monologue
夜明けに向けて
 



 ある日、中島茂男は宮下文夫のバンドのライヴでギターを弾くから見に来てくれという。そのバンドはベースがロシア系白人でキーボードが黒人の混成バンドだった。その黒人はのちに喜多嶋舞の父、喜多嶋修のライヴでもキーボードを弾いていた。固定メンバーではなくその時その時でセッションメンバーとして集めるようだった。宮下は空手の形などを取り入れた東洋的な動作をして歌っていた。集中力がすごくて観客を惹きつける妖しい魅力を発していた。それは普通のロックバンドの範疇に入らない音だった。一緒に出るバンドはアメリカらしいハードロックやポップロックが多く宮下文夫のバンドは異彩を放っていた。
fumio

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