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monologue
夜明けに向けて
 



「六さん、この系図のトヨもまたイチであればヒミコより始まったイノチをつないでゆく名前イチを、継ぐものがこれから現れる時、新たな時代が開くのだろうね。」
「もうお忘れでしょうがおいらはヒミコの本名を知りたかったわけでその目的は遂げたのでもうおいとまします。脚本を書きに帰りますのでそれでは…。劇団員のチケット割り当てはひとり20枚なんですがお礼をこめていくらかお送りしますよ。カンパが劇団のイノチをつないでゆくって知ってますよねえ、ご隠居さん」
「えっ、それでは脚本が完成するというのか。そ、そんな…、芝居ができあがってもチケットは送らないでおくれよ。お願いだから…。わたしのことは忘れてくれ。」了
fumio

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『籠神社海部家系図』
建稲種命  亦名須佐之男命
一云大御氣主命
 一云大己貴命
亦云天御蔭命  一云大足彦命

十一世孫 大直命 大御氣持命

小登與命

亦云小止與命  亦名豊秋津姫
亦云宮簀姫命
亦云建稲魂命

妹一云玉依姫命

日女命 亦名日神荒魂命
     亦名稚日女命
亦名小豊姫命  亦名御氣津姫命

亦名豊受姫命  一云活玉依姫

一云倭国香姫
一云倭姫命  一云向津姫

一云大海姫命
一云倉持魂命


***************

「残念ながら六さん、おまえさんは深入りすることになっていたのさ。だからこうして頭をひねっているのだよ。トヨは表面上はイチという名を受け継いではいないようだった。しかしモノローグで本名はイザナミのナミを継いでいると看破しているよね、数霊学ではナミは7+3=10で1+0=1で次の段階の新たなイチとなるのさ。それで台与は「臺與」(とよ・だい(ゐ)よ・たい(ゐ)よ=台与)と「壹與」(い(ゐ)よ=壱与)と二通り記されるのさ。」
「イチだらけで不思議だけどやっぱり日本の女王はイチの数を持っていなければいけなかったのか。イチってなんなんだろう。ご隠居さん、わかりますか」
「わたしもあやふやだけどイチとはイノチなのさ。台与がこの数をもっていなければあの争乱の邪馬台国は治まることがなかっただろうさ」
「ということはこれから時代が変わって女王が出てくることになればやはり名前にイチを継いだ女性ということになるのでしょうか。」
「そのことを報せたくてだれかがわたしたしたちにこのあたりのことを採りあげさせているのかもしれないよ。」
「そのだれかってだれですか。」
「さあね、わたしたちのイノチの大元かもしれないよ…」
fumio





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『籠神社海部家系図』
建稲種命  亦名須佐之男命
一云大御氣主命
 一云大己貴命
亦云天御蔭命  一云大足彦命

十一世孫 大直命 大御氣持命

小登與命

亦云小止與命  亦名豊秋津姫
亦云宮簀姫命
亦云建稲魂命

妹一云玉依姫命

日女命 亦名日神荒魂命
     亦名稚日女命
亦名小豊姫命  亦名御氣津姫命

亦名豊受姫命  一云活玉依姫

一云倭国香姫
一云倭姫命  一云向津姫

一云大海姫命
一云倉持魂命


***************

「そしてこれは籠(この)神社に伝わる国宝の海部家系図さ。六さん、
ここでは須佐之男命は建稲種命、ヒミコは日女命 亦名日神荒魂命、そして
トヨは小登與命亦名豊秋津姫と呼ばれている。でもね、こうしてトヨの名が記録に出るのは珍しいことなのさ。神社の系図だから見つからず削除没収をまぬかれたらしい。」
「へー、そうなんですか、トヨの記録は隠蔽されたんですか。ヒミコの日女命はそれらしいけれど小登與命がトヨなら亦云建稲魂命というのはおかしいですね。稲魂命はスサノオじゃないんですか。ご隠居さん、国宝かどうかしらないけれどよくわからないです…。困っちゃいました。だから初めからおいらヒミコの本名だけがわかればでいいんですよ。トヨなんて深入りしたくないよーッ」
fumio





