風に吹かれてぶらり旅

まっすぐに生きる人が好き

生まれ故郷

2008-01-03 21:45:05 | 徒然
アイスランドの海岸が氷山の崩落などの影響で
毎年数メートル海に侵食されているということを
たまたまつけていた年末のドキュメンタリー番組で知った。

詳しくは覚えていないのだけど、
その地域の人々は数年の内に全員が移住しなければならないらしい。
その住民の女性の一人は
「私達はずっとここに住み続けたい。移住したくない。
自分達のアイデンティティがなくなってしまう」そう話していた。



 そして今日、私は駅前の写真屋さんへ行くため、
久しぶりにぶらりと歩くことにした。

今日は天気がよかった。
iPodで音楽を聴きながら気ままに歩く。
こういう身軽で気が楽な時間は大好きだ。

歩いていると、色んなことを思う。
昔は地元に対してさほど思い入れがなかったのに、
今は私は確かにここで28年間育ってきたのだという強く思う。
「変わらないで欲しい」と願うようになった。

 4歳の私が歩いた道を28歳になった私が歩く。

今まで開発と言えば駅前に商業施設ができたくらいでたいした変化のなかった
私の故郷の景色は、急に変わろうとしている。

27年間ほとんど変化のなかった景色がたった数ヶ月で一変するということに、
なんだかわからないけれど、とても危機感を感じた。
そんなに簡単に変わっちゃっていいの?と。


この道の先にその場所はある。
しばらく(ほんの数ヶ月)行かなかった間に、全く見たことのない景色がそこにあった。

そしてそれは私一人がどう思ったところで、どうすることもできない。
でも、自分にとってこの街がどれほど大切かを痛感した。
今まであたりまえのようにそこにあった風景がどれだけ安らぎを与えてくれていたかを感じた。
この胸の痛みは忘れたくない。
それは私自身が変わりゆく景色の中でどう生きるかにつながるからだ。
私が私であること、アイデンティティのよりどころは、街の風景と、
それに依存しない私自身の心にあるのだと思った。

歩き続けていくと、緑の広場と大きな木が繁っていた野原は、白い仮囲いに囲われ、
鉄筋と型枠と、慣れ親しんだはずのプレハブの現場事務所が見えた。

アイスランドの女性の言葉を自分のことのように感じた。


ああ、歩いてみると発見がある。
色々な気持ちになる自分と出会う。