monologue
夜明けに向けて
 



 

 95/03/05 緋文字が黒く変わる時、氷雨が雪に変わる。歴史の穴は遠く深い

 「緋文字」とは「秘文字」でニギハヤヒが創った「日文(ひふみ)」

 上図は西暦七百年代の天武天皇の舎人で古事記を誦習した、稗田阿禮(ひえだのあれ)が神代文字、阿比留文字で書いた、日本武尊を偲ぶ歌で伊勢神宮文庫所蔵の「神宮文庫古字」に遺されている。
 これは倭建命の薨去の場面でひらがなにすれば

「うみかゆけは  こしなつむ おほかはらのうえくさ
うみかは いさよふ
はまつちとり はまよはゆかすいそつたふ」となる。

太安麻呂(おおのやすまろ)はそれを漢字で

「宇美賀由氣婆許斯那豆牟 意富迦波良能 宇恵具佐 
宇美賀波 伊佐用布 
波麻都知登理  波麻用波由迦受  伊蘇豆多布」と「古事記」に記した。

 これを現代のかな漢字交じり文にすると
「海処行けば 腰なづむ大河原の植草 
海処はいさよふ
浜つ千鳥 浜よは行かず磯伝ふ」となる。

 ところがこの阿比留文字のもとであるローマ字変換で文章が書ける人ならすぐに使いこなせるような優れた文字システム「日文(ひふみ)」はハングルの偽作とされているのである。

『ひ‐ふみ【日文】
神代文字と称せられるものの一。平田篤胤が「神字日文伝(カンナヒフミノツタエ)」に挙げているもので、対馬国の卜部阿比留氏の秘伝というヒフミヨイムナヤコトモチロなどの四七音をあらわす表音文字。実は朝鮮のハングルに模して偽作したもの。』(1996年、広辞苑 第四版 CD-ROM)

 神代文字には、日文だけではなく、一、二、三、などの数字と点や棒を書く天名地鎮(あないち)や阿比留文字などがあるが、亀卜の灼兆(シャクチョウ)やハングルに擬した偽作と言われている。阿比留文字はハングルによく似ているからハングルの模倣とみられてしまったのだ。
 ハングルは1443年に李朝第四代世宗(セジョン)の命で作られ1446年に制定されている。阿比留文字がハングルの模倣なら稗田阿禮は七百数十年後に成立する朝鮮の文字を模して歌を綴ったということになる。そんなことは不可能である。対馬と朝鮮は地理的に近く交流が頻繁であった。阿比留文字とハングル、どちらがどちらを手本にしたのか。時代をみれば簡単に結論は出る。しかるにわが国の著名な辞書はほとんど「日文(ひふみ)」を偽作として封印してしまっているのである。辞書編纂者によって封印されたのだからこの封印は辞書編纂者によって正しい記述に直され解かれなければならない。
fumio




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