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「ふーん、そうなんですか。神武天皇の娘さんだったのか。」
「しかしね、そうじゃないみたいなんだよ。トヨの記録は魏志倭人伝のような中国側の資料以外、記紀などの日本の正式な史書には載ってないんだ。故意に省かれて封印されてしまったらしい。それでだれなのかさっぱりわからなくなったのさ。でもね、モノローグでは緋色の女 シリーズでトヨをサルタヒコとイキシマの子供と突き止めている。はたしてどうなんだろうね。この邪馬台国の系図をみてごらん。面白いから」
「あれっ、この系図、よく見るとヒミコがイチだったら女性はイチばかりなんですね。どうなっているんだろう…。」
fumio


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 魏志倭人伝原文
「女王卑彌呼以死、大作冢、徑百餘歩、殉葬者百餘人。更立男王、國中不服、更相誅殺、當時殺千餘人。於是復立卑彌呼宗女臺與、年十三爲王、國中遂定。」

*****************

「しかし、その一(いち)という名をを継いだ市杵嶋比賣(イチキシマヒメ)は偉大なる女王ヒミコが亡くなったあと継承者ではあったけれど王位を継ぐことはなかった。そのあたりのことが上の魏志倭人伝に語られている。意訳すれば
『女王ヒミコが死んで径百歩余りの大きい墓を作った。召使い百人以上が殉死した。ふたたび男性の王を立てようとしたが国中が服さず、また殺し合いになって千人以上を殺した。それでヒミコの跡継ぎの女性、十三歳のトヨを王に立てると遂におさまった。』ということらしい。」
「でもおいらはヒミコの本名がわかればいいだけであとはどうでもいいんですが…。しかしそれにしてもなんということでしょうね。ヒミコの前もそうだったけれど…。ヒミコが死んでからも義弟達もまわりもみんなが権力闘争に明け暮れたのでしょうか。今も昔もあまり変わらないすね。このトヨという女性はだれなんですか。」
「いい脚本を書くにはその時代の事件、人物像を把握しておかなければいけない。おまえさんの芝居は描くべきものが描けていないからあまりにも底が浅くて失敗するのさ。トヨについては原田常治氏は『古代日本正史』において、大和に養子に行って初代天皇になった磐余彦(神武天皇)が日向時代、吾平津(あびらつ)姫との間にもうけた娘ではないか、という説を立てている。磐余彦(いわれひこ)は妻、吾平津姫と三歳の娘を日向に置いて大和に出発したのでヒミコの没した頃、十三歳に成長していて宗女として相続したというのさ。」
fumio


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「この市杵島比売命の本名は別名の 狭依(さより)だったんですか。ご隠居さん」
「依りというのは継承者を示す印なんだ。オオクニヌシの本妻はスセリヒメとして知られているが本名が日狭女(ヒサメ)で継承者としての名前が依(ヨリ)を持った須世理(スヨリ)媛だった。ヒミコの継承者はね、本名市杵嶋比賣(イチキシマヒメ)で継承者名が狭依(サヨリ)だったんだね。須世理(スヨリ)は神霊、須佐之男(スサノヲ)の須が依り、サヨリはスサノヲのサが依り憑くという意味なのさ。」

「ということはヒミコの本名は市杵嶋のほうに継がれているんですね。」
「ところで、宗像三女神を祭っていると思われている厳島神社の祭神は延喜式神名帳では一座で、本来は一座だった。祭神は伊都伎島神なんだが厳気だろうね。ほらヒミコのあのオクリナ(撞賢木厳之御魂天疎向津媛命)には厳御魂が入っていたね。なんだかつながってきたような気がするだろう。六さん」
「やっと、おいらにもはっきり見えてきました。姉ふたりは十字と卍を重ねた名前をもらい継承者はヒミコの一の気を継いだんだ。これがヒミコの本名だった。」
「ヒミコはヒフミの一の巫女であり神子、御子だったのさ。発音は市杵(一気)でわかるように『いち』だったんだろうさ」

