LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

ある朝目覚めるとそこには〈左ききの自分〉が…(パート2)

2010年03月31日 | Weblog
☆桑島さんのエッセイ、パート2です。
左ききの人、10%もいらっしゃるのですね・・こんな方々に不便な社会はいまだに変わらないままなんでしょうか??考えたこともありませんでした。「おばあさんに左ききがいない・・」そういえば夫の母は鉛筆などは右ですが、包丁だけ左です。右が使えるように練習した(させられたのかも?)けれど、危険なものはやはり安心できる左になったのかもしれません。「左きき」、マイノリティについて考えるにはいいテーマですね。私もさらに考えてみたいと思います。
次回はいよいよ男女平等なんですね。楽しみです!!


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さてようやく友人に会えました。この友人はもちろん〈右きき〉で昨日までの自分と同じです。先ほどまでの数々の苦難を聞いてもらいたくこの友人に訴えたのですが、こうかわされてしまいました。
「だってアメリカに行ったら日本語は通じないだろう?カタコトでも英語を話すしかないじゃないか。社会のマジョリティがライト(右)語ならばマイノリティのレフト(左)語は通用しないんだよ。ライト(右)語を学んで使うしか無いよ。」
言われてみればその通りです。「郷に入れば郷に従え」この場合の「郷」は右ききです。昨日までの自分も「郷」の側つまりマジョリティで〈左きき〉の苦難などこれっぽっちも知らなかったのですから。
友人と昼食を取るべくラーメン屋に入りました。テーブル席はすべて満席で二人は「カウンター席」に向かいました。「吊革」の「不安」が脳裏をよぎりました。自分が右で友人が左だとまた友人の右手と自分の左手がぶつかることになります。そこで友人に「悪いけど右側に座ってくれる?」と事情を話してカウンター席に座ってもらいました。
「悪いけど…」自分で言っておいてちょっと疑問を持ちました。〈左きき〉は悪いのだろうか?だって〈左きき〉は生まれつきで自分で選んだわけでは無いのです。今後「吊革」や「カウンター席」ではマイノリティ少数派の〈左きき〉が遠慮して「ごめんなさい」と言い続けなければならないのでしょうか?社会に対して「不満」どころか「不信」を抱き始めました。
さて〈右きき〉の虹色の皆さんいかがでしたでしょうか?〈右きき〉であることで今までの人生そんなに得はして来なかった(泣)と〈右きき〉の僕も思うのですが、〈左きき〉の様な差別は受けて来なかったのも事実です。
〈左きき〉と〈右きき〉の比率はどの社会でもだいたい1:9だそうです。セクシャルマイノリティとほぼ同じ10%が社会に「存在」しているのです。にもかかわらずその「存在」が社会から尊重されていません。なぜでしょうか?これから虹色の皆さんと一緒に考えて行きたいと思います。
さて最後になりますが、一冊本を紹介しますね。〈左きき〉では無い僕が今回のエッセイを書けたのは渡瀬けんさん『左ききの人々』(中経文庫)があったからです。僕が紹介した話以外にも「学校」や「スポーツ」でも数々の〈左きき〉への軽視や無視があると具体例を挙げて分かりやすく説明してあります。さて次回は「左右対称」から「男女平等」に話を移します。渡瀬けんさんが気になることを書いています。自分が〈左きき〉で苦労して来たので街中で〈左きき〉の人を見ると親近感を覚えるそうです。ところがなぜか「おばあさん」で〈左きき〉の人に出会ったことがないそうです。
なぜでしょうか?次回までに考えてみて下さい。別に宿題ではありませんからご心配なく!

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ある朝目覚めるとそこには〈左ききの自分〉が・・・(パート1)

2010年03月25日 | Weblog
☆桑島さんからのエッセイ、第2弾です。少し長めなので今回はパート1(前半部分)をお届けします。
「左きき体験」みなさんもしてみてください。これほど左ききさんたちが困る社会だとは・・こうして考えてみるまで気付きませんでした。申し訳ないことです・・


