LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

2月東京「出櫃 カミングアウト -中国LGBTの叫び」上映会+トークイベントの報告

2024年02月20日 | Weblog

2024年つなぐ会/東京のスタートは、中国の性的少数者(LGBTQ+)当事者と家族を追った映画 (所要時間約1時間)

「出櫃(カミングアウ)中国LGBTの叫び」 (房満満監督/東京ドキュメンタリー映画祭2019短編部門グランプリ)の上映会(墨田区の支援団体「あなたのSOGIE」との共催/墨田区後援)に23名ご参加いただきました。

休憩を挟んだ後、房満満監督とZoomによるトークセションを実施。   

先ずは東京理事から監督に、セクシュアルマイノリティをテーマに選んだきっかけや、カミングアウトの場面を振り返りではなくリアルに撮影できた経緯など伺った後、日本人だけでなく在日の中国人参加者複数名からも、中国におけるLGBTQ+の状況、親子関係の実情や背景、カミングアウトの意味や是非、支援団体の状況など、監督へ沢山のご質問をいただき、監督が1つ1つ丁寧に回答くださって活発なクロストークとなり、あっという間に予定の1時間が過ぎました。                                                                           

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親子3人で鑑賞されたご家族に感想をいただきました。

私自身はFtMの母親ですが、一人っ子政策ゆえの濃密な親子関係、親族や地域社会における体面が非常に重視される文化、「社会規範からの逸脱=幸せになれない=絶望」と考えるなど、「セクシャルマイノリティが自分を偽らずに生きること」「親が受け入れること」がこれほどまでに難しい、厳しい中国の状況に胸が潰れる思いでした。

 

(子ども/FtM/21才)

中国の状況を知ることが出来、とても良かった。

特に、当事者がカミングアウトする場面をリアルに映していることに驚き、感銘を受けた。

自分の周囲にいる当事者からの話で、「病院で治してくるように」と言う親は都心でさえ未だ存在するし、「ニュースを見て親が差別発言するのを聞くとカミングアウト出来ない」という声もよく聞く。

当事者で親にカミングアウトして受け入れてもらっているのは2割程度の印象。

中国ほどではなくても、親の理解は日本でもかなり難しいと感じている。

 

質問に対する房監督の回答が、実情をよく知ったうえで多くの視点から説明くださり、全てが納得できるものだった。また、心を込めてお話くださり、ありがたく、素晴らしかった。

 

(オーストラリア人パートナー/パンセクシャル/20才)

セクシャルマイノリティの子どもを受け入れられない親も、子どもを愛していることが分かって良かった。

 

中国の文化(メンツ/親子関係 など)を知ることができた。

想像はしていたけれど、社会規範がきつく、大人になっても親との繋がりが深い。

 

同性愛は受け入れられないけれど、社会に顔向けできないだけで、子どもとの繋がりは続く。

欧米では「親と子は別」との考えが強いこともあって、子どもを受け入れられなければ子どもと離れたり、縁を切るケースが多い。

子どもからしても、親が受け入れてくれなければ、親と離れればいい。

中国では親子の繋がりが強く、一生続くものだからこそ、子どもは親に理解してもらいたいのだろう。

 

オーストラリアではLGBTQ+の理解が進んでいるが、受け入れはするけれど偏見が残っているケースは未だある。

減ってきてはいるが、キリスト教関係者はセクシャリティを治療するよう子どもをカウンセリングに行かせることもある。

 

日本人で知っている当事者でカミングアウトをしている人はほとんどいない。

理解が進んで欲しい。

 

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日本においても地域や年齢層によっては中国と似たような状況にあり、子どもを愛するがゆえに子どものセクシャリティを受け入れられず、親子共に苦しんでいます。

当事者がありのままで幸せに生きていける社会になるためには、セクシャルマイノリティの存在や困難な実情の認知を広げて支援者を増やしていくと同時に、希望を伝えられる当事者がロールモデルとして可視化され、当事者も親も明るい未来を描けることが重要だと感じました。

カミングアウトがハードルでも何でもない世の中が1日も早く訪れますように。

 


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2月名古屋ミーティング(いなべ市)報告

2024年02月07日 | Weblog

2024年2月5日(月)名古屋ミーティング いなべ市役所シビックコア棟会議室

 

性別違和をもつ当事者 1名

同性愛当事者 1名

トランスジェンダーの親 1名

同性愛当事者の親 1名

人権教育の活動団体の方 2名       計 6名

 

今回のミーティングは、人権教育の活動団体、三重県人権教育研究協議会(以下、三重県人教)の方の運動についてや、その中での困りごと、質問に、当事者やその家族がお答えする形で進めました。

 

