monologue
夜明けに向けて
 



かれはパレスチナのゴルコタの丘の十字架上で身体を抜けた。そして雌伏していると日本の天草でキリスト教弾圧に対する抗議運動が始まったのであった。
昔、予言の民ホピインデイアンが日の昇る国にツルーホワイトブラザーが現れて世を救うと予言しているので白をもじって四郎として救いに来たのである。
スーパースターの登場にもう敵も味方もなかった。愛おしみ合うことしかできない。
ハジマーシュ森宗意軒の作る原城(ハライソ)舞台は素晴らしかった。笛太鼓鈴銅鑼琵琶の音楽で盛り上げ戦うことを忘れてすべて愛おしもう、と異国の言葉でコーラスする。
戦うために集められたはずの12万の幕府軍もハジマーシュは動員して舞台に上がらせる。ついにクライマックスで、雷鳴が轟き閃光が奔りすべての一揆衆の命の代わりに、一揆のシンボル四郎がスーパースターとして舞台中央にひとり残り雷光に照らされて「わたくしはユダヤ人の王ナザレのイエスJesus de Nazaré, Rei dos Judeus」メサイヤである。世を救う、と宣言するとだれもかれもが嗚咽して泣き叫び「LOVVAD・SEIAOSẨCTISSIM・ SACRAMENTO (最も貴き贄を讃え崇める)」とコーラスした。
ラヴアンド愛と繰り返し陶酔状態で踊りまくる。
スーパースター天草四郎の額には☆の印が輝いている。その圧倒的なオーラに撃たれて知恵伊豆は仕方なく悪役を引き受けた。
後世には十万の軍勢で三万数千人を殺戮したと書き残したが実はひとりも殺せず四郎だけを捕縛して断首してさらし首にしたということにしたのだった。
fumio


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