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虹色の皆さん!いいえ今回は〈右きき〉の虹色の皆さん限定です。あしからず(泣)。「ある朝起きると〈右ききの自分〉が〈左ききの自分〉になっていた!?」そんな〈左ききの自分〉を「体」験してみて下さい。「体」力の続く限り「体」感しましょう!でも「体」調は崩さない様にご注意を!
まず何か飲みましょう。〈左きき〉で「やかん」でお湯を沸かして〈左きき〉で「急須」にお茶を入れて…あれっ?お気づきになりましたか?
「やかん」の注ぎ口が微妙に左に曲がっていて実は〈右きき〉用なのです。コーヒーや紅茶のポットは「左右対称」ですが、日本茶用の「急須」は〈右きき〉用も多く〈左きき〉で使用すると自分の手に隠れてしまい注いでいる所が見えない!のです。危ない!熱湯ですからね。
〈左きき〉の自分になってみるといかに社会が〈左きき〉の意見も聞かず〈右きき〉優先・中心の設計になっているかがわかります。確かに「左右対称」のデザインも多くありますが、無くてはならない「携帯電話」は実は微妙です。プッシュボタンは左右等距離ですが、写真のボタンは右についていてシャッターチャンスは〈右きき〉有利です。イアホンの差し込み口は左なので〈左きき〉だとうまく使えません。では「パソコン」はどうでしょうか?キーボードは〈左右対称〉…いいえ、よく使うエンターキーは右側にあります。そもそもマウスも右側にあります。〈左きき〉だと遠いのでクロスしてしまいます(泣)。さぁ「不便」を通り越して「不快」になって来ました。
外に出てみましょう!電車で友人に会いに行きます。さて「自動改札機」ですが、あっ!〈右きき〉レーンしかないのに気がつきました。またクロスです(泣)!1つぐらい〈左きき〉レーンを作ってくれても良いのに!
電車が来たので乗ると空いた席がなく「吊革」に捕まると何だか左隣の人がにらんでいます。あっ!その理由がわかりました。〈右きき〉で吊革を握っている人の右手と〈左ききの自分〉の左手がぶつかってしまうのです。「吊革」も「自動改札機」と同じく〈右きき設計〉なのです。全員〈右きき〉ならば問題が起らないのですが、そこに〈左きき〉の人もいることが忘れられているのです。「不満」いっぱいです!




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晴子から伝えたいこと (パート13)

2010年03月20日 | Weblog
☆晴子さんからのエッセイ、パート13です。
どの職場にもいろいろと難しいことがあるのですね・・
でも晴子さんが最終的にMTFの女性として就職できたことは何よりでした。ほんとによかったですね。今後のご活躍、お祈りしています!!



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☆晴子から伝えたいこと(パート13)


この2月上旬から1ヶ月間、特別養護老人ホームでの実習が始まりました。ただ社会人経験が長かった私には、実習1日目にこの実習先の介護現場の実態がわかってしまい、がっかりしました。介護福祉士の無資格者の方(20代若年層の方と40歳代以上のパート女性職員の方)は高齢者の方に対して親切に対応されている一方、専門学校を卒業した介護福祉士有資格者の方(20代若年層)は威張っているばかりでした。これが原因となって職員の定着率があまりよくなく、介護現場は荒れていたのです。介護職員の定着率が悪いのは、これが主たる理由ではないでしょうか?!施設の上層部の方は、目先の介護報酬にばかり目がくらむので、専門学校卒業生の介護福祉士有資格者を採用したがります。しかしそのような方が入社すると、介護現場が荒れ、また職員の定着率が悪くなり、結果的にコストがかかるので、また介護報酬に目がくらむという悪循環なのです。特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの大規模施設は、どこも似たり寄ったりなのです。
では、このような介護現場にいて、私がどのような目に遭ったのかと言えば、それは専門学校卒業生の介護福祉士有資格者の方(現場リーダー)から、色々と嫌な仕打ちを受けたことです。高齢者の方へ何かの介護をする際は、職員の方からの許可が必要であったため、何かをやりたい旨を私から伝えても、勝手なことをするなとまで言われる始末でした。だからといって私が現場リーダーの方を避ける態度をとると、なぜやりたいことを言ってこないのかと言われる始末で、挙句の果てには他の職員の方からの指示の下で介護をしているとまた勝手なことをするなと言われる始末でした。なお、高齢者の方へ親切な対応をされていた介護福祉士無資格者の職員の方からは、実習生の私にも親切な対応でした。
このような経緯から、私は腹痛が酷くなったことにより、その現場リーダーとその子分の職員の方2人に対して、私は激しく怒りました。2人から言われることは違うということを怒って言いました。これが原因で私の所属専門学校の教員へ実習中止を伝えられ、実習20日間予定だった中の9日間で中止を一方的に喰らいました。私の言い分を聴こうとされる姿勢は、施設側と私の実習担当教員のどちらにも全く欠如しておりました。
ということで、私は2年生への進級不可となって退学したのですが、今回の経験から大事な2つのことを学習できました。一つ目は介護の資質を磨き上げることが第一で、介護技術や資格取得は自然に後からついてくるものだということです。二つ目は介護福祉士有資格者と無資格者とは業務内容に差異がないことから、厚労省のための資格制度でしかないということです。つまり介護福祉士養成の専門学校へ通うこと自体、間違っていたと私は痛感しました。駄目押しは、2009年度から開始した委託訓練制度(職安から専門学校への委託)も機能しておらず、税金の無駄使いになっていることです。委託学生の多くが、介護分野への就職を目指す気なく雇用保険(いわゆる失業保険)受給のために通うのです。
幸いにも私は、大規模とは方針の異なる小規模の入所型(グループホーム)への就職が決まりました。採用担当の方から、私がMtFであることの理解を得られて嬉しいです(笑)。

