LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

8月東京ミーティング(交流会)の報告

2022年08月21日 | Weblog

 相変わらずのコロナ禍の中開催された東京交流会は、親の参加8名、当事者及び支援者4名。今までの開催場所から離れた地域での開催だったからか初顔の参加者が多く、潜在するLGBTQ+当事者と家族の居場所になり得たかと思います。

 当事者が違和感を感じる年齢はそれぞれで、幼児もいれば成人以降の方もいます。傍目から見て、幼少期の性別違和については、親の年齢が若いせいもあるでしょうが、子どもの心に寄り添って=子どもの替わりに「学校」を代表とする世間と戦う構図になっていますが、成人後のカミングアウトになると親の困惑度が増し、「世間の実状に合わせての自己実現にしてね」というスタンスになっているような気がします。

 それは何故なのか? 昔の親は、子どもに対して性別規範的な躾をしていて、子どもが自己主張しても親(=世間)の物差しに合わせて矯正し、物わかりのいい親でも、「年頃になれば男(女)らしくなるわよ」という言葉で当の子どもの心を傷つけていました。でも、LGBT情報が流通する現代においてそんな言葉を発したら時代遅れと言われてしまう。そのくらい旧世代の親でもわかっています。でも、頭ではわかっても心が付いていかない。だから「困惑」です。子どもを理解したい。でも、本人の自認するセクシュアリティで生きていけるのだろうか。仕事は続けていけるのだろうか。独りぼっちにならないだろうか。親の心は千路に乱れます。

 それに対して、当事者が長年の苦悩を、そして今の希望を語ってくれました。不本意な身体ではなく自認の身体になって自分らしく生きていきたい、と。その言葉を聴けば、親と言えども、子どもの生きる道筋を閉ざすわけにはいかないと思うのです。希望を失って生きる子どもに輝きはないのですから。

 子どもは親とは別人格です。固有の人生があります。子どもの幸せの為と言って、子どもの希望を阻止することはできません。それは子どもの人生を奪うことになります。親は子どもの心に寄り添って、先走らず応援する、それが子どもの心を自由に羽ばたかせることになるでしょう。

 

 それにつけても、私自身より数段若い世代の親が狼狽えている姿に、一般にはLGBTQ+の情報が未だに行き渡っていないこと、多様性が建前だけで、当たり前のことになっていない現実を痛切に感じます。個々に親や当事者生徒が訴えないと学校の整備が整わないという実状は、教育現場のLGBTQ生徒に対する認識不足を物語っています。そもそも、色々な生徒がいて当たり前なのだから一律方式はあり得ない。トイレも更衣室も、どんな生徒がいてもフレキシブルに対応できるような環境であって然るべき。けれども学校は依然として性別規範に囚われた決まり事が多すぎます。誰もが気持ちよく安全に暮らせる教育環境の整備が前提としてあってほしい。学校側の多様性研修と環境整備を急ピッチに進めていただきたいものです。

LGBTQ+の子どもを持つ親は、周りに相談する相手がいません。子ども自身から「誰にも内緒にして」と頼まれて、家庭の中でも秘密保持を求められている親も多いのです。ですから、集まって自由に話せる居場所があるのは重要です。その場に同世代の親だけでなく、先輩の親御さんや支援者の方の声が聴けると、もっと良い場になると思います。もちろん当事者の声は絶大です。親自身の視野を広げる為にも、さらにこの輪があらゆる層に拡がってほしいと願います。

M

                                            

 


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