monologue
夜明けに向けて
 



そして、その者達のために…


*-*

 そして、その者達のために「時」は流れ…

**-*

龍神は目覚め水の変化を知り、麒麟は風の声に訪れを聞いた…

***-*

眠りにつく者の耳に聞こえる潮騒の音は、目覚めた水の声…

****-*

風は大きく、波は高く、そして麒麟の夢は深海のとどろきと共に…

*****-*

 火の瞬きは、青い湖の底に眠り続けることを拒み

******-*

 茜色の雲たなびく所、かの人々は迷わず杖を振り降ろすだろう

------------------------------------------

 0811 苦界(クガイ)に酔う者達への贐(ハナムケ)の言葉が語られる

 0823 雪の白さにも似た真っ白い空間が現れる

 0903 クマラは、その手を上げて「真のコトノハ」を伝えるだろう

 0914 多くを知り、多くを為さない事に依る揺さぶりがあるだろう

 0915 かすかに聞こえるカゲロウの羽音

 0921 有実にして有名の者は、力を現わすことが出来るか?

 0930 堅いものは堅いままに、柔らかいものは溶けるだろう

 1002 望まれない許しは得られない、如何に繕おうとも

----------------------------------------

*-**

 さて、人の裡より果てることの無い欲が解き放たれた
 人が人であるために、夢が夢であるために、命が命であるために
 深い海より現れる「文字にならない言葉」を読み取りなさい

**-**

 鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」
 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?

***-**

 あなたの舌を脅かすものは、あなたの周囲では無く、
 あなたの歯である
 あなたの舌と歯を争わせるのは、あなたの「思い」と「考え」の違いだ

****-**

 「やはり…」と男は言った。
 「やはり…」と男は答えた。
 そして、女は黙っていた。

*****-**

 あなたがた人間の総意で望むことが、この世には存在する
 あなたがたの生命の「表」では無く、「裏」に存在する
 それらは、あなたがたの「表」では望まれない未来を招きつつある
 それらを変えてゆくには、「表」だけ理解していては成らないだろう
 あなたがたの命の「裏」は、あなたがたの意識のコントロールを受けない

 時の砂は、振り続け…
 「そして、その者達」によって、同じ問いが繰り返される
 しかし、この度は繰り返してはならない、
 同じ過ちを…



                   ---ARION,O∴O---

93/08/04 03:31

「アリオン発言集」より



***************************

 「『あなたの舌を脅かすものは、あなたの周囲では無く、
 あなたの歯である
 あなたの舌と歯を争わせるのは、あなたの「思い」と「考え」の違いだ 』というのはことわざみたいですね。なかなか考えさせられます。」
「ほー、ことわざねえ、そうなのか…。これはことわざなのか…」
「ええ、まあ、そりゃ、自分の本当の敵はまわりではなく一番近くにいるというような…、味わい深い…、」

「これだけやってもまだ隠してあるモノが見えないかい」
「隠してあるってなにが…」

 「隠してあるモノさ。『舌』は『ノ古』『脅』は三カ月、ものは『モノ』、『歯』は八。
『争』はアラソでアラシを含む。「思い」は田心「考え」は神帰。まだ見えないかい」
「これは、…、こ、こ、れは…、てっきり…、アリオンの格言のようなのものと思ってたのに…。全部ニギハヤヒを暗示しているんだ。そしてけ、け、結局はそのニギハヤヒが田の回転して帰って来るという預言になっていたんだ…。アリオンの目くらましは凄すぎる。」
「わからなかったのは六さんだけじゃないさ。わからないようにもっともらしい格言の鍵がかけてあったのだから。これがアリオンのひねったジョークさ。ほらおまえさんの背中で天使 が笑いをこらえてるよ。♪暇人(ヒマジン)アイム ア ドリーマー」
fumio

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私的カウントダウンアルバム「水面に書いた物語 収録曲の今週のアクセス聴取ランキング
**********************
11月21日(金)~11月28日(金)
ヒット数: 1,438件中
    