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柏市市民講座のご報告

2010年03月10日 | Weblog
☆先週末に開催された柏市市民講座。参加された東京のお父さまから早速ご報告をいただきました。「一般市民のみなさんにLGBTの親からのメッセージを届けることができました。」というお父さまの感動が伝わってきます。この広がりをもっともっと!!と願わずにはいられません。どうぞお読み下さい。


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3月6日(土)に開催された柏市中央公民館主催の市民講座「自分らしく生きるために」(LGBT、性同一性障害を知る、考える)について報告します。
同館女性セミナー担当者のお話によると、今脚光を浴びているMTFのタレントさんがテレビで一瞬見せたさびしそうな顔の裏に、LGBTとしての苦悩があるのではと感じ、LGBT当事者の生の声を市民に正しく発信したいという思いで、この講座を企画したとおっしゃっていました。

市民講座の前半は、「共生社会をつくるセクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク」の遠藤まめたさんが「LGBTの子どもが学校で感じていること」、宇佐美翔子さんが「親子関係、地方で生きるということ」、LGBTの家族と友人をつなぐ会から小林りょう子、小林ヒロシが「当事者の親が抱える孤立」というテーマで、共生ネットの杉浦さんの司会進行で講演しました。まめたさんの胸をかきむしるほどの切ない思いや生きにくさの話に深く共感し、翔子さんがお母さんとの関係を涙ながら語る話に、会場の方はもちろんのこと、私たち講演者ももらい泣きをしてしまいました。次に、私たちが当事者の親の立場で話をさせていただきました。最後に「四葉のクローバー」を朗読しましたが、「私は、それから一枚をもぎとって三つ葉のクローバーに見せかけたいとは決して思いません。」のところでは、読みながらまた胸が一杯になってしまいました。

後半では、出席者に記述していただいた質問を元に、その質問に対して、講演者がひとつひとつ答えていきましたが、質問の多さに驚きました。当日は土曜日の午前中2時間という限られた時間でしたが、雨にも関わらず80名近くの方がお集まりくださり、講演者の涙あり、笑いありの熱い思いが出席者の魂に確かに届いたと感じました。皆さん 真摯に受け止めてくださり、アンケートには感謝の言葉さえありました。

つなぐ会in東京としては、初めてのしかも行政主催の講演会とあって、かなり緊張しましたが、参加者のあたたかい雰囲気に後押しされながら、成功裏に終了しました。

今回の講演の前座として2月27日に柏市女性セミナーにおいて、NHKのETVビデオを観る会が開催されました。女性セミナーの方たちと一緒にビデオを拝見し、出演者として一言コメントさせていただきました。久しぶりに見たビデオに出演していた若い方たちが愛おしくてなりませんでした。

市民講座に出席させていただき、四葉のクローバーの葉を一枚もぎ取るようなことは決してしてはならない、学校に、社会にアピールしていかなければと決意を新たにしました。行政では珍しい講座内容ですが、このような輪が広がっていくことを強く念じました。今後もこのようなメッセージ発信の機会があれば、喜んで積極的に出席していきたいと思っています。





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第31回ミーティングを行いました。

2010年03月09日 | ミーティング
2月21日(日)、第31回ミーティングを行いました。この日の参加者は16名。なんと当事者の方が1人、友人が3人、あとはみんな親というめずらしい会となりました。新しく来てくださったのは当事者のお子さんをお持ちのご両親と、キャンパス・スコープという学生新聞の記者をしておられるという大学生さんでした。

