道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

SOUL KITCHEN

2009年10月20日 | 映画道楽
ドイツ映画祭2009の話はまだまだ続きます。
4作目に見たのは,ファティ・アキン監督のSOUL KITCHENでした。

まずはあらすじを。ハンブルクで,いかにも安かろうまずかろうという感じの安レストランSOUL KITCHENを営むジノスは,交際相手のナディーンが上海に行ってしまい,遠距離恋愛中ですが,スカイプのテレビ電話や携帯電話だけでのつながりは,いかにも脆弱で,うまく行きそうにありません。
その上,ジノス(ブスドゥコス)の旧友で,不動産業者のノイマンが店を買収するよう画策し,保健所に虚偽の申告をして,店の経営の妨害を図ります。その上,ジノスの弟で,SOUL KITCHENでの就労を条件に刑務所から外出を許されるようになったイリアス(モーリッツ・ブライプトロイ)まで,転がり込んできて,店は前途多難な状態になります。
ところが,ひょんなことから高級レストランをクビになった頑固な天才料理人シェイン(ビロル・ユーネル)が迎えられ,生で演奏されるようになった音楽とも相まって,SOUL KITCHENは次第に人気店になっていきます。
しかし,ジノスは商売に身が入らず,ナディーンのいる上海に行こうとし,店を何と無責任な弟イリアスに任せてしまいます。
当然のことながら,イリアスが店を経営することができるはずもなく,まんまとノイマンの罠にはまりますが・・・

感想ですが,ストーリーはとにかく面白いです。ファティ・アキン監督も,トルコ系ドイツ人以外の映画を作成するのだということが新鮮な驚きでした。イリアスとノイマンの契約は明らかに無効であろうとか,ジノスは事件後に釈放されることはないだろうとか,不動産の強制執行は期間入札で行われるのではないのかなどといった無粋なことを考えるまでもなく,娯楽映画として楽しめます。

それにしても,モーリッツ・ブライプトロイとビロル・ユーネルというインパクトの強い脇役が2名も出演しているせいでしょうか,主人公ジノスを演じるブスドゥコスの印象が弱くなってしまいました。

【余談】
プログラムによると,監督は,ハンブルグという郷土への愛を語る「郷土映画」と説明しているようですが,風景はアルトナ駅に向かう列車が数回映る程度で,レーパーバーンらしき風景も1か所を除いては映っていませんでした。ハンブルグに生きる人々,その社会というのが,監督のいう「郷土」なのでしょう。

質疑応答の様子


その後の自主的サイン会の様子



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