順位( )内は前週の順位< >内は前々週の順位 

第1位(3)<5>あやかしのまち
第2位(2)<2>水面に書いた物語
第3位(1)<3>ごめんなさい
第4位(8)<7>軽々しく愛を口にしないで
第5位(5)<8>女優(スター)
第6位(2)<8>はるかなるメロディ
第7位(7)<6>ラスト・ランデヴー
第8位(4)<10>オーロラの町から
第9位(6)<1>ときめきFALL IN LOVE
第10位(9)<6>それってⅨじゃない
第11位(15)<9>Stay with me
第12位(10)<12>マイ・スィート・ライフ
第13位(13)<14>わかりあえる日まで
第14位(11)<11>素顔のマスカレード
第15位(18)<18>しあわせになれる
第16位(16)<13>Sentimentallady”M”
第17位(19)<19>まことのひかり
第18位(17)<15>恋すれば魔女
第19位(14)<17>NEVER GIVE UP!

*********************  
 

   今週も首位は入れ替わって「あやかしのまち」になった。毎週ぐるぐる首位が替わる展開に。来週はきっと違う 曲が首位に就いているのだろう。 ご愛聴感謝。

【業務連絡】 ご愛読いただきました「カリフォルニア・サンシャイン」は十年間に及ぶ米国生活の初めの二年ほどを序章として綴り了えました。それに伴い、かねてより要望の多かった預言解読シリーズ「隠居と六」を「隠居と六ふたたび」と題して再開いたしました。どうもお待ちどうさまでした。これからもよろしくおねがいします。
fumio


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 そして、その者達のために…


*-*

 そして、その者達のために「時」は流れ…

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龍神は目覚め水の変化を知り、麒麟は風の声に訪れを聞いた…

***-*

眠りにつく者の耳に聞こえる潮騒の音は、目覚めた水の声…

****-*

風は大きく、波は高く、そして麒麟の夢は深海のとどろきと共に…

*****-*

 火の瞬きは、青い湖の底に眠り続けることを拒み

******-*

 茜色の雲たなびく所、かの人々は迷わず杖を振り降ろすだろう

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 0811 苦界(クガイ)に酔う者達への贐(ハナムケ)の言葉が語られる

 0823 雪の白さにも似た真っ白い空間が現れる

 0903 クマラは、その手を上げて「真のコトノハ」を伝えるだろう

 0914 多くを知り、多くを為さない事に依る揺さぶりがあるだろう

 0915 かすかに聞こえるカゲロウの羽音

 0921 有実にして有名の者は、力を現わすことが出来るか?

 0930 堅いものは堅いままに、柔らかいものは溶けるだろう

 1002 望まれない許しは得られない、如何に繕おうとも

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*-**

 さて、人の裡より果てることの無い欲が解き放たれた
 人が人であるために、夢が夢であるために、命が命であるために
 深い海より現れる「文字にならない言葉」を読み取りなさい

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 鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」
 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?

***-**

 あなたの舌を脅かすものは、あなたの周囲では無く、
 あなたの歯である
 あなたの舌と歯を争わせるのは、あなたの「思い」と「考え」の違いだ

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 「やはり…」と男は言った。
 「やはり…」と男は答えた。
 そして、女は黙っていた。

*****-**

 あなたがた人間の総意で望むことが、この世には存在する
 あなたがたの生命の「表」では無く、「裏」に存在する
 それらは、あなたがたの「表」では望まれない未来を招きつつある
 それらを変えてゆくには、「表」だけ理解していては成らないだろう
 あなたがたの命の「裏」は、あなたがたの意識のコントロールを受けない

 時の砂は、振り続け…
 「そして、その者達」によって、同じ問いが繰り返される
 しかし、この度は繰り返してはならない、
 同じ過ちを…



                   ---ARION,O∴O---

93/08/04 03:31

「アリオン発言集」より


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「どうしたんだい。油汗たらして眼をむいて…、本当に怖いんだよ、黙って眼をむいてると。鏡みたことないのかい。その顔を…。気絶するよ。」

