国立新美術館で開催中のアメリカン・ポップ・アート展に行きました。
今回の企画展に展示された作品は,皆,アメリカにいる個人コレクターの個人所蔵品なのだそうです。
これらの作品を個人で所蔵するとは,いったいどれだけの財力を持った人なのだろうかという疑問だけではなく,これだけの作品を収納できる家というのはいったいどのような家なのだろうかということも疑問もわき起こるような充実した作品展でした。
HPを引用します。
(引用初め)アメリカ合衆国コロラド州を本拠地とするジョン・アンド・キミコ・パワーズ夫妻は、日本美術および現代美術の両分野における、世界有数のコレクターとして知られています。特にポップ・アートにおいては、アメリカにおけるその黎明期である1960年代から、パトロンおよびコレクターとしての積極的な活動により、アート・シーンに大きく貢献してきました。夫妻は、ポップ・アートがまだ評価を確立する以前からその真価を見抜き、作家を直接支援することによって、現在見るような個人コレクションとしては世界最大級のポップ・アート・コレクションを築き上げたのです。1999年にジョン・パワーズ氏が亡くなった後も、キミコ夫人は積極的な活動を続け、2011年秋にはジャスパー・ジョーンズの版画の研究・公開・普及などを行うパワーズ・アート・センターがオープンしています。(引用終わり)
ロバート・ラウシェンバーグ,ジャスパー・ジョーンズ,アンディ・ウォーホル,ロイ・リキテンスタインなどの有名な芸術家の作品群が目白押しです。ウェッセルマンの「グレート・アメリカン・ヌード#50」は,モネの作品を絵の中に描いた作品ですし,オルデンバーグの「幾何学的なネズミ」も,同じねずみ属として道楽ねずみには気になるとことでした。リキテンスタインの作品も,ウォーホルの作品と並ぶくらい充実しており,特にモネのルーアン大聖堂の連作をベースにした「大聖堂シリーズ」は,リキテンスタイン独特の点の表現を用いながらも,うまく表現されており,とても印象に残りました。
今回の企画展で特に充実していたのが,ウォーホル作品です。毛沢東などの同じ人物の絵を何枚も並べる技法で作成された絵の作品は,作品を構成する個々の絵が皆,同じように見えるのですが,子細にみると,キミコ夫人の簪の位置が違うなど,それぞれ別々の絵なのだということも知りまして,とても興味深かったです。特に圧巻だったのはキャンベルスープのスープ缶200個を描いた作品です。これは,この種の作品としては初期のもので,ウォーホルがすべて1個1個手書きで書いたというのは貴重なのだそうです。8月18日の14時から15時にTBSで放映されたテレビ番組によると,大きな家に住んでいたキミコ夫妻は,当時まだ評価の確立していなかったこの作品を持っていた知人が,作品があまりに大きくて家に収まりきれないと嘆いているのを聞き,この作品を譲り受けたのだそうです。そして,この巨大な作品を寝室に飾っていたようです。何とも信じられないようなスケールのお話です。
キミコ夫妻はウォーホルと個人的に親交があったようで,誕生日おめでとうとかメリークリスマスというような感じでウォーホルから個人的に送られたサイン入りの作品もありました。こうした小作品は,普段目にする典型的なウォーホルの作品とは異なるイメージで,これらの作品もとても素晴らしく思われました。自分もほしいくらいです(冗談)。
音声ガイドは小林克也さんで,今回の作品にぴったりの語り口ですし,音声ガイドシートはタッチペン式で,こちらもキャンベルスープのデザインを用いており,おしゃれです。
ところで,7月のドイツ旅行で,ウォーホルの作品はベルリンのハンブルク駅美術館,新ナショナルギャラリー,フランクフルトのシュテーデル美術館でたくさん見た後でしたので,とても関心を持って見ることができました。ずっとドイツでウォーホルの作品を見ていましたので,今回の企画展で,夜の比較的すいた時間帯で,ウォーホルの作品を没頭して見ていますと,ふと周囲の人に気づいたときに,「あっ,日本人も見に来ている。」などとアホなことを考えてしまいました。ここはドイツではないのに。どうも私にはこういうオトボケなところがあり,社会的に成功することができない訳です。
冒頭の写真は最後に撮影の許可されているキャンベルスープの缶です。
拡大するとこんな感じです。
音声ガイドシート
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