「ご隠居さん、それは謎解きの一番いいところでおいらのセリフのはずなんですから先に言わないでくださいよ。せっかくここまできたのに…」
fumio

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「楽しそうですね。おいらもこの椅子取りゲームに参加したいな。泳ぎは得意だから沖津島でもいいですよ。」
「わたしはそんなことを訊いているのじゃないだろう。なるほどそのメタボ腹は浮き輪がわりになるのか。プカプカ浮いてハワイまででも流れていってくれ。みんな本物の沖津島だと思うことだろう。この椅子取りゲームというか島取りゲームの主人公達は上の表の表記で多紀理(田心)姫(たきりひめ) 別名 三穂津姫、 多岐津比売命(たきつひめ)市杵島姫命(いちきしまひめ) 別名 狭依姫(さよりひめ)の順の姉妹で末子相続継承者は市杵島比売命(いちきしまひめ) だった。」
「多紀理(田心)姫(たきりひめ)さんはオオクニヌシと結婚してますよね。出雲に本妻の須世理(スセリ、スヨリ)姫がいるのによくやるもんだ。」
「この三姉妹はずいぶんきれいだったらしい。姉ふたりの名前は似てるね。
回転する十字『田』の気が共通しているけれど末っ子の名前が似ていないのはもちろん継承者だからだろうさ。だれの名前を継いだかはわかるね」
「はあ、それはもう…」
fumio

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「おーい。ヤッホー、ご隠居さん。やい、ひねくれオヤジ。自分こそ同じパターンじゃありませんか。いいところですぐに逃げようとするんだから。最後までつき合ってくださいよ。」
「おまえさんたちにはヒミコは無理。あのゴミオぐらいが似合ってるのさ。」
「ゴミオじゃありませんよ。ロミオとちゃんといってください。あの作品はおいらの解釈が良くなくて失敗しただけなんですから。シェークスピアに失礼です。」
「シェーッ、クスッピア、ごめんちゃい」
「いい年してなんなんですか、片足立ちのそのポーズ。イヤミのギャグですか、古すぎてもうだれも憶えてませんよ…。」
「赤塚不二夫は死んでもかれの遺したギャグは不滅だ。」
「ご隠居さん、こっち向いてくださいよ。後頭部が禿げてて髪の毛がつかめないから困る。チャンスの女神の真似ですか。この日霊女の系図ってヒルメ、ヒミコ、あるいはヒルコとも読めますよね、となるとヒミコはイザナギイザナミの初めての足腰の立たなかった子供、ヒルコだったかも知れないんだ…。蛭子だったらエビスだからエビちゃんだったかも…。面白いですね。この系図、拡大して見てて気づいたんですがスサノオとヒミコの間に生まれてるのは宗像三女神ですよね。こっちのほうの名前はどうなんですか。検証しなくっていいんですか」
「うるさいな、ひとりでつべこべと、宗像三女神か。そうかそっちに目がいってしまったのか。核心に近づいたようだね、文句をつけて逃げようとしたけれど捨ててはおけないようだ、しかたがない。手伝うか。ややこしいのだが宗像三女神とは古事記では、
沖ノ島の沖津宮 - 多紀理毘売命(たきりびめ) 別名 奥津島比売命(おきつしまひめ)、大島の中津宮 - 市寸島比売命(いちきしまひめ) 別名 狭依毘売(さよりびめ)、田島の辺津宮(へつみや) - 多岐都比売命(たぎつひめ)となっている。
 そして日本書紀の本文では
沖津宮 - 田心姫(たごりひめ)
中津宮 - 湍津姫(たぎつひめ)
辺津宮 - 市杵嶋姫(いちきしまひめ)
第一の一書では
沖津宮 - 瀛津嶋姫(おきつしまひめ)
中津宮 - 湍津姫(たぎつひめ)
辺津宮 - 田心姫(たごりひめ)
第二の一書では
沖津宮 - 市杵嶋姫(いちきしまひめ)
中津宮 - 田心姫(たごりひめ)
辺津宮 - 湍津姫(たぎつひめ)
第三の一書では
沖津宮 - 瀛津嶋姫(おきつしまひめ) 別名 市杵嶋姫(いちきしまひめ)
中津宮 - 湍津姫(たぎつひめ)
辺津宮 - 田霧姫(たぎりひめ)となっている。」

 「そして宗像大社の社伝では種々の変遷の結果、
沖津宮 - 田心姫神(たごりひめ)
中津宮 - 湍津姫神(たぎつひめ)
辺津宮 - 市杵島姫神(いちきしまひめ) とされているのさ。
これまでだれも不思議に思わなかったらしいけれどお姫さまたちは椅子取りゲームをしているのだろうか。
どうだい、六さん、ここからなにか読み取れるかい、見えるかい…。」
fumio