 「これまでの解読結果を何度も見直してるんです。茶化さねえでください。『鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?』わわわわ、わかった。鎖は『九去り』ということで九が去ったあと、そして『虐げられた』は『誣蛇下られた』で誣は相手を陥れる目的で、事実ではない事を言うこと。」『ここに印があります』のここには九にということで、この鎖は『可き人』ニギハヤヒを繋ごうとしたんだ。」
「そう…、でもニギハヤヒを繋ごうとしたがニギハヤヒを繋ごうとしただけで結局はニギハヤヒは陥れられて去ったが繋がれず今復活を果たすことになった。」
「一番いいところを言わないでくださいよ、もう少しだったんですから…」
「おやそうかい、まだ繋がれたままと言いそうだったから…。♪暇人(ヒマジン)オール ザ ピープル」
fumio

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 そして、その者達のために…


*-*

 そして、その者達のために「時」は流れ…

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龍神は目覚め水の変化を知り、麒麟は風の声に訪れを聞いた…

***-*

眠りにつく者の耳に聞こえる潮騒の音は、目覚めた水の声…

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風は大きく、波は高く、そして麒麟の夢は深海のとどろきと共に…

*****-*

 火の瞬きは、青い湖の底に眠り続けることを拒み

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 茜色の雲たなびく所、かの人々は迷わず杖を振り降ろすだろう

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 0811 苦界(クガイ)に酔う者達への贐(ハナムケ)の言葉が語られる

 0823 雪の白さにも似た真っ白い空間が現れる

 0903 クマラは、その手を上げて「真のコトノハ」を伝えるだろう

 0914 多くを知り、多くを為さない事に依る揺さぶりがあるだろう

 0915 かすかに聞こえるカゲロウの羽音

 0921 有実にして有名の者は、力を現わすことが出来るか?

 0930 堅いものは堅いままに、柔らかいものは溶けるだろう

 1002 望まれない許しは得られない、如何に繕おうとも

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*-**

 さて、人の裡より果てることの無い欲が解き放たれた
 人が人であるために、夢が夢であるために、命が命であるために
 深い海より現れる「文字にならない言葉」を読み取りなさい

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 鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」
 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?

***-**

 あなたの舌を脅かすものは、あなたの周囲では無く、
 あなたの歯である
 あなたの舌と歯を争わせるのは、あなたの「思い」と「考え」の違いだ

****-**

 「やはり…」と男は言った。
 「やはり…」と男は答えた。
 そして、女は黙っていた。

*****-**

 あなたがた人間の総意で望むことが、この世には存在する
 あなたがたの生命の「表」では無く、「裏」に存在する
 それらは、あなたがたの「表」では望まれない未来を招きつつある
 それらを変えてゆくには、「表」だけ理解していては成らないだろう
 あなたがたの命の「裏」は、あなたがたの意識のコントロールを受けない

 時の砂は、振り続け…
 「そして、その者達」によって、同じ問いが繰り返される
 しかし、この度は繰り返してはならない、
 同じ過ちを…



                   ---ARION,O∴O---

93/08/04 03:31

「アリオン発言集」より


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「おはようっす。ご隠居さん、早速ですがこの前この「そして、その者達のために…」という預言を頭から解いてきて 尻切れトンボになったってのは
隠居と六その12でした。アトラ・ハシスとかなんとかだれも知らないような人が前世だなんて言ってましたね。それでそのあとにつづく『鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?』ってまるでクイズみたいなおかしな文章なんですが、あれからずーっと考えてもどうにもわからない。こんなの解ける人いるのかなあ。」
「さぁ、いないだろうね。いるとしたらおまえさんくらいだ。それだけ情熱を持ち続けられるのだから。わたしはもう六さんほど炎を燃やせないよ。悪いけどこんなこと真剣につづけてられない。あとはまかせるよ。じゃあね」
「あっ、ねえ、ねえ、ねえ、ご隠居さん、折角来たんですからまだこれからじゃないですかどうか一緒に、真剣に、預言解読してくださいよ。」
「真剣にか、真剣に。ふーん、真剣に…」
「あれっ、どうしたんですか。パソコン画面に鼻を押しつけて …。」
「うん、真剣に預言、嗅いどく…」
「アホかっ、このオッサンは…。こんなオヤジに教えを乞わなきゃならない自分が情けない。わかりました、わかりましたよ。ひとりで解いてみます。いや、解いてみませますっ。」