〈統一応募用紙の性別欄について〉

三重県人教

・統一応募用紙とは、各企業で作成した社用紙に就職差別につながるおそれのある事項が多く存在しており、被差別部落の人たちをはじめ、家庭状況の厳しい人たちが差別される原因になっていたことから、新規高卒者の就職応募用紙について、労働省、文部省及び全国高等学校長協会の協議により定められた様式を統一応募用紙として1973年度から全国的に使用してきた。しかし、活動団体による運動により、1996年4月に全国高等学校統一応募用紙類の一部様式変更(「本籍」欄、「家族構成」欄、「胸囲」「色覚」欄が削除)が行われた。また、2005年4月には、統一応募用紙が改訂(「保護者氏名」欄が削除)された。

・現在の統一応募用紙には、性別欄が存在するが、2020年には、近畿統一高校応募用紙(近畿労働局)の性別欄が削除され、三重県を除く近畿地方では、性別欄が削除されたものが使われている。近畿地方以外では、未だ、就職希望の高校生は、性別欄のある統一応募用紙への記入を求められている。

・2005年の「保護者」欄削除の際も、全国に先駆けて近畿地方で削除された際、三重県としては、保護者欄に斜線をする形を取り、それが全国に広まっていった経緯もある。

・今現在、三重県人教が働きかけ、教育委員会の高校教育課が三重県労働局に性別欄への斜線を求め、働きかけをしているところ。その動きの中で、すでに任意記入だから斜線をする必要があるのか、わざわざ斜線まで引かなくても、みんなで無記入という形でもっていけばいいのでは、などの意見が出ることが予想される。

 

〈統一応募用紙の性別欄に関する当事者や家族の意見〉

・三重県は条例があるので、その条例に則って訴えていけばいいのでは。

・三重県が先頭を切って変えていくのも、条例だけでなく、実際に理解され行動している県として思ってもらえるチャンス。

・性別欄があれば、書かなければ落とされるかもという不安の中で、仕方なく自認の性別ではなく戸籍の性別を書いてしまう子もいる。

・性別欄があることで、そこに自分の性別を書けない、だから就職をあきらめるという子が何人もいる。

・トランスジェンダーの子どもは、高校受験の時に性別欄に〇ができない苦しさから生きるか死ぬかのカミングアウトをしてきた。就職も生きるか死ぬかのレベルで追い込まれ、悩んでいる当事者が多い。

・性別欄削除は進路保障につながる。

・性別欄を削除して、就職の機会や人生をうばわれる人が何人いるか。救える子どもが増えるだけ。

・私は性別欄を見ただけで「うっ」となる。性別欄があるのに、書かないことで後で指摘されるのではという不安の中でそれを提出している現実がある。

・学校でも、業者のテストで性別欄に〇ができない苦しさから、その場にいられない、テストが受けられなくなる子がいる。それと同じだし、当事者にとってはそれぐらいしんどいこと。

・いろいろな意見が出る中、欄はあるけど、無記入を全員が選択していくという方法は、そうするための授業や取組が行われると思うが、当事者は、その授業や取組の中で少しでも理解のなさを感じたらとても苦しくなる。中途半端にではなく、その授業や取組が三重県内すべての高校で同じレベルで行われればいいが、そうでなければ、苦しさしかない。結果、子どもたちを強制的に無記入に仕向けていくものにもならないかという心配もある。

・マジョリティ側は、自分の権利が脅かされた瞬間に、マイノリティ側への攻撃性に変わる。この件でも、例えば、なんで性的マイノリティの人たちのために、性別欄を無記入にしなければならないんだという考えから、性的マイノリティへの攻撃性に変わることも0ではないと思う。だから、最初から斜線を引いてほしい。斜線を引かれた経緯から、または、斜線を引こうという動きがあることから子どもたちが学ぶというのは、とても大切なことだと思う。

・転職の時に、履歴書の性別欄には何も書かなかった。志望理由等のところで性別の違和感があることを書いた。それは、女性としてその職場で働くことが苦痛だったから、女性として働くことを求められる会社では働きたくないと思ったから。私は、そうじゃない会社はこちらから選ばないと思える選択肢があったからいいが、高校で就職する子にその選択肢がたくさんあるだろうか。みんな自認の性で働きたい、でも、それで応募側が会社を選べる状況にない子も多いはず。だとしたら、性別欄があれば、書くことそのものをあきらめるか、戸籍の性別を書くかどちらかになるだろう。

・自分の子どもは、治療もして見た目は男性だけど、履歴書には女性と書いた。しかし、面接にいった時点でトランスジェンダーだと伝えた。その会社の社長は理解してくれ、性別にとらわれず働けている。それができるのは、見た目が男性になっているからかもしれない。未治療等で見た目が自認の性には見えない場合は、同じようにできないことが多いと思う。かと言って、治療もして見た目が男性の子どもも、性別欄に「女」と書くことに苦痛をおぼえないわけではないと思う。


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