LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

ジュンク堂新宿店で

2008年02月20日 | Weblog
2月8日(金)、東京のジュンク堂新宿店で「カミングアウト・レターズ」のトーク・イベントがあり、参加させていただきました。会場には編者のお二人と手紙を書いた数名の当事者の方、そして先生もお一人来られていました。手紙を書いたときの思いや返事を読んだときの思い、またその後の親や先生との関係などを聞くことができ、読者の反響なども太郎次郎社の方から教えていただきました。

ある当事者の方が、手紙を交換することで親の思いがけない部分を知ることができた、という報告をされました。今まで家庭では見たことのない一面を見ることができたと。親には親の生きてきた道があり、これまで子どもには見せなかった一人の人間としての側面がある。親は生まれてきたときから子どもを知っているわけですが、子どもは自分の年齢分の間の親しか知らないわけですよね。カミングアウトとはそれまで見せなかった当事者のセクシュアリティという一面を明らかにすることによって、相手との新たな関係を築くこと。今回の往復書簡ではさらにカミングアウトを受けた側からの返事をもらうことで双方向の理解が生まれるという、すばらしい効果があったのですね。

私への質問は「親にカミングアウトすることは親を悲しませることだ、自己満足に過ぎない、という発言が当事者からもれることがあるけれど、一人の親としてどう考えますか?」というものでした。親もそれぞれに考えは違うとは思いますが、私はそうは思いません。私は子どもから教えられました。この年になってですが、人間が多様であるということを知ることができてよかったと思います。ではもし親が悲しむとしたらそれはなぜでしょう?こんな社会の中では子どもが幸せになれないと思うから・・。でもそんなことありませんよね。本の中でもお母さま方はみな願っていました。「負けるな!」「幸せになれるよね!」と。幸せになってほしいというのが親の願いです。ですから幸せになってくれれば悲しいことなどないのです。そのために社会を変えていくことも大切です。みんなが等しく幸せを求められる社会へと。でも翻って考えてみれば、どんなに条件が整っていてもそれだけで幸せになれるわけではありません。異性愛者がみんな幸せだというわけではないのですから。親を悲しませない=カミングアウトしない、ではなく、親を悲しませない=幸せになる、ことですね。そして自己満足ではないカミングアウトにしてほしいと思います。一方的ではなく、また瞬間的であってもいけません。この本に書かれた様々なストーリーのように、時間をかけて、お互いを思いやる気持ちを持って。カミングアウトによって家族や友人や先生との関係が、さらに心の通い合うものになるように、そしてその関係が広がって思いやりのある社会へとつながるように・・私はカミングアウトをお勧めします(笑)

ある参加者の感想が印象的でした。「友人からこの本を薦められたけれど最初は気が重かった。自分とは無縁の話なのでどうコメントしたらいいのだろうか・・と。ところが読み始めたとたん、一気に引き込まれてしまった。この本はセクシュアルマイノリティのカミングアウト・ストーリーという枠を超えて、人間と人間が理解しあうとはどういうことなのかを教えてくれる本だった」と。

今回のトークのタイトルが「親子は“わかりあえなさ”を越えて」であったところから、最後に編者の砂川さんから「分かる」という言葉の由来を教えていただきました。うまく説明できませんが、「分かる」とは「分かれる」、つまりお互いの違いを知ることから始まるというお話だったと思います。うーん、なるほど・・。またいい勉強になりました、とてもいい会でした。企画してくださったジュンク堂新宿店のみなさま、そしてこの本を世に送り出してくださった太郎次郎社のみなさまに、心から感謝です!



この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« AGP関東からのお知らせです! | トップ | 「ルピシア」でお茶会 »
最新の画像もっと見る

Weblog」カテゴリの最新記事