「おっ、やっとその気になったか。がんばれ。フレー、フレー。六っ」

 「えーと、そのぉ、『鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?』っと」

 「うーむ、『鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?』…」

 「うーむ、『鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?』…と」

「どうしたんだい、油汗流して、早く答えをだしておくれよ。待ってるんだから。♪暇人(ヒマジン)オーール  ザ  ピープル」
fumio

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 そして、その者達のために…


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 そして、その者達のために「時」は流れ…

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龍神は目覚め水の変化を知り、麒麟は風の声に訪れを聞いた…

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眠りにつく者の耳に聞こえる潮騒の音は、目覚めた水の声…

****-*

風は大きく、波は高く、そして麒麟の夢は深海のとどろきと共に…

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 火の瞬きは、青い湖の底に眠り続けることを拒み

******-*

 茜色の雲たなびく所、かの人々は迷わず杖を振り降ろすだろう

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 0811 苦界(クガイ)に酔う者達への贐(ハナムケ)の言葉が語られる

 0823 雪の白さにも似た真っ白い空間が現れる

 0903 クマラは、その手を上げて「真のコトノハ」を伝えるだろう

 0914 多くを知り、多くを為さない事に依る揺さぶりがあるだろう

 0915 かすかに聞こえるカゲロウの羽音

 0921 有実にして有名の者は、力を現わすことが出来るか?

 0930 堅いものは堅いままに、柔らかいものは溶けるだろう

 1002 望まれない許しは得られない、如何に繕おうとも

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 さて、人の裡より果てることの無い欲が解き放たれた
 人が人であるために、夢が夢であるために、命が命であるために
 深い海より現れる「文字にならない言葉」を読み取りなさい

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 鎖の跡を見せて女は言った、「虐げられたのは、私です。ここに印があります」
 さて、鎖は何を繋ごうとしたのか?

***-**

 あなたの舌を脅かすものは、あなたの周囲では無く、
 あなたの歯である
 あなたの舌と歯を争わせるのは、あなたの「思い」と「考え」の違いだ

****-**

 「やはり…」と男は言った。
 「やはり…」と男は答えた。
 そして、女は黙っていた。

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 あなたがた人間の総意で望むことが、この世には存在する
 あなたがたの生命の「表」では無く、「裏」に存在する
 それらは、あなたがたの「表」では望まれない未来を招きつつある
 それらを変えてゆくには、「表」だけ理解していては成らないだろう
 あなたがたの命の「裏」は、あなたがたの意識のコントロールを受けない

 時の砂は、振り続け…
 「そして、その者達」によって、同じ問いが繰り返される
 しかし、この度は繰り返してはならない、
 同じ過ちを…



                   ---ARION,O∴O---

93/08/04 03:31

「アリオン発言集」より


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「ご隠居さん、おひさしぶりです。いまだに暇そうですね。ちょっとまた、暇つぶしを運んできました」
「おや、六さん、しばらく見ないうちにずいぶん、ずいぶんメタボになったね。おめでとう、正真正銘のメタボの認定証を発行してあげようか。だるまさんが歩いてきたのかと思ってちょっとびびったよ。その坂を転がって来りゃあ早いのに。」
「わかりましたわかりました。今度転がって来ますから…。玄関がこわれても知らないよ、この前上のようなメッセージを解いていて途中で尻切れトンボになってあれからずいぶん考えたんです。本当にご隠居のいうのが合ってるのかどうか、おいらなりに検証してみたんです。」

