせて「10」と「5」から構成されるモノにしてしまえ、と製品コンセプトを定めた。

さて、タテヨコ以外に10と5を盛り込むにはどうしようか、と考えて以下のようにした。
・ ペンホルダーの全長を10cmとする
・ メモ等を挟む内側の差し込みのサイズをタテ10cmヨコ5cmとする
これだけだとイマイチ面白くない。ということで「背」の部分を3分割し、5を3つ作ろうと考えた。
構想しているうちに、「これでこの手帳が完成したら、どこでも5cmと10cmを測ることができるぞ」などということに気づき、「待てよ、どうせ『測れる機能』があるなら目盛りをつけてしまえ」という発想に至り、1cm(実は10mmと言いたい)間隔の目盛りを打刻することにした。↓
  

この手帳には前手帳の作成時に編み出した「実用新案」である「スナップしおり」を引き続き設置。
前の手帳ではこのしおりで月間スケジュールと日次ページを行き来したが、今回は週間スケジュールとメモの直近ページの行き来が簡単にできるようになる。
補足すれば、このしおりにつかったスナップの直径は10mmであったりする。
   

ペンも新調した。
選択に当たっては、
・ 全長が15cm未満でありつつ、できるだけ15cmに近いもの
・ ペンホルダーが10cmもあるので、出し入れがしやすい直線的デザイン
・ ペンホルダー収納時の「収まり」を考慮して、ペンクリップの差込位置がペンの最上部から25mm程度のもの
・ できれば多機能ペン
を条件とした。
定規を片手に大手文具店のペン売り場をあやしく徘徊し、結果、プラチナの「DOUBLE 3 ACTION  (型番:MWB-1000BS-9)」という、条件にぴったりのペンを見つけたのだった。ボールペン黒赤2色+シャープペンの多機能ペンである。価格は税込み1050円とリーズナブル。
くしくも軸径は10mm。「まさに天の巡り合わせ」と文具店でひそかに小躍りした。

   

例外はあるけれども、自分のモノづくりにおいてはいかにも装飾然とした仕掛けを施さないようにしている。
色は、オジサンサラリーマンのビジネスユースということで早々に「黒と茶の組み合わせ」と決めていた。今回、3分割した「背」の真ん中だけちょっと違う色にした点については装飾的意識が入り込んでいるのだが、それもあくまで「味付け」くらいの意識である。

コンセプトを定めて設計し忠実に製造していくと、装飾とは違う方向でデザインの独自性とか機能美のようなものがかもし出されてきて面白い。
突飛でなくとも独特のコンセプトがありさえすれば、オリジナリティのあるモノが出来上がるのだ。
振り返れば、自分の家づくりもそのような過程で独自性をかもし出したように思う。コンセプトを定めながら建築家を選び、装飾的仕掛けがほとんどない家にもかかわらず、装飾的仕掛けが随所にある周囲の家より存在感のある家になっていると思う(たぶん)。

さて、今回の反省は工程管理である。
手帳本体を購入した時点で、年内に仕上げたい手ごわい受注案件(ナイフシース作り)をひとつ抱えていたのと、年賀状の作成餅つきをこなせばならず、休日にまとまった時間がとれなかった。
通勤途中を構想時間として、昨年内に基本構想は出来上がっていたが、そのまま年越しとなり、正月は例によって高額の酒税の納税作業に励み、3日の夕方からやっと型紙を作り、染色をし、4日に裁断から縫製、仕上げまでもっていった。5日の仕事始めに間に合わせるためである。
4日も年始回りの来客があったり、お年玉を使うための子供の買い物につきあったりで時間はあまりなかった。したがって「やっつけ」的仕事になってしまった。もう少し時間をかけて丁寧にやりたかった。来客中にちょっぴりアルコールを摂取してしまったので手もふらついていたかもしれない。
建築のように設計・施工分離なら監理者が怒ってくれたことだろうが、設計・施工(製造)・監理一括どころか、施主までも同一というモノづくりでは、油断すると妥協が入り込むのであった。
デザイン的には構想時にイメージしたより「シブい」感じになったので、もっと丁寧にやっていれば高級感を付加できたろうに、と悔やんでいる。
人から依頼の声がかかったときに、「あらかじめ納期を約束できない」としているのはこうした事態を防ぐためである。プロとしての環境がないのでプロ的な流れで仕事はできないのだ。したがって時間的余裕のある奇特なやさしいクライアント(例1例2)からしか受注できないのである。

