道楽ねずみ

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東京都現代美術館の一時閉館

2016年06月06日 | 美術道楽

東京都現代美術館は5月29日をもって一時期閉館となりました。

私にとっては、まだまだ開館したばかりの美術館のように思っていたのですが、開館から早20年も経っています。とはいえやはり20年しかたっていないのに工事なのですから、きっと余程耐震面では問題があるのではないかと思ってしまいます。

 

東京都現代美術館が開館した当時は、清澄白河の駅もなく、東西線の木場からバスに乗って出かけた記憶です。

そのころは現代アートも日本では物珍しく、ドイツから帰国して間もなかった私は、日本でも現代アートが楽しめる美術館として、通うようになりました。

マリオ・メルツといった現代の作家の作品も、東京都現代美術館で名前を覚えていったような記憶です。

 

閉館前に開催されていた企画展は、Pixar展で、若い人や子供を中心に大人気でした。

私も、一応見に行き、同じねずみ仲間の「レミーのおいしいレストラン」のレミー関連の展示を中心に見ました。

 

それと「キセイノセイキ」という企画展も同時に開催していました。

HPの企画の趣旨には、「今の社会を見渡すと、インターネットを通して誰もが自由に声を発することができる一方で、大勢の価値観と異なる意見に対しては不寛容さが増しているように思われます。表現の現場においても、このひずみが生み出す摩擦はしばしば見受けられます。そうした中で、既存の価値観や社会規範を揺るがし問題提起を試みるアーティストの表現行為は今、社会や人々に対してどのような力を持ちえるでしょうか。」といった問題提起がされており、こうした問題意識が企画展のテーマになっていました。

展示物のタイトルと解説はあるが、展示物の全くない空間という作品もあれば、ウォーホルのマリリンモンローの作品に手を加えた作品もありました。

キセイノセイキに展示されていた橋本聡の作品

 

しかし何と言っても今回、東京都現代美術館を訪れたのは、常設展のコレクションの展示を見るためです。アンディー・ウォーホル、ロバート・ラウシェンベルク、ロイ・リキテンシュタイン、ウィレム・デクーニングなど現代美術館自慢のコレクションが展示されていました。

 

東京都現代美術館は2018年に耐震工事を終える予定とのことですが、また常設展のコレクションを展示してくれることを望むばかりです。改修後は、アニメやオタク文化の殿堂になってしまうという噂が流れたこともあるようですが、そのようなことにならないよう願ってやみません。