monologue
夜明けに向けて
 

kirin  


オランダ帰りのハジマーシュこと妖術アーティスト森宗意軒は十万の幕府軍と三万七千の一揆衆の中から楽器が得意な者を選び笛太鼓琵琶鈴中華銅鑼などをあてがった。そして踊れるものは踊らせ歌えるものはみんなコーラスに使う。みんなでメサイヤ、メサイヤ、シロー・ザ・メシヤ、 モア・ザン・スーパースターとエゲレス語で歌い、メサイヤ、メサイヤばかりをくりかえしているとどんどん高揚してきて法悦状態で倒れる者が出てくる。ついにクライマックかと思う時、ハジマーシュは石火台で用意して待っている伊豆の守に合図した。大砲班の若者たちはうれしそうに火薬に点火した。バカでかい轟音が響き渡りその時突然竜巻が起こり物凄い雷鳴が轟き稲光が迸ると伝説上の獣、麒麟がウオーンウオーンと咆哮しながら西の空から大空を駆けてくる。その耳を聾する咆え声に人々は一時気を失った。妖術師ハジマーシュはニヤリと微笑みそして舞台上に吊り下げたすべての鳴り物をならし大小の中華銅鑼を次々に鳴らしながらぐるぐる舞い踊る。山田山田右衛門作もエゲレス語でモア・ザン・スーパースターと歌う。ハライソ上の舞台も下も一緒くたになって星のメシヤ四郎少年を讃美するコーラスしている。その時、天空から降りてきた麒麟が16歳の美少年四郎の右脇に膝まづいた。
四郎少年は天草島原、幕府の人々よ、みんな愛おしみ合おう、愛おしみ合おうと唱えて麒麟にまたがった。
fumio

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「明日を創む主」ハジマーシュと呼ばれるオランダ帰りの妖術アーティスト森宗意軒は殺し合いに興味なく原城の戦場を現代のミュージカルやオペラの舞台の先駆けのような舞台にした。戦死した幕府軍の司令官板倉重昌に代つた松平伊豆守が石火矢台というものを築かせてオランダ船から大砲を借りうけてその石火矢台にすえているので敵であるはずの伊豆の守信綱さえ使って盛り上げる。大砲の弾は大きすぎてまともに前に飛ばず音ばかり大きかったので大砲を打ち上げ花火のようにプロジェクトのクライマックスで使うのだ。ここという時合図して大砲を射つように信綱と打ち合わせしたのである。伊豆の守にとっては気の進まない職務上の人殺しよりずっとましだったのでしかたなく首肯して引き受けたのだった 。 .
fumio

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