 


別れることになりました

2008年10月26日 | レザークラフト
女性遍歴などといえるような経験がない人でも手帳遍歴というのはあるのではないか。
かく言う私も何種類もの手帳遍歴がある。

手帳らしい手帳とのファーストコンタクトは中学に入学したときに配布された生徒手帳だ。高校の時も生徒手帳ですませていた。
大学生になって自前で手帳を購入するようになったが、社会人になって再び支給された会社の手帳をちょっと使い、その後システム手帳に移行した。
そのころはシステム手帳がブームになりかけのころで、私はアーリーアダプター(関連エントリLINK)の部類に属していたかもしれない。
とはいえ私のことだから手帳は市販品ではなく自作。ドイツのクラウゼ社の金具を購入してレザークラフトした。当時は「リフィル通信」などというシステム手帳専門雑誌もあって…… などとシステム手帳のことを語りだすとキリが無いので、それはまたの機会に。
それほど凝ったシステム手帳も、いつのことか「かさばること」がわずらわしくなり、PCでスケジュール管理もできるようになって、数年後人事異動で職場が変わったことをきっかけに使わなくなった。
あるとき、メモを取る回数が減ったことに気づき、ちゃんとした手帳を持ちたいと考えた。
それが以前のエントリで紹介した「ほぼ日手帳」の導入につながっている。


しかし私の移り気は健在だった。
1日1ページの文庫本サイズでスペースがたっぷりあるのに、ここのところメモをほとんど記入していない。それは図体が大きくてポケットに入れられないことが影響しているように思う。とっさのメモについては「IDカードホルダー付きポストイットホルダー」が活躍するようになっているせいもあるだろう。
長遠距離通勤なのに空白だらけの大きめの手帳をいつもカバンの中に入れていることはよろしくないと考えた。
システム手帳の時とおなじようにかさばることが気になるようになってきてしまった。
ということで、「ほぼ日手帳」とは2年でお別れの時が来てしまった。

で今度の手帳はというと…

「ほぼ日手帳」一家(?)の「ほぼ日週間手帳」である。
「ほぼ日手帳」の厚さが14mmあるのに対し「ほぼ日週間手帳」は4.2mm。その薄さは魅力だ。(冒頭の写真を参考)
「ほぼ日」一家の証である方眼のラインをちゃんと踏襲し、タイムスケジュールも同じ縦構成で、これまでと違和感なく使える。
見開き1週間のバーチカル手帳として最小構成というのもイイ。
ほかの手帳メーカーにもバーチカル型の手帳はいくつもあるのだが、世界地図だの度量衡表だの年齢早見表だのアドレス帳だのまでくっついているのは私には余分だった。
まあこれだけだと肝心のメモ部分がないので、やはり「ほぼ日一家」のメモ帳と組み合わせることにした。これは厚さ2.4mmで、2つ重ねてもほぼ日本体の半分にも満たない。
週間手帳とメモ帳は同じサイズだが、ほぼ日手帳よりやや小さい。カバーに挟みやすいように配慮したものだろう。

ということは、ほぼ日手帳本体を使わずに、いままでのカバーに入れるとなると、ブカブカになってしまうということだ。
で、この手帳のカバーを年内に作ることが必然になった。
年内ならば時間はあるようだが、いま一件の手ごわい依頼品が構想段階で停滞していて、これをやっつけてから取り掛かることにするのでちょっときわどいかもしれない。できあがったらまた紹介するつもりだ。

