道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

カラヴァッジョ展(国立西洋美術館)

2016年03月13日 | 美術道楽

国立西洋美術館で開催中のカラヴァッジョ展に行きました。

2001年に東京都庭園美術館でカラヴァッジョ展が開催されて以来、久しぶりの回顧展になります。

 

今回、カラヴァッジョの作品は、以下のものが展示されています。

《女占い師》(ローマ、カピトリーニ美術館)

《トカゲに噛まれる少年》(フィレンツェ、ロベルト・ロンギ美術史財団)

《ナルキッソス》(ローマ、バルベリーニ宮国立古典美術館)

《果物籠を持つ少年》(ローマ、ボルゲーゼ美術館)

《バッカス》(フィレンツェ、ウフッツィ美術館)

《マッフェオ・バルベリーニの肖像》(個人蔵)

《エマオの晩餐》(ミラノ、ブレラ美術館)

《メデゥーサ》(個人蔵)

《洗礼者ヨハネ》(ローマ、コルシーニ宮国立美術館)

《法悦のマグダラのマリア》(個人蔵)

《エッケ・ホモ》(ジェノヴァ、ストラーダ・ヌオーヴァ美術館ビアンコ)

 

カラヴァッジョの11作品をいっぺんに見られるなんて、とても貴重な機会です。しかも、個人蔵の作品などは、この機会を逃すともう一生見られないと思いますと、特に熱心にみてしまいます。《マグダラのマリア》は、最近になってカラヴァッジョの真筆であることが確定した作品で、しかも、一般公開は世界初ということです。《マグダラのマリア》は、お尋ね者のカラヴァッジョが、恩赦を得るための切り札として描いた絵ということです。マグダラのマリアは、娼婦としての過去を悔い改め、聖女となっているので、カラヴァッジョはこの絵をシピオーネ枢機卿に寄付することによって、自分も悔い改めるので、恩赦をしてほしいと訴えたかった模様です。

《洗礼者ヨハネ》に描かれたヨハネのポーズは、17世紀初めにローマで発掘された著名な古代彫刻《瀕死のガリア人》に基づくといわれています。カピトリーニ美術館に展示されている彫刻のことと思います。

 

世界初の公開ということもあり、《マグダラのマリア》の前は人込みで一杯ですし、それだけではなく開館前から国立西洋美術館の前には開館前から長蛇の列ができるほどの人気です。

 

私は、昨年ミラノ、ローマを訪れていたので、《女占い師》、《ナルキッソス》、《果物籠を待つ少年》、《エマオの晩餐》は見てから1年も経たないうちに「再会」することができました。また、もう13年も前になりますが、フィレンツェを訪れた際にもウフッツィで《バッカス》は見ていたので、この絵とも「再会」できましたし、今回展示のものとは違う作品の《メデゥーサ》(個人蔵)も見たことがありましたので、「再会」に近い気持ちとなりました。今回、ローマのコルシーニ宮国立美術館やジェノヴァのストラーダ・ヌオーヴァ美術館など行っていないところの絵も見られてとてもうれしくなりました。

 

カラヴァッジョ作品以外の作品でも、バルベリーニで見たベルニーニ《教皇ウルバヌス8世》を初め、イタリア各地から優れた作品が来ています(グエルチーノもあれば、ドメニキーノもあります。)。国立西洋美術館のラ・トゥールやグエルチーノ作品も展示されています。

また、カラヴァッジョの非行の記録や、ライバルとの裁判の記録なども、合間合間に展示されており、意外な見どころです。

 

おそらくは、2016年の美術展の中では、最も印象に残る美術展になりそうな雰囲気です。

今回、石鍋先生の講演を挟んで、合計3回会場を1周して、目を皿のようにしてみましたが、後、最低2回は訪れようと思います。

また、改めてカラヴァッジョの絵画を見るために「巡礼」をしたくなりました。ただ、イタリア周辺ですと、残るはナポリ、シチリア、マルタになってしまい、いささかハードルを感じなくもありません。今回の企画のパネルでドイツのポツダムの絵画館にもあることを知りましたが、ポツダムも何回か出かけている割には、1日でサンスーシーとツェツィリエンホーフの両方を回ったせいか、絵画館には一度も行っておりません。こちらも、ぜひ訪れたくなりました。