道楽ねずみ

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中村一美展(国立新美術館)

2014年05月18日 | 美術道楽
国立新美術館で開催中の中村一美展を見に行きました。
地下鉄の広告で見て、その抽象絵画は自分のセンスに合いそうと思い、関心を持ちながらなかなか行くことができませんでした。

まずはHPから企画展概要を引用します。
(引用初め)1980年代初頭に本格的な絵画制作を開始した中村一美(1956生)は、同世代の中でも、もっとも精力的な活動を展開してきた現代美術作家・画家の一人です。
―絵画は何のために存するのか。絵画とは何なのか。中村は、この疑問に答えるために、ジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、バーネット・ニューマンなど、西欧のモダニズム絵画の到達点とみなされていた戦後アメリカの抽象表現主義絵画の研究から出発し、彼らの芸術を乗り越える新たな絵画・絵画理論を探求します。中村が特に参照したのは、日本の古代・中世絵画、中国宋代の山水画、朝鮮の民画など、東アジアの伝統的な絵画における空間表現や、形象の記号的・象徴的作用でした。また中村は、絵画の意味は別の絵画との差異の中にしか存在しえないという認識に基づく「示差性の絵画」という概念を、すでに1980年代に提出しています。それゆえその絵画は、同じモティーフに拠りながらも、つねに複数の作品が差異を示しながら展開する連作として制作されてきました。「存在の鳥」連作に代表される近年の絵画では、象形文字を思わせるマトリクスに基づきながら、多様な色彩や筆触や描法を駆使することで、抽象とも具象とも分類できない、新しいタイプの絵画の創造に取り組んでいます。
展覧会では、学生時代の習作から最新作「聖」まで、およそ150点の作品によって中村一美の絵画実践の全貌を紹介するとともに、2010年に構想されながら実現を見ていない、斜行グリッドによるウォール・ペインティングを初めて公開いたします。日本の現代絵画・現代美術の、到達点の一つを確認する絶好の機会となることでしょう。(引用終わり)


初期の作品もあるので、具象画から抽象画に変遷していく過程も一部窺い知ることができました。
展示は、テーマごと、それも「Y型」、「斜行グリッド」、「破庵(Broken Hermitage)」、「連差―破房(Ranging Difference― Broken Shelter)」,「存在の鳥」、「聖」などのよく中身の分からないテーマごとに分かれています(日本語だと全く訳の分からないものもあり、英語の方がかえって分かりやすくなっています。)。

カンディンスキーのような抽象絵画がスケールの大きな画面に描かれ、しかも時にきつい原色の色使いがされ、絵の具も飛び出さんばかり厚塗りでした。そして個々の絵の一部には、日本や中国の伝統的なテーマの画題が付けられていて、何だか訳の分からないと言うが煙に巻かれたような感も否めません。

ライプツィヒの造形美術館でみたような現代的な抽象絵画ではあります。それがアジアの伝統的なイメージがうまく融合しているのかどうか正直私には図りかねます。あまり深いことは考えずに、絵画を純粋に楽しむことができました。

展示室の中で壁一面がオレンジ色に塗られ、そこに斜線の描かれた部屋に「存在の鳥」の絵が何枚も掲げられている部屋は正直、目がチカチカしそうで、余り落ち着くことはできませんでしたが、「北奥千丈」や「存在の鳥107《キジ》」などはなかなか良いと思いました。

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