それはそうと、
冒頭に女性遍歴を持ち出したのには、「手帳との別れは女性との別れと似たような面があるかも」と思ったからだ。
手帳を眺めながらの脳内会話。
ほぼ日手帳(以下「ほ」):あなた、最近なにかそっけないじゃない。私に不満でもあるの?
私:いや、これといって不満があるわけじゃないけど…
ほ:なによ、はっきり言ってよ。
私:どうも僕では君のよさを引き出すことができないと思いはじめたんだ。
ほ:それってどういうこと? 私に原因があるっていうの。
私:いや、君は悪くない。
ほ:もしかしてほかに好きなコができたっていうの。
私:実は…、そうなんだ。
ほ:誰よ、誰を好きになったっていうの?
私:君の…、…妹なんだ。
ほ:ええっ(絶句)

今回は「妹」に惹かれてしまったわけ。お姉さんが嫌いになったわけじゃないけど、お姉さんのいいところを受け継ぎながらお姉さんよりスリムなところにホレてしまったという次第。ホントに男というのはどうしようもない(笑)。

女性も手帳も好き嫌いを判定する条件というのはたくさんある。この部分(性質)が気に入っているけどあの部分(性質)はあんまり好きじゃない、というように。そのときの自分の気分や成長具合で好みは変わることもあるし、その組み合わせは無限に近い。
そんなことで、今の相手が嫌いになったわけじゃないけど、別に気になる存在が現われるなんてことはよくあることだろう。
手帳の場合、女性よりははるかに別れやすいわけだが、この手帳はなにせ自分で作ったオリジナルなカバーがついている。2年使ったので革のエイジングでいい感じになっていて、このままお役御免にするのはもったいない。
ほぼ日手帳は文庫本サイズなので、文庫本カバーに転用することはできるとはいえ、「本妻から二号さんに格下げ」のような申し訳ないような気分がある。
誰かに譲ってもいいのだが、新品でなくともいいという奇特な人は少ないだろう。


さて、女性(人)と手帳(モノ)の類似点を語っては見たものの、配偶者(人)や終の棲家(モノ)の場合はそんなに簡単に考えられるものではない。
添い遂げる覚悟を持って選んだ(選ぶべき)相手だからだ。
気になる存在が現われたって、簡単に乗り換えるわけにはいかない。
魅力的な対象が現れても、「新しいものはよく見えるものだ」と割り切って誘惑されないようにする心構えは必要だと思う。また「古くなることの良さ」を見出すこともこれまでも言っているとおり大事なことである。
イイ感じのじいさんばあさんになって、イイ感じにエイジングした家でしあわせに暮らしたいものだ。
表題はおわかりのように、いわゆる「釣り」である(ゴメンナサイ)。


98対応式マネークリップ

2008年07月21日 | レザークラフト

      


利用者が増えているのか、文具店やセレクトショップなどでマネークリップを見かけることが多くなった。私もいくつか持っている。
マネークリップで一つ面白いアイディアが浮かんだので作ってみた。
題して「98対応式マネークリップ」

98対応式とは何か・・・

マネークリップは極めてシンプルにお金を持ち歩けるのが利点だが、弱点は紙幣しか対応していないことである。紙幣で買い物をしてお釣りをもらったとき、硬貨の収納場所がない。このためポケットのなかで硬貨がじゃらじゃらしてしまう。
この状況をなんとかできないかと思いついたのが、マネークリップにコインホルダーをつけてしまえばいい、ということ。
じゃあ、どのくらいの硬貨を格納できるようにしようかと考えた。
あまり多く入れられるモノにしたら、それはもはやマネークリップではなく小銭入れになってしまう。最小限の枚数にしなければならない。
いろいろ考えた末、4枚の硬貨を格納することにした。
その理由は、モノの価格に「98」が多いことだ。
98とは、980円とか、1980円、1万9800円という価格のこと。
大台からやや安くすることでなんとなく割安に感じさせるためになされる値付け方法である。
こうしたモノを紙幣で買ったときのお釣りは、20円とか200円になるわけである。
で、10円玉ないし100円玉を4枚格納できるようにしようと決めたのだった。普通のマネークリップよりはやや大きく厚くなっている。

もちろん、最初から硬貨を入れておくのも自由だ。
コインを取り出しやすいように、マネークリップといってもクリップ式ではなく、マグネット式にした。
こんなふう↓にコインが格納される。

     


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