「貧乏暇なし、というがわたしゃナシがつかない貧乏暇、そのものだってことは憶えてるよね。暇だから貧乏ともいえる。。六さんは、これを自力で検証作業をしたのだね。それなら、わたしももう一度手伝ってみようか。そのかわりおまえさんももう一度じっくり考えるのだよ。明日もう一度おいでよ、わたしもそれまでにじっくり考えておくから…。」
fumio

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とりあえず仕事に車がいるのでわたしは急いでドイツの大衆車メーカー、オペル社のアストラ・クーペの中古車を購入した。結局その車をこまめに修理したり手入れして日本に帰国するまで使用することになった。わたしは夜は弾き語り、昼は学校という生活を続けた。そのころふたりで居住したマリポサ通りのアパートにはそれほど長くは住まなかったのだがそれでもいろいろなことがあった。隣の若い黒人が麻薬でおかしくなって窓から飛び降りようと自殺しかけて取り押さえられたり、煙がどこからか流れてきて火事騒ぎで避難したり、駐車場に駐車しておいたGTOのイグニションキーホールのシリンダー部分が工具で外されていたり、そのあたりでは人が見ていないとなるとなんとか車を盗もうとするらしかった。
 そうこうするうちに結婚式が近づく。ブーケ・トスのためのブーケを注文して当日取りに行く約束した。事故でぶつけて腫れた妻の目の上のたんこぶは日を追ってだんだん小さくなって血が下りてきて目のまわりを黒くしてきた。濃いシャドウのようになった。
 当日は金曜ということで先生も生徒もほとんど出席できない。家族も親戚もいない、ただ数人の友達だけの前で執り行うシンプルな結婚式だった。意味がわからない神父さんの言葉をオウム返しに唱える。神父さんは苦笑いしながら祝福する。それでも神の前で永久を誓い正式に結ばれたのだ。なにもないただふたりの出発だった。
 あの日、わたしたちに降り注いだカリフォルニア・サンシャイン は今もふたりの心に輝き続けている。序章、了。
fumio


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そのころ、GTOのラジエターから水が漏れてオーバーヒートすることが多くなってしばらく走るとすぐ停まるようになったのでフォード社のピントーという中古コンパクトカーを手に入れた。
 1978年1月の小雨降る日、授業が終わってオリンピック通りを東に走ってウェスターン通りとの交差点の信号が黄色になって左にターンしているとき、信号が変わる前に渡ろうとスピードをあげて突っ込んできた車と衝突した。フォード・ピントーは数回回転して止まった。わたしたちは少しの間気絶していた。やはり左折が問題だったようだ。
 バス停で待っていた人々が一斉に集まってきて介抱してくれる。それはほとんどがアフリカ系アメリカ人(黒人)だった。身動きできずボーとしたまま、ただ親切な人たちだと感謝した。救急車がやってきて運び込まれたUSCジェネラルホスピタルで診察を受ける。わたしたちは額をフロントガラスにぶつけ,
わたしは額に入った割れたガラスの破片をとってもらい、妊娠4ヶ月目だった妻は目の上が膨れたが、他に異常がなく安心した。
 翌日、ジャンク・ヤードに車を見に行くと完全にクラッシュして使いものにならないことがわかった。トランクの中にあったギターその他の仕事道具を調べるとだれかがすでに持っていってしまっていた。日本語の譜面まで盗らなくても、と思った。妻は身につけていた財布をとられていた。車の中を何度探しても見つからなかった。だれかが介抱しているふりをしてとったらしい。そのころのわたしたちは気絶している間も気を抜けない、ということをまだ知らなかった。
fumio





