monologue
夜明けに向けて
 



「インペリアル・ドラゴン」は中国系の美人揃いの店で中国語は台湾語と広東語なら通じるということだったのでわたしが昔、NHKの中国語講座で習ったフレイズを言ってみたら全然通じなくてがっかりした。べつにNHKのせいではなくよほどわたしの発音がひどかったらしい。当たり前だけど言葉は実際に使ってみないとわからないものだ。

 ディスコパーティの夜、宮下文夫がクラブ「インペリアル・ドラゴン」に到着すると二階の会場に三人でかれのドラムセットを運び上げた。宮下文夫は右足のキックドラムでディスコのビートをキープし、天性のリズム感でドラムを叩き続ける。わたしはベースを弾きながらヴォーカルをとり、中島茂男はリードギターで華やかに舞い盛り上げる。ディスコ・パーティがみんな疲れてつつがなく終わるとわたしたちにも料理がふるまわれた。食べきれない分をドギー・バッグに入れてもらって帰ると妻がおいしいと喜んでいた。その日、宮下文夫は一晩ドラムを叩いても腰は大丈夫だった。バンドの評判が良かったらしく以来、「インペリアル・ドラゴン」でパーティがよく催されてそのたびにかれにセッションドラマーとして頼むことになったのである。
fumio



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