LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

晴子から伝えたいこと(パート17)

2010年11月16日 | Weblog
☆晴子さんからのエッセイです。
3か月の試用期間を終え、常勤になられたとのこと。いろいろなことを乗り越えて、経験を積んでおられるのですね。男性職員からの励まし、また「女性は仲良しだといい半面、不仲だと面倒・・」というところなど、どこの職場でもありがちなことではありますが、FTM女性として生きておられる晴子さんのお話にはなぜか新鮮な響きを感じます。
またMTF女性としてこれからも生き続けたいという思いから、「女性と貧困」というテーマについても、講演会へ参加されるなどして向き合っておられます。キャリアを積むことがままならないという現在の労働環境・・・問題はたくさんありますね。
それでもどこまでも真剣に頑張っておられる晴子さんです。

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☆晴子から伝えたいこと(パート17)

この8月から私は、二つ目のグループホーム(認知症高齢者共同生活介護)の職場にて、常勤として勤務開始してから3ヶ月間の試用期間中に、正直言って辞めたくなったこともありました。
第一の理由は、女性職員同士での上下関係がきついことに戸惑いがあったためです。女性同士は仲良しだと何よりだと思える半面、不仲だと面倒で仕方ないと痛感しました。
第二の理由は、私の仕事上の失敗が原因で経営トップの方から冷たくされたことがあったためです。でも私の心境がそんな状態の時に、私は現場管理者(男性)の方から仕事上の失敗について注意を受けながらも、その一方で介護業務に初心者の私のことを懸命に働いているとの励ましを受けることがありました。その彼は雇用者(経営者)の立場ではなく、あくまでも現場管理者の立場として、入社前に私が1日介護現場体験した後にMtF女性の私を採用決定して下さった方でしたので、私は冷静になって職場を辞めることを思い留めることができました。そして私は勤続しようと思えるようになり、試用期間をどうにか乗り越えられました。少しほっとした面もありますが、介護職において1人前はおろか半人前にすらなっていない私には、これからもまだまだ訓練期間が続くと思って取り組んで行きたいですね。
ところで、試用期間を過ぎて11月に入り、MtF女性の私は「女性の貧困」に関わる問題の一つといえる「女性労働の実態」についての講演会に参加してきました。
これに参加したくなったのは、私はMtF女性として何らかの都合が悪くなった理由で一般的な男性として生きることに逃げたくないとの想いがあるからこそ、また有りのままのMtF女性として生き続けていたいからこそ、私には真正面から目を向ける必要あると感じたためです。以下のような内容でした。
1990年代頃までは、大別して男性は基幹職・総合職,女性は単純労働・一般職・補助職という男女労働者の相互補強関係が成り立っていたため、“男は仕事・女は家庭”といえる裏返しでもありました。しかし1998年以降、この相互補強モデルの崩壊が始まり、女性からみて男性の収入には頼れなくなり、女性の経済的自立の不可欠化が生じてきました。それにも関わらず、旧モデル下の女性労働の枠組みは温存されたままなので、女性労働者の貧困問題が顕在化してきたのです。
以上の話について私が思えたことは、昔に比べて正規雇用(正社員)が減る一方で、非正規雇用(パート・派遣・アルバイト)が増えてきていることとリンクしているのではないのかということでした。これを更に突き詰めると、熟練労働が減る一方で単調労働が増えたこととも裏返しではないのかと私は理解しました。キャリアを積むことがままならなくなってきている労働の風潮ではないのかと、私には思わずにはいられませんでした。
そのような風潮の中にあっても、いわゆる女性の職業といえる介護職は自ずと長年のキャリアを積む必要性があり、私も介護職に就けたことをよかったと思うことができました。

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ホームページ、ついにリニューアル!!

2010年11月06日 | Weblog
みなさん、新しいホームページはもうご覧になりましたでしょうか?
11月1日より、ついにリニューアルいたしました!!

事前にお知らせを・・と思いつつ、できずじまいでこの記念すべき(笑)日を迎えてしまいましたので、アクセスして「間違ったかな?」と思った方もいらっしゃったかもしれませんね。つなぐ会のパンフレットをご存じの方はイメージを統一していますので、「??どこかで見たような・・」と気付いていただけたかもしれません。(そこまで気づかない??)