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 わたしの妻となることになったこの女性は日本で教習所に通って自動車運転免許証を取得していた。運転免許はこの国では身分証明書として頻繁に必要になるから、わたしごときが人に教えるのはおこがましいけれど米国の運転免許取得のためにと、日本とのルールの違いの認識や安全確認の重要性を力説してしばらく稽古につき合った。すると78点で合格した。運転もうまいといわれたという。良かったことは良かったけれどなんだか気が抜けた。当たり前だけどわたしの場合ほど心配することはなかったらしい。
 わたしたちは結婚式場を探した。どこがいいかさっぱりわからなかった。日本人の牧師さんがやっている教会に頼んでみようかと相談してセントメアリーという教会を訪ねた。しかし信徒さんでなければだめです、と期待は虚しくあっさり断られた。それでイエローページを調べて日本の芸能人がよく結婚しにやってくるという ガラスの教会を見つけた。そこは寄付金(ドーネーション)を納めれば良いということだった。電話すると土日の寄付金が一番高くて金曜日が割安だったので1978年2月17日(金)に決めた。結婚記念日はそんな経済的理由で決まった。
 そのランチョー・パロス・ヴァーデス地区にある太平洋に面した丘の上のスエーデンボルグ系の教会、Wayfarer’s(徒歩旅行者)Chapelは帝国ホテルの建築家、フランク・ロイド・ライト(1869-1959) がなんと日光東照宮大猷院(たいゆういん)を模して設計したものだった。
fumio

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: 私的カウントダウンアルバム「水面に書いた物語 収録曲の今週のアクセス聴取ランキング
**********************
11月14日(金)~11月21日(金)
ヒット数: 1,498件中
    
順位( )内は前週の順位< >内は前々週の順位 

第1位(3)<2>ごめんなさい
第2位(2)<1>水面に書いた物語
第3位(5)<3>あやかしのまち
第4位(10)<7>オーロラの町から
第5位(8)<4>女優(スター)
第6位(1)<4>ときめきFALL IN LOVE
第7位(6)<12>ラスト・ランデヴー
第8位(7)<5>軽々しく愛を口にしないで
第9位(6)<11>それってⅨじゃない
第10位(12)<14>マイ・スィート・ライフ
第11位(11)<11>素顔のマスカレード
第12位(8)<6>はるかなるメロディ
第13位(14)<9>わかりあえる日まで
第14位(17)<17>NEVER GIVE UP!
第15位(9)<13>Stay with me
第16位(13)<16>Sentimentallady”M”
第17位(15)<9>恋すれば魔女
第18位(18)<18>しあわせになれる
第19位(19)<15>まことのひかり


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   今週は「ごめんなさい」が突然、首位。なにがあったのだろう。二週続けてだれかが驚かせてやろう、と画策したのかも…。 ご愛聴感謝。
fumio


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 「今度入った日本娘きれいだぞ、フミオ、」イスラエル軍のパイロットだった生徒がある日、ニヤニヤする。その娘はわたしの後ろの席に座った。それが一生の伴侶との邂逅の瞬間だった。今もそのとき覗いた瞳の輝きを鮮やかに覚えている。いろいろ学校のことや英語のことを尋ねてくる。わたしは隣に移動する。妹夫婦の結婚式に喚ばれて式に出席したのだがせっかくアメリカに来たのだからしばらく滞在して英語を覚えたいから入学したという。授業が終わるとサンタモニカのアパートへ車で送った。サンタモニカ方面の道はヘビー・トラフィックで慣れていないので運転初心者のわたしにはとてもこわかった。
 それから現在までかの女は毎日、わたしとともに過ごすことになった。 昼休みには車で食べに出た。一番頻繁に通ったのは学校に近かった<ラ・ブレア・タールピッツ にある美術館博物館群のひとつLAカウンテイ・ミュージアム のカフェテラスだった。その頃まだアメリカには余裕があってそれらの施設の入場料はタダだった。画学生たちが名作の前で何時間も模倣している。世界最高級の美術品をじっくりゆっくり堪能できた。そのカフェテラスのサラダは一人前をふたりで食べても食べきれないほどの量があった。やがて当然のようにマリポサ通りのアパートを借りてふたりで暮らし始めた。
 そのうち、ふたりが結婚することは学校中の衆知の事実のようになった。ある日、クラスにふたりで帰ってくると突然先生も生徒もみんなでサプライズ!コングラチュレーションズと叫ぶ。サプライズパーティが始まったのだ。贈り物やカンパの金を渡され、なにか歌えと所望される。それで「♪恋が計算通りにできるなら、こんな女(男)に惚れたりしなかった。あれこれ迷ってそろばん 弾き、それでもやっぱりこいつに決めた~」と日本語だったけれどふたりで自作の歌を披露した。。今にして思えばあのイスラエル軍パイロット出身の男はキューピッドだった。名前はもう忘れてしまったが今頃どこでどうしていることだろう。わたしたちの名前も忘れてしまっただろうか。そう、縁結びの神は海外出張して多くの糸の中からふたりを選り分けて結んでくれたのだ…。
fumio

