活字日記

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ローマ人の物語15パックスロマーナ(中)

2004-11-20 | 文庫
 アウグストゥスはカエサルの引いた路線を踏襲し帝国化への道を進んだが、大きく違っていたのは2点あったようだ。一つはゲルマンとの防衛線をライン川からエルベ川へ拡大したこと。もう一つは後継者にあくまで血にこだわったことだ。カエサルは自身が軍人としても優秀だったからきわめて現場主義で問題を解決した。能力第一主義だったのだ。アウグストゥスは軍人としてはからっきしダメでカエサルがつけてくれたアグリッパに頼り切ったばかりでなく、戦地に赴いても後方からの指示に終始した。そんなこともあって能力主義であることはあったが徹底できず、特に後継者には血統をひたすら重視した。我が子にこだわることもなかったが自らの血が混ざっていることしか考えなかった。いくつかの不運があって思うような後継者に恵まれなかったが、その過程はおかしみさえ感じられる。

「ローマ人の物語15パックスロマーナ(中)」塩野七生、新潮文庫
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