とにかく会のお母さま、お父さま、当事者の方々合わせて10名ほどのチームで、検討に検討を重ね、試行錯誤の末に出来上がりました。予定より2カ月遅れましたが・・(汗)遠くから神戸まで何度も通ってくださった方も・・みなさんのご協力に心から感謝です!!ありがとうございました。

「あんなことも、こんなことも伝えたい・・」ということで、これまでのホームページとは違って情報満載!(にしたつもり・・)になりました。コンテンツがいろいろありますので、お時間のあるときに是非あちこち開けてみてください。このホームページの売り(笑)はやはり「体験談」かもしれません。「体験に勝るものなし」と言いますし・・親や家族、当事者のみなさんの珠玉のスト―リーが収められていますので、こちらも是非!!

そしてこれは神戸市パートナーシップ活動助成の助成金でできたものです。ここでちゃんと宣伝しておかないと・・(汗)神戸市さんありがとうございます!!LGBTの啓発活動に行政の応援がいただけて,ほんとうにうれしいです。

次は啓発パンフレットと相談窓口カードの作成に取り組んでいます。こちらも乞う!ご期待!!

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黒髪のアン

2010年11月06日 | Weblog
☆お待ちかね!桑島さんからのエッセイです。
赤毛のアンと同様に、ブロンド全盛時代にあったオードリーにとって黒髪はコンプレックスだったのでしょうか・・そしてユダヤ人であったことも・・
運命的なアイデンティティにコンプレックスを抱えている人は少なくないと思います。でもそれによって差別を受けることは耐えがたいことですね・・

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虹色の皆さん、皆さんの髪の色は何色ですか? 僕の髪の色を言います。黒です!
いろいろな「黒」があることを前提とした上で日本では髪の色を聞かれたら、みな「黒」だと思うでしょう(白髪の方や染めたか地毛かは問わず茶や金や銀の方もおられるでしょう。もちろん髪が無い方も。それぞれ個性ですが、今回は考えないことにします。すみません)。ヨーロッパやアメリカは色がもっと複雑で多様でしょう。肌も瞳もそして髪の色も。ところで虹色の皆さん、シンデレラの髪は何色だったか覚えていますか?ディズニーのアニメではいわゆるブロンドつまり金髪でした。
オードーリー・ヘップバーンの髪の色は黒です。彼女はユダヤ人でそのルーツが東洋の最西端(イスラエル)にあるから、やはり東洋の最東端にある日本人の髪と同じ黒なのでしょうか?
最近はディズニーも髪と肌の色の黒いお姫様を登場させていますが、20世紀も半ばオードリーが活躍していた時代はシンデレラだけでなく眠れる森の美女も不思議の国のアリスも『ピーターパン』のウェンディも金髪でした。ティンカーベルは全身金ピカです。
髪が黒いお姫様は白雪姫ぐらいだった時にオードリーは登場しました。彼女は「みにくいアヒルの子」だったのかもしれません。なぜなら当時の美人女優は皆ディズニーのアニメのお姫様たちの様に金髪ブロンドで白い肌の持ち主だったからです。黒い肌の美人女優がいなかった様に黒い髪の女優は美人の仲間入りが出来なかったのです。「見にくい=見えない」存在だったのかもしれません。
『赤毛のアン』も赤毛のために金髪美女同盟からは仲間外れにされます。アンもそのことは知っていて赤毛がコンプレックスでもあります。そして彼女の赤毛は彼女の境遇のシンボルとは言えないでしょうか?
オードリーはアンの様に孤児ではありませんが、6歳の時に父親が失踪しています。厳格な母に育てられた彼女の子供時代は優しく抱きしめてくれる人をいつも探していたそうです。
昔はハーフ今はダブルと呼びますが、オードリーはイギリス人の父親とオランダ人の母親の間に生まれました。そしてイギリスではオランダ語訛りをからかわれ、オランダでは英語訛りをからかわれたそうです。いわゆる「いじめられっ子」です。
そしてユダヤ人であることがオードリーの少女時代に暗い影を投げかけます。ナチスドイツが彼女が母親と暮らすオランダを占領してしまいます。そして5年間オードリーはオランダのお城の様な自宅に幽閉されてしまうのです。
虹色の皆さん、オードリーにもカミングアウトしなければならない辛く悲しい境遇がある「黒髪のアン」だったと僕は思うのです。
そしてセクシャルマイノリティとも呼ばれる虹色の皆さんとオードリーにも共通点はあります。それは自分の運命的なアイデンティティの為に差別を受けねばならなかったことです。




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