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 経済的にいよいよ逼迫して早くなんとかしなくてはならない。そんなとき、10thアベニューの学生寮のようになった家に転がり込んできた女子学生が夜、日本人街(リトル・トーキョー)の日本食レストランでアルバイトを始めてその店のピアノバーでエンターティナーを探しているという。早速、GTOにギター、譜面その他を積んでその店に向かった。店を探して夜のリトル・トーキョーをグルグル廻っていると不審車両と思われたらしくLAPD(ロサンジェルス警察)のオートバイに停められた。わけを言うとその店の場所を教えてくれた。店のオーナーは女性ピアニストを探していたのだがギターの弾き語りをしてみせると仕方ないと思われたのか採用された。夜9時から朝2時まで演奏すること。それが米国での初めての仕事だった。女性ピアニストが好みのオーナーの意向には反していたがバーテンダーやスシ職人など従業員には評判が良かった。
fumio

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そろそろ、車を購入しようと思った。この街ロサンジェルスは世界で一番広いことで有名なので仕事をするには車が必要だった。日本語新聞「羅府新報」の売買欄で「中古車売りたし」を見て車に詳しい友達と何カ所か廻った。見かけは良くとも走るうちにハンドルがちょっとずれたりするものは事故車のようでやめて最終的にポンティアックGTOを450ドルで買った。なぜならロニーとディトナスのGTO という曲が好きだったから。それは以前サーフィンミュージックとともに流行したホット・ロッド音楽で、米国のバイク界を席巻した リトル・ホンダと並ぶ名曲だった。残念ながらリトル・ホンダのほうは社名が入っているのでNHKではあまり流れない。わたしには車の善し悪しは判断できないのでそんなことで決めたのだ。とにかくこれで車が手に入った。スピードは出さずよたよた、あるいはヨロヨロという感じで毎日稽古し慣れるとやっと学校まで走った。
fumio

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 日本人は大学に入るための英語力アップが目的の人が多く正しい英語を話そうとする。議論も考えてから喋るので口が重かった。他の民族は文法的に合っていようが合っていまいがお構いなしにとにかく喋りまくるので上達が早かった。イラン人たちはみんな大声で意見を述べ合うのだがその中にも思慮深げな人物はいて、みんなが騒いだあと静かに締めのようなことをいう。そして他民族の代表のようにわたしにも意見を訊く。わたしは部外者としての意見を述べた。かれらはチェスが好きで昼休みも休み時間も集まって楽しんでいた。チャンピオンらしいヒゲの男が脇を通ろうとするわたしを見とがめてチェスをしようと誘う。他民族代表としてわたしをチェスという知的競技に誘っているようだった。わたしは日本将棋は好きだったがチェスはあまりやったことがなくどうせ歯が立たないから断った。勝負するのなら勝てないにしてもいい勝負ぐらいにはしたかったから。
 そしてある日「ボビー・フィッシャーのチェス必勝法」という本を図書館で借りて帰った。何日か真剣に勉強してチェックメイト(詰み)のテクニックや基本定跡を覚えて、昼休みに集まって騒いでいるチェス好きのそばに素知らぬ顔で近づいた。やはり一通り対戦相手に勝ったクラスのチャンピオンが手持ち無沙汰になってわたし誘うので仕方なさそうに受けて立った。油断していたらしく局面は覚えた定跡通り進み、チャンピオンは不思議そうに自分のキングを倒した。かれはボビー・フィッシャーに負けたようなものだった。申し訳ないような気がした。いくら強くても自信過剰で定跡にはまるといけない。
 やがてアダルトスクールの主要メンバーであったイランからの留学生達はいつのまにか姿を消し気が付くと本国イランでは親米強硬路線パーレビ政権が倒された。イランイスラム革命と呼ばれる革命が勃発したのだ。あの留学生達も新政権樹立に働いたのだろう。残念なのは革命後振り子の反動のようにあまりにもナショナリズムが強くなりすぎたことだった。あの思慮深げな人物のような指導者が中枢になってコントロールすることができなかったのかもしれない。
fumio