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「こんなだれも知らなかった名前を調べ上げるなんて大変なことなんですね。ご隠居さん、どういう具合に見つけたらいいのでしょうか、前例がないので方法を踏襲できないから困ります。」
「前例か、それならモノローグにオオクニヌシ の名前を調査した例があった。だれもオオクニヌシの本名なんか知らないけれど己等『コト』と特定しているよ。その方法は子供たちの名前から迫っていくやり方だった。オオクニヌシの継承者の事代主という名前を偉大な親の名(事)を継いだものとみたのだね。」
「そういえば西洋でもヘンリー何世とかマーチン・ルーサー・キング・ジュニアとか親の名前を継ぐことは多いようですね。ヒミコも女王だったのだから子供に名前が継がれたかも知れませんね」
「ヒミコには天忍穂耳、天穂日、天津日子根、活津日子根、熊野楠日という五人の男の子がいた。継承者である末子相続人の熊野楠日と玉依姫のもうけた末子が磐余彦(イワレヒコ)で相続人だったのでかれはのちに神武天皇となったのさ」
「天穂日、天津日子根、活津日子根、熊野楠日の中にヒミコの名前を継いでいる人がいるかも知れないですね。」
「末子相続人の熊野楠日という名前はヒミコからではなくスサノオの熊野からとったらしい。残念ながらここにもまだヒミコの本名は見当たらない。」
「ヒミコの本名の謎は深まるばかり、いっこうに解けそうもありませんね。なんだかしなくてもいい苦労をしてるみたい…」
「おやそうかい、六さん、もう音を上げてるのか。何千年も隠されてきた本名がそんなに早くわかるはずがないじゃないか。おまえさんはヒミコの本名がわからないと脚本が書けないなんていう。ということは芝居は完成しないのだね、それは好都合。見に行く被害者も出ないということだ。もうあきらめようか。あきらめよう。やっぱりわからなかったということで…。劇団のみんなに解散宣言したらいい。心からおめでとうを言いたい。じゃあね」
fumio

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 『三国志、魏志倭人伝、東夷の条』原文、
「其國本亦以男子爲王、漢霊帝光和中 住七八十年、倭國亂、相攻伐歴年。乃共立一女子爲王、名曰卑彌呼、事鬼道、能惑衆、自謂、年已長大、無夫壻、有男弟佐治國。自爲王以來、少有見者、以婢千人自侍、唯有男子一人給飮食、傳辭出入。」 

***************************
  
 「このあいだみたいにそんな言い方でわたしをあおって乗せようというのか。いつもながら稚拙なやり方だね。いい脚本が書けないわけさ。わたしに無理かどうか自分でもわからないけれどヒミコの本名には興味があるので一緒に推理してみようか…。六さん、上の文章はヒミコの記事が掲載された魏志倭人伝の原文で意訳すれば、
『その国はもともとは男性が王であった。漢の霊帝の光和年間(一七八~一八三)、今をさること七八十年前に倭の国は戦乱状態におちいって何年もの間互いに攻めあった。それでは治まらないので一緒に女性の王を立てることにした。その名をヒミコという。かの女は鬼道(シャーマン)を事(つか)って人々を惑わせた。すでに老齢に達しながら夫はなく弟がいて国政をたすけた。王になって以来、その姿を見る者は少なく千人の召使いに仕えられ、たったひとりの男性だけが食事の世話に出入りしてそのことばを伝えた。』ということになる。ヒミコは当て字によって卑彌呼と記されているが、本来は日霎(霊女ルメ)でその霊女(巫女)としての能力によって政治を行ったのだったね。」
「霎(ルメ)ってむづかしい字ですね。霎(ルメ)さんだったのかも知れない。ルミという名前は多いし考えられますね。ご隠居さん」

