monologue
夜明けに向けて
 

憧れ  


その頃、米国でハリウッド制作戦国ドラマ「Shogun」が大ヒットしていた。
そのヒロイン島田陽子も宮下フミオの自宅にやって来た.
映画「人間の証明」で主役の黒人ハーフの青年を演じたジョー山中は家が見つかるまで居候していた。わたしが相棒のシゲさんをエンターテイナーの仕事で迎えに行くと
「行ってらっしゃい」とわたしたちを送り出してくれた。すごく礼儀正しい好青年だった。クラブの仕事が終わってわたしが車でシゲさんを宮下家に送ってゆくと「おかえりなさい」とリビングルームで待っていたのである。
京都駅前のデパート「丸物」屋上の海外ニュースでよく動静を採り上げられていた、ミッキー・カーチスと「サムライ」もその頃ツアーで、ロサンジェルスに廻って来たのである。それでわたしがしばらくのちにプログレッシヴロックアルバム「プロセス」を製作する時、宮下にプロデュースを頼みミッキーカーチスのバンドのツアーで来ていた島健にピアノを頼んだのだった。思えば、丸物デパートでの憧れがそんな風に実を結んだようだ。
fumio

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わたしは幼い頃、映画「スターウオーズ」のヨーダのモデルになった脚本家、依田義賢の依田家の嫁に入った富子叔母さんに連れられて太秦撮影所見学に行ったことがある。その時、新人、勝新太郎が遠山金四郎を演じていた。

そして時と場所は移り、後年渡米した勝新太郎は宮下フミオの自宅スタジオに居候していた時、映画「座頭市」の音楽としてティアック8トラック・レコーダーに三味線を弾いてレコーディングした。杵屋の跡取りとして修業していたので弾けたらしい。コードはE一発だった。わたしは宮下に請われてその三味線に合わせてベースをレコーディングしたことがあった。
芸能界で一番洋楽のスタンダードのうまい歌手は石原裕次郎か勝新太郎かということがよく話題になったが、その勝新太郎はたった一度、宮下フミオのアコースティックギターのバックでリトルトーキョー劇場でライヴを行ったというニュースが翌日の羅府新報に掲載されたものだった。
海外でも勝新太郎は人気でヨーダ依田義賢 が脚本を書いた映画「悪名」シリーズに勝新太郎演ずる八尾の朝吉親分が鉄砲光三郎の太鼓で河内音頭を唄う場面があった。それでわたしの息子の友達のオクラホマの大学生たちマイケルやブランドンたちは勝新太郎のファンで実際に会ったことがあるかとインターネットのチャットでわたしに尋ねてきた。かれらにとってはなにか、近寄りがたい存在のようだった。
fumio

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