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 クラスの構成はイラン50パーセント、ラテン系30パーセント、日本10パーセント、その他10パーセントといったところだった。雑多な人種が混じり合いそれぞれの目的のために英語を学んでいた。一大勢力のイラン人が常にワイワイ発言し日本人はおとなしかった。ラテン系は冗談好きでわたしに「ジョソイ・ロコ」と言えという。わたしがそういうと大喜びした。それは「ぼくは頭がおかしい」という意味だった。当たってはいるけれど言え、といっておいて言ったからといって、バカにして囃すのは子供みたいだった。それぞれに民族性が違うことを知ることができて良かった。あるとき隣の席のアルゼンチン娘が「男のものは日本語でどう言うの」と訊く。わたしはそんなことを訊かれると思っていなかったので虚を衝かれて外国人にどう教えたらいいのか、あなたもきっと迷うように少し迷ってノートにchin chinと書いた。すると、そうチンチン、わたしの国では女のほうはこういうのとラテン語らしいスペルをノートに書く。わたしは確かめるためにその言葉を発音してみた。すると突然態度が変わり「声にだして読まないで」と眉をしかめて怒りだした。自分が先に訊いておいて勝手に怒るな、と思ったがまわりのラテン系の人には意味がわかるから戒めたのだろう。おかげで一瞬見たその言葉は覚えることができなかった。残念なようなそうでもないような気がした。かの女はのちに米国永住権を得るために日系人ではなく中国系アメリカ人と結婚したからあの日本語はかの女の語彙に入らず忘れ去られてしまったことだろう。残念なようなそうでもないような、どうでもいいような…。
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 翌日には路上の血液はもうきれいに洗い浄められて事件を思わせるものはなくなっていた。噂では昨夜の事件は麻薬がらみのトラブルの後始末のようだった。その地域は西南区クレンショー地区10thアベニューなのでなんでも音楽に関連づけるわたしの脳裏にベンチヤーズの「十番街の殺人」 (Slaughter On Tenth Avenue)が繰り返し鳴り響いた。しかし、幸いその後の米国生活で人が殺されるのを目にすることはなくこの国は危険という感覚はうすれていった。
 それよりもそのときのわたしの課題は如何に所持金を長持ちさせるかということだった。住むところはみんなで家賃食費を出し合う形で最低限で済むようになった。しかし、とにかく今の学校は私立校なので学費が問題だった。早晩貯金が尽きてしまう。そこで政府が援助して授業料がタダの学校があると聞いて転校することにした。それはアダルト・スクールで大人を対象にしてENGLISH AS A SECOND LANGUAGE (ESL) PROGRAM、すなわち英語を第二国語とする人を育成することが目的のプログラムを実行していた。それまで面識もなく住ませてもらう挨拶もしていなかった10thアベニューの家の日系人大家さんに訳を説明して保証人のサインを無理矢理のようにもらってそのアダルト・スクールを訪ねた。そこは学校とはいうもののそれらしくなく家具屋の二階だった。授業料はまったくのタダではなく半年に50セントだという。一応払っているという形をとっているのだ。それならわたしにぴったりだった。クラスメイトは前の学校とは大違いでイラン人が多かった。米国政府の対外政策は毎年変わりその年はイラン人留学生を大量に受け入れていたのだ。パーレビ政権下で苦しむイラン民衆をそんなふうに応援していたのだ。かれらは自国で王を批判すると危ないがここでは毎日政治の話題に熱中していた。授業中も休み時間も男子女子を問わずとにかくうるさかった。
fumio

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