はじめて参加されたご両親は、男性として育ててきたお子さんから、昨年、じつは心は女性なんだとカミングアウトされたとのこと。就職はしたものの、男女社会の重圧の中で、わずか3ヶ月で仕事ができなくなってしまったお子さんに対して、親はどうしてやればいいのか・・という不安から参加されたとのことでした。このままずっと家にいても何も変わりはしないし、なんとかしてもう一度社会復帰させたい、その糸口があれば・・という焦る気持ちをお持ちのお父さまと、しばらくは見守るしかないのでは・・というお母さま。お二人が語られるお気持ちは、同じ親としてそれぞれによく理解できることばかりでした。

また何度も会に参加してくださっている友人という立場の方の場合も、当事者である友人がMTF(男性→女性)で、職場の女性から拒絶されて退職を余儀なくされ、就職活動をしても折からの不況で職は見つからず、精神的に病んでしまい、今度は病院に行っても買い物に行っても周囲の目を気遣ったりと、困ることばかりだということでした。

LGBTはそれぞれに違った課題も抱えており、GID(性同一性障害)の場合は学校や職場において周囲の対応に問題があるだけでなく、望む性での就職や進学そのものにもまだまだ困難があり、また病院や買い物、外出先でのトイレ等、日常生活の中にも困ることが多いのですね。GIDに関する法律が少し変わりましたが、そんなことでは解決できない問題がいたるところにあるのだと思い知らされました。

一体私たちにできることは何なのだろう・・と考えてみても、どれをとってもすぐに解決できるような簡単な問題ではありません。結局は「社会には多様な人間が生きていること、その多少に関わらず、一人ひとりが生きやすい社会にすることが必要だ!」ということを当事者ではない人たちにも呼びかけ、声を上げ続けていく!そしてこのような行動がとれる人を増やしていく!ということですね。あとはLGBTやその家族、友人という仲間同士がお互いの悩みや経験を共有し相談できる場をあちこちに作ることも大切だと思います。

話が少し変わりますが、先日あるゲイの方からメールをいただきました。現在アメリカ在住というその方は、アメリカで結婚したとのこと。できればいつか親にカミングアウトしたいと思う。その時に親が相談したり仲間を見つけることはできるのでしょうか・・という内容でした。田舎に住んでいて、インターネットで繫がることも難しい・・そんな状態で親が悩み続けるのだとしたら、カミングアウトして、自分の結婚を報告したくてもできないですよね・・・電話でお話することもできますが、つなぐ会がもっともっと全国に広がって、カミングアウトしたい人たちを、そしてカミングアウトされた親や家族や友人を身近でサポートすることができたら・・と心から思います。

この日は他の親もFTM(男性→女性)やMTF(女性→男性)のお子さんをお持ちの方ばかりでしたので、お互いの経験や状況や考えを交換しあうことができました。またこの日唯一の当事者だったゲイの方には、親からの質問が次々と・・(笑)。「久しぶりに緊張しました!」とおっしゃりながらも、一つ一つ答えてくださっていました。ありがとうございました。

この日初参加のご両親にとっては、解決の糸口がはっきりと見えたわけではないかもしれませんが、悩んでいるのが自分たちだけではないこと、子どももまた一人ではないことを知ることができて、わずかでもホッとされたことと思います。

そしてキャンパス・スコープの記者という学生さん。LGBTの問題に感心を持ってくださり、参加されました。近いうちに記事にしていただけるようです。うれしいことですね!!

ちなみに、キャンパス・スコーとは・・・
『キャンパス・スコープは1998年4月1日創刊で、毎年4月と10月、学生新聞としては最大の19万部を全国の主だった大学に向けて発行しています。読売新聞社の支援を受けながら、広告営業、ホームページ運営、記事の企画、取材、写真撮影、執筆にいたるまですべて学生の手によって行われています。ホームページ(http://www.campusscope.com/)も運営しています。』

昨年は龍谷大学の学生さんが学内の冊子に載せたいということで参加してくださいました。若い方々のこのような動きは本当にうれしく、頼もしく思います。今回は、LGBTの春はいつ??と考えさせられた会でしたが、もう一方で、若い方々のLGBTの問題への関心の高まりも感じることができました。これがどんどん広がることを期待して、これからも大いに協力していきたいと思っています。よろしくお願いします!!






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