monologue
夜明けに向けて
 



 では、大急ぎで結びまで読んでしまおう。
到黄泉比良(此二字以音)坂之坂本時、取在其坂本桃子三箇待撃者、悉迯返也。
爾伊邪那岐命、告其桃子、「汝如助吾、於葦原中國所有、
 宇都志伎(此四字以音)青人草之、落苦瀬而患惚時、可助告」、
賜名號意富加牟豆美命(自意至美以音)。


 イザナギが桃の実を三個投げたのは三が日向族の元々のトーテム数であるから。
見送りはそれを了解してここで引き返していった。
イザナギはその境界の桃に「わたしを助けるように葦原中國で
宇都志伎すなわち現(うつし)世の人々が苦しむとき、助けよ」といって
富加牟豆美(大神の実)と名付けた。かれはここで桃すなわち「百」を日向のトーテムとしたのである。

最後其妹伊邪那美命、身自追來焉。
爾千引石引塞其黄泉比良坂、其石置中、各對立而、度事戸之時、
伊邪那美命言、「愛我那勢命、爲如此者、汝國之人草、一日絞-殺千頭」。
爾伊邪那岐命詔、「愛我那迩妹命、汝爲然者、吾一日立千五百産屋」。
是以一日必千人死、一日必千五百人生也。
故、號其伊邪那美命謂黄泉津大神。
亦云、以其追斯伎斯(此三字以音)而、號道敷大神。
亦所塞其黄泉坂之石者、號道反之大神、亦謂塞坐黄泉戸大神。
故、其所謂黄泉比良坂者、今謂出雲國之伊賦夜坂也。


そして最後に矢も盾もたまらずついに愛妻イザナミが一目会いたいと追って來た。
ところがイザナギはなんと千引石で黄泉比良坂を引塞いでしまったのだ。
かれは「百」を日向のトーテムとするとき白にフタをして出雲族との決別を決心していた。
現世と隔り世で一体の黄金太陽宇宙であるのに現世を日向族だけで治めることを目論んだのである。
千(チ)引石がそのフタ。その石を間において、ことばをかわし、
イザナミは、そんなイザナギの心を察し「愛する夫イザナギ、そんなことをしたらあなたの國の人を日に千(チ)人殺すわよ」と脅す。
イザナギは、「愛する妻イザナミよそれなら、わたしは日に千(チ)五百生むさ」と答える。
そうすると千五百ひく千で「五百」残ることになる。ここにちゃんとトーテム「百」がある。
相手が千といえば倍の二千ぐらい言えば景気がいいのだがそれでは「千」が残って「百」という文字で白を封じることができなかったから。それで千五百という中途半端な数が選ばれたのだ。
イザナミは黄泉津大神と名付けられる。またイザナギに追いついたことから道敷(チしき)大神とも呼ばれる。黄泉坂を塞ぐ石は道反(チがえし)大神と名付けられまた塞坐(さやります)黄泉戸大神ともいう。
その黄泉比良坂は、今は出雲國の伊賦夜坂である。
 ということでこれで一応全部読み終えた。
ごらんのようにこの結びの場面は「チ」ばかりで語られる。岩戸が千の回転をしているのが目に見えるようだ。
まるで回転扉(ライブドア)のように。
イザナギは「手」形と「毛」形のふたつの櫛を使用した。そのイザナギが閉じてしまった扉を開くために
わたしたちはカゴメ唄で約束されていた三つ目の櫛を使用しなければならないのだ。
次回、明後日には、その櫛をみつけたい。
fumio







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コメント
 
 
 
卒論完成か? (みのり)
2006-04-11 16:51:40
情報が点から線へと形を変え、スパイラルにそして現象から実体へ・・・いよいよ卒業でしょうか?
 
 
 
卒業 (fumio)
2006-04-13 13:29:16
早く卒業したいものですね。
 
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