monologue
夜明けに向けて
 




2A06病室は入口左から犬塚健市氏、高山秀夫氏、須賀正雄氏、
入口右から坂本健司氏、渡辺重夫氏、山下富美雄とベッドが並んでいた。
わたしは奥のベッドからリハビリやトイレに車椅子で連れて行ってもらうたびにそれぞれの患者さんの姓名を呼び「須賀正雄さん、おはようございます、山下富美雄リハビリにいってまいります。」と挨拶した。帰ってくるとまたそれぞれの人の姓名を呼び「須賀正雄さん、高山秀夫さんただいま、帰ってまいりました」と挨拶した。初めはうるさいと思っただろうが、いわゆる「寝たきり」の人々でも姓だけではなく名前まできちんと呼ばれて挨拶されると頭を動かして返事した。「礼に始まり、礼に終わる」日本の教育を受けた人には無視することはむづかしいのだろう。毎日続けていると自分の名前を呼ばれるのを心待ちにする人もいて渡辺重夫氏などはわたしに大きく手を振るようになった。姓名は生命に通じるようだ。
fumio

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