LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

アメリカ・ウィスコンシン州の親からのメッセージ

2011年05月22日 | Weblog

★今日はアメリカ、ウィスコンシン州のPFLAG(アメリカにあるLGBTの親や友人の会)のメンバーとして活動しておられるご夫婦からメッセージをいただきましたので、ご紹介いたします。

 

吉永さんご夫妻はご帰国中の今年2月、東京ミーティングに初めて参加してくださり、つながることができました。今回は日本に是非PFLAGの支部を作りたいと思って帰国されていたとのこと。こんな親御さんが世界中にやっぱりおられるのだ!とほんとうにうれしく、心強く、安心しました。それ以降、アメリカの様子や活動についていろいろと教えていただいています。ウィスコンシン州から石原都知事への抗議文をいただいた時にもご尽力くださいました。

 

これからもアメリカの情報など折に触れて送っていただけるとのこと、またPFLAG本部やウィスコンシン州マディソン支部とのリンクなどについてもお引き受けくださいました。うれしいですね!!

 

まだまだ小さなつなぐ会ですが、世界のいろいろな国に学びながら、日本におけるLGBTのさまざまな問題解決に向けて、動いていきたいと思います。大きな力を得ることができて、これからがほんとうに楽しみです。

 

心強い親からのメッセージ!!是非お読みください。ホームページの体験談にも掲載しています。

 

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吉永世子・Tom Dean

 

PFLAGMadison支部から来ました(PFLAGは米国版「つなぐ会」)。Madisonはシカゴの北に位置する湖畔の大学都市です。

 

Fがゲイだと私たちに伝えたのは、18年前、彼が20歳の時でした。以下は、義理の母が語るFのカミングアウト物語です。

 

私とトムが再婚してまもなく、東京にいた時のこと。米国東部で母親と住んでいたFが、長い手紙を寄こしました。11年前に両親が離婚するまでの、楽しかった思い出が綿々と綴られ、その後でカムアウト。

 

トムは衝撃を受けました。ゲイになったのは自分の離婚のせいだ、父親不在が男性を求めさせたと。(後になって、親の離婚と、子がゲイであることの間に因果関係がないことがわかりました)。

 

さて私の方は、新婚早々で、義理の息子のことをよく知らないし、ゲイだと言われても・・・とりあえず、Fに声援を送り続けることにしたものの、トムの離婚に私は無関係だし、Fの実の母親と父親がいるのだから、と一歩引いて傍観していました。

 

それから数年後、米国東部に移った私たちを、西海岸に住むFが訪ねて来ました。職場で知り合った日本の男性、Sとデートしているという喜びの報告でした。Sは、野菜栽培も料理も家の改装も、何でもできる人だそうです。そんな有能な「彼氏」が、常々「もてない」とぼやいていたFを選んでくれたとは・・・ただただSに感謝でいっぱいでした。

 

また数年の月日が流れて、私の職が決まり中西部に移住。大学で親しくなった同僚のTさんがゲイで、家に招待したり、一緒に外食したりするうちに、いろいろ教えてもらいました。後にマディソンに移った時、私たちが「PFLAG」に入会する気になったのも、息子を誇りに思うようになったのも、Tさんとの出会いがあったからです。

 

間もなく、Fは、意中のSとカリフォルニア州で所帯を持ちました。そして一昨年、ほんの短期間でしたが、州が同性カップルの結婚を許可した際、滑り込みセーフで結婚。初デートからもう十数年になりました。

 

さて、二人が結ばれてハッピーエンドとしたいところですが、米国はまた別の心配があります。息子夫婦が住むカリフォルニア州は、多数のゲイが在住し、同性カップルに法的保護があり、他の州に比べてゲイに寛容と言われて来ました。それでもFからは次のような話を聞きます。二人で近くの海岸を散歩する際は、警戒を怠らず、手もつながないし肩も組まない。マンションに戻ってドアを閉めてから必ず、しっかり抱き合うのだと。お互いがあってよかった、無事だったという確認の儀式だそうです。

 

最愛の人と堂々と手もつなげない。身の安全のために友人同士を演じるしかない。トムはこの話を人にする度に、不憫さと心配からでしょう、涙声になります。ゲイであるばかりに、脅されたり、リンチされたりする事件が後を絶たないからです。一方で、迫害や差別が激しければ激しいほど、また抵抗する人も続々と出現する、奇妙な力関係が存在する国、アメリカ。

 

確かに、この30年間、性的マイノリティを支援する人は増えています。Fの母親の勧めで入会したPFLAGでは、家族や友人ばかりでなく、元配偶者や元恋人から隣人まで、年代も様々で、驚くほど多様な人々に出会いました。特に10代、20代の若い世代は、同性愛者に抵抗がなくて、「ゲイ?問題なし」。この世代が成長するまであと十数年。時間はかかっても、確実に時代は変わっていくでしょう。

 

因みに、Fが私に贈った呼び名は「ボーナス・ママ」。思いがけず恵まれた「景品ママ」という意味らしいです。「スペア・ママ」(予備ママ)、「エキストラ・ママ」(臨時追加ママ)でもあるのでしょう。

 

Fは私にとって「ボーナス息子」。当初は傍観者だった私が、支援の輪に加わり、豊かな人間性の友だちができたのは、息子との出会いがきっかけでしたから。人と人が繋がり、支援の輪を幾重にも広げて行く「つなぐ会」。各地で芽を吹いて、たくさんの「ボーナス支援者」が生まれるといいと願っています。

 


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第40回神戸ミーティングのご報告

2011年05月22日 | ミーティング

425日(日)、第40回神戸ミーティングを行いました。参加者は23名。ある当事者の方の大学の先輩が友人として初めて参加してくださいました。他には当事者の方が9名、父親が3名、母親が8名、元配偶者が1名、友人が1名、参加してくださいました。

 

つなぐ会が始まった頃は、親の気持ちが聞きたいという当事者のみなさんの参加が多く、親は会の理事だけ・・という時期が長かったように思いますが、こうして人数を書いてみると、親の参加者!多くなりましたね。感無量です(笑)。

 

さて今回の参加者の中で「元配偶者」とは、離婚されたご主人がGIDだったという方です。今回は2回目のご参加でした。「自分は万に一つという結婚をしたのかもしれないけれど、人として勉強できた、夫には自分らしく生きてほしいと思っている」というお話をしてくださいました。子どもに父親をどう理解させたらいいのか・・という今後の課題と向き合いつつも、ご自身の中ではすでに「人間」という不思議な存在を理解できるようになっておられるのではないかと思いました。カミングアウト、離婚・・それが対立へと発展するのではなく、理解、支援へと発展していることに心から感動しました。そしてきっとお子さんも理解されるときがくるはずと思えました。

 

またある方から「じつは家族に知的障害者がいます・・」というお話があり、そこから「実はうちにも・・」というカミングアウト(笑)が思がけなく続きました。つなぐ会のミーティングがLGBTという問題の範囲を超えて、さまざまなことを抱える一人間としての自分を素直に語れる場となっていることは、まさに「性」が心を生きることであるからではないかと感じます。今回もじつにさまざまな話題が飛び交ったミーティングでした。


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