 「まあ、そうあせらずに進もう。急いてはことをし損じる。かの女はのちにアマテラスとして祭られたのだったね。その諡(おくりな)から横顔をみようか。
兵庫県西宮市大社町7-7の旧官幣大社 、攝津國武庫郡、廣田神社にはかの女を天照大御神荒魂(撞賢木厳之御魂天疎向津媛命)という諡で祀ってある。この諡に『天照大御神』とされる前の本当の姿が語られているはずさ。」
 「撞賢木厳御魂天疎向津毘売尊(つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみこと)とある。撞(つき)というのは霊がツクことを表すから巫女にふさわしいね。賢木(榊)はヒミコ以来神事に用いられるようになったといわれる木。厳御魂は普通は男性の魂のことだが大本教の開祖出口ナオも厳御魂であったように女性でありながら男性的な魂の持ち主であったらしいことがわかる。」
「ふむふむ、脚本を書く時のキャラクター作りの参考になりますね。撞賢木厳之御魂天疎向津媛命の中に本名は含まれているのでしょうかね。ツキちゃん、サカちゃん、ムカちゃんなんかどうでしょうか。」
「天疎はスサノオの諡の神祖に対応して天祖としたいところだったようだがそれでは虚飾が過ぎるので無難に疎にして、盛(さかる)の意味を込めようとしたらしい。向津毘売は日向のヒメを表している。この諡全体でいえることはやはり彼女がシャーマンであったことだろうさ。彼女自身が神なのではなく、日の神の光を反射して光る存在であったから撞、すなわち月だった。月ではあってもツキヨミのように神そのものではなくすでに神あがりした偉大な霊の憑代(よりしろ)となって神託を下ろす女性だったんだろう。そのヒミコは二四七年に九十三歳ほどで亡くなった。うーむ、わたしにはまだ本名らしきものは見当たらないね」
fumio

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「ふーん、ヒミコねえ。ヒミコには馴染みがあるのかい。」
「まあシェークスピアよりはね。ヒミコにも会ったことはねえんですがよく知っているような気がしまして。なにしろ古代とはいえ日本の女王ですから…。ところが脚本を書き始めたんですが、実は名前もわからないことに気づいたんです。ヒミコってのは日の巫女といういわば役職名でしたね。家族やまわりの人はなんと呼んでいたんでしょうね。本名は何だったんでしょうか。それがわからないと会話が書けないんですよ。」
「そうか、たしかに卑弥呼というのは邪馬台国の民衆が女王を呼んでいた発音を中国で当て字しただけだし本名じゃないだろうね。六さんはヒミコの本名を知らないことに気がついたのか。それはすごい。ほとんどの日本人はヒミコに本名があったということすら思いつかないだろうね。」
「みんなヒミコが本名だと思っているんでしょうね。別にそれでも自分の生活に不都合はないし…。ご隠居さん、どうかヒミコの本名を教えてくださいよ…。でもいくらご隠居でも無理でしょうね、これは…」
fumio

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「おや、なんだね、六さん。また来たのかい。まだあれからひと月も経たないじゃないか。あの道楽劇団はもうつぶれたかい。」

「あれから、『アオウエイ』順で声出し稽古を始めたらなんだかみんな力がみなぎるというかやる気が出て活性化してきて希望が出てきました。ご隠居さんのおかげです。」
「なんだ、まだつぶれてなかったのか。それは残念、無念。それではわたしが劇団存続の戦犯ということになるじゃないか。これからおまえさんたちの舞台を見ることになる不幸な観客たちに恨まれる。ひっそりとだれにも知られないうちに消滅してほしかった。」
「好きなように言ってください。今度の舞台は今までと違うんですから。馴染みのない西洋の演劇の真似はやめて日本人のアイデンティに基づいた『ヒミコ』を採り上げようということになったんです。」
fumio

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「なんかそっくりのような、どっちがどっちかわからないや…」
「王仁さんは五大父音と呼んでいるが、普通わたしたちは母音と呼ぶ。この父音(母音)をニギハヤヒは陰陽に分けて文字を創ったのさ。チョンが太陽を示して『あ』は中心の縦線の右にあって太陽が東 から登っている図だから陽父音、『お』は太陽が地平線上にあるから陽父音、『う』は太陽が下にあるから陰父音『え』は太陽が西にあるので陰父音、『い』は太陽がないので陰父音とした。つまり言葉はすべてこの陰陽の組み合わせということになる。「あおうえい」とは陽父音である『あ』と『お』を初めに配して中心におわす『す』の神の父音『う』をまん中にして陰父音『え』『い』と順に進む正しい発音法なのさ。」
「なるほど、それで陰陽和合なんですか。でもおかしいですね日本の古代文字がハングルを真似て偽作したものになっているなんて…。時代が先なのに。」
「辞書に書かれたことは真実と思う人が多いから困ったものさ。」
「わかりました。おいらの劇団ではこの『アオウエイ』順を採用して声出し稽古します。がんばります、期待してください。実は劇団消滅の危機に瀕していたのですがこの五大父音で乗りきります」
「えっ、そうだったのか、そんなことをすればあの劇団が活性化して生き延びるかもしれない…。いらないことを教えてしまったのかも。忘れてくれよ六さん、おまえさんたちは『アイウエオ』順でいくべきだ。『アイウエオ』順で消滅してくれ…」

「今度の舞台、御礼にチケット送りますから、見に来て下さいね。カンパはいくらでもいいですよ。ご隠居さんは貧乏なわりにはずんでくれるんだから…困っちゃう。えへへへ…。」
fumio


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「六さん、ずっと前にハングルの元になった 日文のことを話したことがあったね。」
「さあ、そんなことありましたっけ。ああ、そうそうハングルを真似て作った文字だとかいわれてる古代文字のことでしたね。日本の辞書は偽作としているんでしたっけ。それがどうかしたんですか」
「ハングルは李朝(李氏朝鮮)第四代王世宗(セジョン)が漢字に替わる韓国語表記法の研究開発を命じて世宗25年(西暦1443年)に完成させて1446年、「訓民正音」の名で公布したものだった。そのとき、その下敷きにされたのが韓国に最も近い日本の対馬の占部阿比留(うらべあびる)家に伝わる阿比留文字だった。それはニギハヤヒが創った神代文字「日文」を占部阿比留(うらべあびる)家が伝承していた文字だったのさ。」
「変な名前ですね、アヒル文字なんて。おいらだって疑ってしまいますよ」
「上の表が阿比留文字の「あいうえお」で次の表がハングルの「あいうえお」さ。よく見比べてごらん。」
fumio

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「うーん、たしかにむつかしい、六さん、わたしにゃ無理だ、ギヴアップ。じゃあね。バイバイ」
「ちょっと、ちょっと、ご隠居さん、冗談ですよ。ヘソを曲げねえでくださいよ。ほかに宛ないんですから、ご隠居さんが頼みの綱なんですよ。もしこの『アオウエイ』が素晴らしいのならこれから声出し稽古はこれにしようと思っています。そうすればすこしは実力が上がって運が向いてくるかも…」

「ダメだろうね、六さんの劇団はそんなことでどうにかなるレベルじゃないから。あきらめたほうがいいよ。どうせ声出しするのなら念仏でも御詠歌でも唱えてりゃなにかの功徳になるさ。」
「どうして、さあ、これから芝居の練習だというときに念仏を唱えるんですか、萎えますよ」
「ご先祖様が集まってきて力を貸してくれるかもしれないじゃないか」
「ちょっと冗談をいうとこれだ、わかりました、おいらが悪うございやした。今度いい御詠歌を見繕って練習しておきますから、いい加減に教えてくださいよ、知恵の出し惜しみしないで…」

「出口王仁三郎は「アオウエイ」を五大父音としてその働きを言霊学釈歌に詠んだのだね。」

***********************
   ○
久方の天之御中主の神は 五十鈴川の(ス)ごゑなりけり
   ○
あのこゑは我言霊の上よりは 宇比地邇神、須比智邇神
   ○
おのこゑは我言霊の上よりは 角杙神、活杙神
   ○
うのこゑは我言霊に照らし見て 大戸之道神、大戸之辺神
   ○
えのこゑの其言霊を調ぶれば 面足神、惶根神
   ○
いのこゑは言霊学の助けより 伊邪那岐神、伊邪那美神
   ○
あのこゑの活動なすは須比智邇の 神の保てる本能なりけり
   ○
おのこゑの活動するは活杙の 神の表はす本能なりけり
   ○
うのこゑの活動保つは大戸之辺 神の表はす本能なりけり
   ○
えのこゑに万の物の開くるは 阿夜訶志古泥の神の御本能
   ○
いのこゑの活動なすは伊邪那美の 神の御言の本能なりけり

******************

 「そして日月神示には
『アイウエオからアオウエイの世にうつって来るぞ。』
『アオウエイの世が天国ぢゃ。』とある。なるほど、なるほど」

「そうさねえ、王仁さんの歌は現代人にはなんのことかわからないね。六さん、はしょっていえば『アオウエイ』というのはすべての元になっている陰陽和合の仕組みさ」
「えーっ、なんのことですかそれは…」
fumio



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